2023年2月 8日 (水)

Cylisticus convexusに和名がつくならダンゴムシになるのかワラジムシになるのか

ワラジムシ亜目の和名は、丸くなる種類をダンゴムシ、丸くならない種類をワラジムシと分けているが

和名がまだついていない種類にはワラジムシっぽいのに丸くなるという微妙なやつが結構いる。


たぶん中間な見た目で一番有名な種はCylisticus convexusだと思う。

https://www.bmig.org.uk/species/cylisticus-convexus

一見ワラジムシだが、背中が盛り上がっていてダンゴムシっぽく丸くなれる。

ヨーロッパ原産で近縁種は中東までいるが、外来種としてアメリカやアフリカなどに広がっている。


日本に分布せず和名がないので、まだダンゴムシなのかワラジムシなのか決まっていない。

しかし最近は中国でも発見されているので、そのうち日本に持ち込まれると思っている。

その時どっちに決まるか。


Imgp50142
見た目ワラジムシだが丸くなれるハマワラジムシArmadilloniscusはワラジムシなので、

おそらくCylisticusもワラジムシになると思う。

学名に比べれば和名はいい加減なものだけど今から気になっている。


和名がついてないけど丸くなれるのは他にもたくさんいる。

Scleropactidae、Tendosphaera属とかもダンゴムシとなるのか…



ちなみにBuchnerilloという、完璧に丸くなるのにオカダンゴムシでもコシビロダンゴムシでもハマダンゴムシでもない種がいる。

https://www.researchgate.net/figure/A-B-Alive-specimens-of-Buchnerillo-atlanticus-sp-nov-in-their-habitat-photo-N_fig4_360783929

地中海やコスタリカ、ソマリアなどにいる海浜性ワラジムシ亜目。

ぱっと見はダンゴムシだが、細部はどのダンゴムシとも全く違う形態をしている。

論文は科未定(incertae sedis)とあり、どこに近縁かわからないらしい。

著者はかなりの有名研究者だが、科を決めるには遺伝解析が必要だと締めくくっている。

Taiti, S., Montesanto, G., & Vargas, J. A. (2018). Terrestrial Isopoda (Crustacea, Oniscidea) from the coasts of Costa Rica, with descriptions of three new species. Revista de Biologia tropical, 66(1-1), S187-S210.

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2023年1月 3日 (火)

1億年前のダンゴムシの化石

毎年ダンゴムシの新種が見つかっていて嬉しい。

なんとなく探していたら、ダンゴムシの化石の発見を見つけた。



ミャンマーのダンゴムシの化石

Poinar Jr, G. (2018). A new genus of terrestrial isopods (Crustacea: Oniscidea: Armadillidae) in Myanmar amber. Historical Biology, 1-6.

ミャンマーから採れた白亜紀中期の琥珀にコシビロダンゴムシの一種 Palaeoarmadillo microsoma のメスが入っていた。

おそらく最古級のダンゴムシの化石。ただしダンゴムシは古生代からいるとされる。


触角と尾肢が特徴的らしい。

寄生虫が見つかり、推定ワラジムシヤドリバエ科の幼虫が体から飛び出ていて、貯精嚢?にはダニが見つかっている。



この琥珀の産地はミャンマーのカチン州フーコン渓谷という外国人が入域禁止の紛争地帯。

ここの琥珀は戦争の資金源になっているとも言われるらしい。

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2022年11月12日 (土)

ワラジムシヤドリバエの生態や寄生の写真

2017年にワラジムシヤドリバエのページを投稿していて懐かしい。

ダンゴムシやワラジムシに寄生するワラジムシヤドリバエ: だんだんダンゴムシ

あの時は資料がほとんどなく、書く内容に困っていた。

しかし2018年にワラジムシヤドリバエの詳しい論文が発表されていた。気づかなかった。

Wood CT, Nihei SS, Araujo PB (2018) Woodlice and their parasitoid flies: revision of Isopoda (Crustacea, Oniscidea) – Rhinophoridae (Insecta, Diptera) interaction and first record of a parasitized Neotropical woodlouse species. In: Hornung E, Taiti S, Szlavecz K (Eds) Isopods in a Changing World. ZooKeys 801: 401-414.



南米のダンゴムシやワラジムシヤドリバエの話だがおもしろい。

ワラジムシ一匹にハエ一匹だけとか、

ワラジムシはお尻からねばねばした防御物質を出すが、これが逆にヤドリバエの誘引物質になっているかもとか、

歩くワラジムシにくっつき、脱皮中に皮膚を食い破って感染するとか。

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2022年10月31日 (月)

ハマ、ハマベ、ミギワ、シオサイ、ウシオ、ウミベ

海岸にいるワラジムシ亜目の和名は海に関係する名前になってことが多い。

ハマダンゴムシ

ハマワラジムシ

ハマベワラジムシ

ミギワワラジムシ

シオサイワラジムシ

ウシオワラジムシ

ウミベワラジムシ

これらが和名として存在する。いっぱいいて混乱させられる。

ちなみにタマワラジムシやフナムシなどは海浜性だが海岸に関係ない名前になっている。



ハマダンゴムシ科ハマダンゴムシ属ハマダンゴムシ
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シオサイワラジムシ科ハマワラジムシ属、ハマベワラジムシ属

ヒゲナガワラジムシ科ヒゲナガワラジムシ属(ミギワワラジムシ属はヒゲナガワラジムシ属に吸収された)
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ウシオワラジムシ科ヒイロワラジムシ属

ウミベワラジムシ科サイシュウウミベワラジムシ属(日本の種は過去にウミベワラジムシ属Scyphaxと分類されたが、全種がサイシュウウミベワラジムシ属Quelpartoniscusに移された)


複雑すぎて覚えられない。

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2022年10月 3日 (月)

跳ねるワラジムシを見てみたい

ワラジムシ亜目はSchmalfuss(1984)などで生態のタイプが分けられている。

Clinger:動きが鈍く、幅広の体型(Oniscus属など)
Runner:動きが早く、細い体型(ヒメフナムシ属など)
Roller:体を丸められる(オカダンゴムシ科、コシビロダンゴムシ科など)
など


RunnerにはJumperというタイプを加わえることがある。

Ischioscia属やBurmoniscus属の一部はヨコエビのように飛び跳ねる。

トビムシのように尾を叩きつけることで、種類によっては20cmも跳躍するらしい。

捕食者から逃れるためと書いてあった。


写真が楽しい
Tuf IH, Ďurajková B (2022) Antipredatory strategies of terrestrial isopods. In: De Smedt P, Taiti S, Sfenthourakis S, Campos-Filho IS (Eds) Facets of terrestrial isopod biology. ZooKeys 1101: 109-129.

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2022年6月30日 (木)

陸にもいるイタリアのハマダンゴムシ

ハマダンゴムシ科Tylidaeは2属に分かれる。

ハマダンゴムシ科
┣ハマダンゴムシ属Tylos
Helleria


ハマダンゴムシ属はすべて海岸にいるダンゴムシである。

Helleria属は Helleria brevicornis だけからなる属で、海岸から離れた所でも見られる珍しいハマダンゴムシである。


Helleria brevicornis はイタリアのコルシカ島、サルデーニャ島、トスカーナ群島とイタリア本土、フランス本土の一部にいる。

腐葉土の中に穴を掘って生活する。


他のダンゴムシやワラジムシと違って、ハマダンゴムシは生涯で一回だけ繁殖する、貯精嚢がないので繁殖脱皮のとき交尾しないと卵が受精しない、繁殖前ガードをするなどの特徴がある。

Helleriaの呼吸器の白体の構造はハマダンゴムシ属や他のダンゴムシと違う。


遺伝子解析によると4つのグループに分かれ、コルシカ島とサルデーニャ島は遺伝的に少し違うらしい。

本土とトスカーナ群島のHelleriaはコルシカ島の個体と遺伝的に同じなので、人為的な持ち込みの可能性があるらしい。

Gentile G, Campanaro A, Carosi M, Sbordoni V, Argano R. 2010. Phylogeography of Helleria brevicornis (Crustacea, Oniscidea): Old and recent differentiations of an ancient lineage. Molecular Phylogenetics and Evolution, 54(2), 640-646.


wikipediaがすごく詳しい。

https://en.wikipedia.org/wiki/Helleria_brevicornis

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2022年6月 9日 (木)

ヘラムシは体の色を周りと合わせるらしい

ハマダンゴムシはいろんな色があっておもしろいと常々思っている。

土と生き物というブログに、黒い砂浜に黒いハマダンゴムシがいたというページがあった。

周囲の色で自分の色を変えるのかな?



似たような話は等脚類の保護色の研究はヘラムシで見た。

ヘラムシは赤の色素カンタキサンチンと緑の色素結合タンパク質を持っていて、それぞれの色素の割合によってヘラムシの体の色が赤~茶色~緑になる。

海藻や海草にくっついて、βカロチンなどから色素を合成することで体色を変化させ周囲の海藻に合わせるらしい。

実験でも保護色により食べられにくくなることがわかっている。



そういえばNosilのナナフシの色と生態の話がとてもおもしろかった。





フナムシの腸に寄生するカビ、フナムシヤドリ

海岸にいるフナムシの腸内に寄生するカビの話を読んだ。

陶山 舞, 高木 望, 出川 洋介, 佐藤 大樹, 折原 貴道, 神奈川県におけるフナムシ腸内寄生菌フナムシヤドリ(新称)Asellaria ligiae の生息状況, 神奈川自然誌資料, 2021, 2021 巻, 42 号, p. 53-56

神奈川県のフナムシの後腸から新種の腸内寄生菌フナムシヤドリを見つけている。

Asellaria属は等脚類の腸内から採集される菌らしい。


ハマダンゴムシのHelleria属の腸内に寄生するカビもいるらしい。

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2022年5月31日 (火)

日本のヒメフナムシは何十種もいるみたい

日本のヒメフナムシ属は大きいヒメフナムシ(第1胸節の後方の剛毛の束がない方)と小さいチビヒメフナムシに分けられる。

超珍しいフナムシ、チビヒメフナムシ: だんだんダンゴムシ

「日本産土壌動物 第二版: 分類のための図解検索」によると、大きいヒメフナムシは北海道、本州、四国にはニホンヒメフナムシがいて、山陰地方と九州にチョウセンヒメフナムシがいて、南西諸島にリュウキュウヒメフナムシがいて、この3種はオスの第2腹肢内肢の形で見分けられる。



しかし、日本のヒメフナムシは何種いるか調べた最近の研究がこれを修正しようとしている。

Harigai W, Saito A, Suzuki H, Yamamoto M. 2020 Genetic Diversity of Ligidium Isopods in Hokkaido and Niigata, Northern Japan, Based on Mitochondrial DNA Analysis, Zoological Science 37(5), 417-428. https://doi.org/10.2108/zs200017

画像の埋め込み

Yoshino H. Kubota K. 2022 Phylogeographic analysis of Ligidium japonicum (Isopoda: Ligiidae) and its allied species reveals high biodiversity and genetic differentiation in the Kanto region, Japan. Entomological Science, 25: e12501. https://doi.org/10.1111/ens.12501

画像の埋め込み

何百匹ものヒメフナムシを調べている。


2つをまとめると

・ニホンヒメフナムシの生息域は北海道と新潟(北海道から持ち込まれた国内外来種の可能性あり)で、他の地域では採集できない。

・本州にはニホンヒメフナムシの近縁種が7種いて、ほとんどが形態で見分けられない。

・他にもニホンヒメフナムシと近縁でない隠蔽種が多数いる。(2つの論文を照らし合わせていないので何種かわからない)

・これらが一地点から何種もとれる。(例:新潟県阿賀町新谷は20匹から5種、千葉県君津市鹿野山は9匹から3種)

・同じ種でも場所ごとに遺伝的に分化していることがある。(もはや別種?)



見た目が同じ別種が想像を絶するほどいるようである。

未調査の場所もかなり残っているから、日本だけでヒメフナムシは50種ぐらいいるかも?

数十キロどころか数キロ移動しただけで種が違うのは恐ろしすぎる。

しかも一ヶ所から多数の種がとれる場所が多くて、高い割合でとれる普通種と非常に低い割合でしかとれない珍種が混ざる(しかも形態で区別できない?)という魔界が広がっている。


ヤバいものを見てしまったが、海岸のフナムシの研究を見返したらこっちは闇が深くなかった。



ヨーロッパのオカダンゴムシ、ホソワラジムシ、クマワラジムシなどは遺伝子解析で種を整理する研究が進んでいる。

同じ形態のホソワラジムシの集団が遺伝的に分かれ、互いに交尾もしないという研究もあった↓

Lefebvre F, Marcadé I. 2005 New insights in the Porcellionides pruinosus complex (Isopoda, Oniscidea): biological, behavioural, and morphological approaches. Crustaceana, 465-480.



捕まえたダンゴムシやヒメフナムシを他の地域に放してはいけない、ということがよくわかる。

下手すると地域固有の種がいなくなる原因になるかもしれない。





どうでもいい話

オオグソクムシとウミクワガタの研究者の話を読んだ。おもしろかった。

http://hotozero.com/knowledge/animals_001/

http://hotozero.com/knowledge/animals_008/



筆者の職業がフリーライターとあった。

今までの人生で一切かかわった事のない職業すぎて、どういう人なんだろうとか食っていけるのかとか考えてしまう。

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2022年3月22日 (火)

ハヤシワラジムシ科3属の見分け方

以前書いた外来ワラジムシの見分け方が人気ページになっている。

ワラジムシ、ホソワラジ、クマワラジ、オビワラジの見分け方: だんだんダンゴムシ

なので今回は在来種のワラジムシで一番よく見るハヤシワラジムシ科の属の見分け方について書いてみた。


ハヤシワラジムシ科は3属が日本にいる。

ハヤシワラジムシ科 Agnaridae Schmidt, 2003
┣ヒナワラジムシ属 Agnara Budde-Lund, 1908
┣オオハヤシワラジムシ属 Lucasioides Kwon, 1993
┣ヒトザトワラジムシ属 Mongoloniscus Verhoeff, 1930



ハヤシワラジムシ科とハクタイワラジムシ科はよく似るが、腹肢の5対の白体の構造に違いがある。

ハヤシワラジムシ科とハクタイワラジムシ科の違い: だんだんダンゴムシ



ハヤシワラジムシ科3科の見分け方(注意:現在の分類に問題あり?)


ヒナワラジムシ属 Agnara

オオハヤシワラジムシ属より体が盛り上がる。胸節の側縁部にgland poreがある。頭部の前方中心は三角だが尖らず円く、側方の眼の前方は出っ張り強かったり弱かったりする。第1胸節の側縁は外側へ張り出さない。胸節のnoduli lateralesは全て側方に位置し、第1胸節から第7胸節にかけて一直線に並ぶ。オスの第1腹肢外肢の先端にへこみがない(浅いへこみがある場合あり)。
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清澄山
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軍荼利山

日本の種は他の属と比べ最大7mm程度と小さいが、外国では1cm程度の種もいる(Agnara taprobanicaなど)。



オオハヤシワラジムシ属 Lucasioides

Kwon 1993によると

他の属より体が平たく、背甲はゴツゴツ。胸節の側縁部にgland poreがない。頭部の前方中心は三角に出っ張り、側方でも眼の前方へ強く突出する出っ張りがある。第1胸節の側縁が外側へ張り出し、例外もあるが後方が曲がりくねる。胸節のnoduli lateralesは第2-4胸節ではより中心側に位置する。オスの第1腹肢外肢の先端に浅いへこみがある。
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愛媛県
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千葉県

1cm程度の大型種から5mm程度の小型種まで見られる。

様々な環境に分布する。



ヒトザトワラジムシ属 Mongoloniscus

オオハヤシワラジムシ属より体が盛り上がり、背甲はゴツゴツ。胸節の側縁部にgland poreがある。頭部の前方中心は三角に出っ張るがLucasioidesほどでなく,側方の眼の前方への出っ張りも弱い。第1胸節の側縁は外側へ張り出さず後方側縁部は円い。胸節のnoduli lateralesは全て側方に位置するが、一直線に並ぶ場合と並ばない場合がある。オスの第1腹肢外肢の先端に深いへこみがある。
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兵庫県
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千葉県





胸脚や第2腹肢内肢に違いがあると書いてある文献もある。

オスの第1腹肢外肢の先端のへこみ具合については難しい。

noduli lateralesの位置についても難しい。


Do Heon, K. (1995). Terrestrial Isopoda (Crustacea) from Cheju Island, Korea. Animal Systematics, Evolution and Diversity, 11(4), 509-538.

Kwon DH. 1993. Terrestrial Isopda (Crustacea), from Korea.  Animal Systematics, Evolution and Diversity, The Korean Society of Systematic Zoology 36, 133-158.

Yamaki A, Ito MT, Kikuchi T. 2009. Reassignment of Lucasioides nebulosus to Agnara (Crustacea: isopoda: oniscidea) and redescription of the species. Species Diversity, 14(3), 207-215.

ここにはMongoloniscus属全種の検索表が載っている↓

Yang, L., & An, J. (2021). A new species of the genus Mongoloniscus Verhoeff, 1930 (Crustacea: Isopoda: Agnaridae) from China. Zootaxa, 5060(2), 265-274.

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2022年2月21日 (月)

地下水性ミズムシの種類

日本全国の川や地下水からはミズムシ Asellus hilgendorfii が見られる。

日本の淡水にすむミズムシやコツブムシの研究はほとんどない。


地下の淡水には別のミズムシも棲んでいることが知られていて、日本の地下水性ミズムシは東京都衛生研究所(現東京都健康安全研究センター)の松本浩一により、1950年代から少し研究が進んでいる。

井戸水の汚れ具合の観点から生物を見ていたらしい。


twitterで地下水性ミズムシについて見たので、ここでもまとめてみた。

採集記録が少ないものばかり。

日本語でまとめられている学術論文も参考にした。

齋藤暢宏、伊谷行、布村 昇 2000 日本産等脚目甲殻類目録(予報) 富山市科学文化センター研究報告 富山市科学文化センター 23 11-107

布村昇 2015 四国産等脚目甲殻類 Kuroshio Biosphere 11: 1–40



ウミミズムシ科Janiridae


メクラミズムシモドキ属 Mackinia Matsumoto, 1956

日本、朝鮮半島、ロシアに分布する。


メクラミズムシモドキ Mackinia japonica Matsumoto, 1956

体長4mm以下の眼がなく白くて半透明なミズムシ。東京都立川市(高松町と砂川町か?)の井戸水から最初に見つけている。その後、本州、四国、九州の各地の淡水の井戸からも捕れている。

Matsumoto 1956 On the two new subterranean water isopods, Mackinia japonica gen. et sp. nov. and Asellus hubrichti, sp. nov. Bulletin of the Japanese Society for Science and Fisheries 21 1219-1225

Matsumoto 1956 the organisms found in wells and their significance as the indicators for pollution of water. annual report tokyo-to labs med sci 6 81-108

写真(pdf)https://foundation.tokyu.co.jp/environment/wp-content/uploads/2011/02/07a6ed8f7fb9061aad9377140a79da271.pdf

チョウセンメクラミズムシモドキ M. coreana Matsumoto, 1967

Matsumoto 1967 Results of the speleological survey in South Korea, 1966, VII. Isopod crustaceans from subterranean waters of South Korea. Bulletin of the National Science Museum, Tokyo 10 259-283

Matsumoto K. 1970 Isopod crustaceans found in the subterranean waters of the Islands of Tsushima. Bulletin of the National Science Museum Tokyo 13 231-239.

対馬と韓国の井戸から見つかる。


韓国にはM. coreanaM. troglodytesM. birsteiniが、ロシアにはM. continentalisがいる。



ミズムシ科Asellidae


左右の腹肢が分離している。ウミミズムシ科などは左右がくっついて1枚となり、縫合線が見える。


ニッポンミズムシ属 Nipponasellus Matsumoto, 1962

Matsumoto K. 1962 Two new genera and a new subgenus of the family Asellidae of Japan. Annotationes Zoologicae Japonenses 35 162-169

小判状の体型。

Nipponasellus aioii (Chappuis, 1955)

Chappuis 1955 Remarques générales sur le genre Asellus et description de quatres especes nouvelles. Notes Biospéléologiques 10 163-182

Matsumoto K. 1966 Studies on the subterranean Isopoda of Japan, with notes on the well-water fauna of Japan. (Part 1). Studies on the subterranean Isopoda of Japan. (No. 2). Anual Rept. Tokyo-to Lab. Med. Sci. 23 77-103

兵庫県相生市の井戸水から見つかり、高知県からも見つかる。

Nipponasellus hubrichti (Matsumoto, 1956)

東京都八王子市の井戸水から見つかる。

Nipponasellus kagaensis (Matsumoto, 1958)

Matsumoto K. 1958 A new subterranean water-isopod: Asellus kagaensis sp. nov. from the wells of Japan. Bulletin of the Biogeographical Society of Japan 20: 19-24.

Nipponasellus takefuensis (Matsumoto, 1961)

Matsumoto K. 1961 The subterranean isopods of Honshu with descriptions of four new species. Bulletin of the Biogeographical Society of Japan 22: 45-67.

Nipponasellus tonensis (Matsumoto, 1961)



ウエノミズムシ属 Uenasellus Matsumoto, 1962

一属一種。Nipponasellusよりも若干細長く、尾肢が腹尾節の真後ろ先端に2本接して生える。

Uenasellus iyoensis (Matsumoto, 1960)

Matsumoto K. 1960 Subterranean isopods of the Shikoku Distict, with the descriptions of three new species. Bulletin of the Biogeographical Society of Japan 22 1-17

1958年に愛媛県松山市東拓川町の井戸から採集されている。体長6.6mmのオスと4.6mmのメスの2匹が、メクラミズムシモドキなどと一緒にいる。



ナガミズムシ属 Phreatoasellus Matsumoto, 1962

体が細長い。腹尾節や脚も長い。

Phreatoasellus akiyoshiensis (Ueno, 1927)

Ueno 1927 Notes on some subterranccan isopods and amphipods of Japan Mem Coll. Sci Kyoto Imp. Univ. B. 3. 355-368

Matsumoto K. 1960 The subterranean-water isopod of Akiyoshi limestone area. Japanese journal of zoology 12: 603-608

1927年5月に山口県秋芳洞の琴ヶ淵の淡水から採集された。眼がないのに光に敏感と書いてある。北海道から九州の井戸から見つかる。

アワナガミズムシ Phreatoasellus awaensis Nunomura, 1914

布村昇 2014 四国産等脚目甲殻類-2 高知,徳島,香川県産標本. Bulletin of the Toyama Science Museum 38 55-94

徳島県阿波市市場町上喜来北原の井戸水から見つかる。

Phreatoasellus higoensis (Matsumoto, 1960)

Matsumoto K. 1960 Subterranean isopods of the Kyushu District, with the descriptions of three new species. Bulletin of the Biogeographical Society of Japan 22: 27-44.

Phreatoasellus iriei (Matsumoto, 1978)

Phreatoasellus joianus (Henry & Magniez, 1991)

韓国から見つかる。

ナガミズムシPhreatoasellus kawamurai (Tattersall, 1921)

Tattersall WM 1921 Mysidacea, Tanaidacea, and Isopoda. Pt. 7. In: Zoological results of a tour in the Far East. Memoires of the Asiatic Society of Bengal. 6: 403-443 (plates 15-17).

日本で最初に見つかった地下水性ミズムシ。細長く、体長は3cmを超える。細長く小さい目がある。滋賀県大津市の井戸水から最初に見つかり、近畿、中国、四国、九州の井戸水や洞窟から見つかる。日本海域研究第49号に写真がある。

Phreatoasellus minatoi (Matsumoto, 1978)

Matsumoto K. 1978 Three new species of subterranean asellids from southern Kyushu and the Kii Pensinsula, Japan. Journal of the Speleological Society of Japan. 3: 20–34.

下平の坑道から見つかる。

Phreatoasellus miurai (Chappuis, 1955)

日本

Phreatoasellus uenoi (Matsumoto, 1978)

熊本県球泉洞から見つかる。

Phreatoasellus yoshinoensis (Matsumoto, 1960)

徳島県川田町、山川町の井戸水から見つかる。



ミズムシ属 Asellus Geoffroy, 1762

Asellus amamiensis Matsumoto, 1961

Matsumoto K. 1961 Two subterranean isopods from the Amami group (Ryukyu Islands), with a description of a new species. Annotationes zoologicae Japonenses 34:208-215

Matsumoto K. 1963 Studies on the subterranean Isopoda of Japan, with notes on the well-water fauna of Japan. (Part 1). Studies on the subterranean Isopoda of Japan.(No. 1). Anual Rept. Tokyo-to Lab. Med. Sci. 13 (Suppl.): 1-77

奄美大島名瀬市の井戸から見つかる。

Asellus ezoensis Matsumoto, 1962

Matsumoto K. 1962 A new subterranean asellid from Hokkaido. Japanese journal of zoology. 13:257-265.

北海道札幌や帯広の井戸から見つかる。

Asellus hyugaensis Matsumoto, 1960

宮崎県西都市の井戸から見つかる。

Asellus kumaensis Matsumoto, 1960

熊本県人吉市下青井町の井戸から見つかる。

メクラミズムシ Asellus musashiensis Matsumoto, 1961

東京都中野区の井戸から見つかる。

Asellus shikokuensis Matsumoto, 1960

Asellus tamaensis Matsumoto, 1960



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