浜辺で足をかじってくるスナホリムシ
海水浴をすると、足にくっついてチクチクかじってくる虫がいる。
あの虫はたいてい「スナホリムシ」というダンゴムシの仲間。
海に行って、海水中を泳いでいたスナホリムシを捕まえてみた。(採集方法)
この写真のはヒメスナホリムシExcirolana chiltoniである。
ヒメスナホリムシは海水浴場など浅い砂浜の海底によくひそんでいる。
人が少ない海に多くいるらしい。
日本には他にもニセスナホリムシ Cirolana harfordi 、ヤマトスナホリムシ Natatolana japonensis が磯や海中林にいる。
ヒメスナホリムシの大きさは1cmほどで、体に透明感があり、ゼリーみたいにやわらかい。
あしの数はダンゴムシと同じ。
胸脚は真っすぐで、前3対が前向き、後ろ4対が後ろ向き。
しばらくは飼育できた。
普段は海底の砂に潜っているが、餌を探して海水中をすばしっこく泳ぐことがある。
魚など漁獲物を食べてしまう被害を出すことがある。
そして人間の足にくっついて、かじってくる。
スナホリムシは肉食であり、チクっと噛むのは食べようとしてるかも。
毒もなく力も弱いので、噛まれても基本的に害はない。
ただし傷口があったら悪化させるかもしれない。
ニセスナホリムシが水死した人間を食べたケースはある。
スナホリムシの他に、ウオノシラミがダイバーに噛み付き、出血させた報告もある。
ヒメスナホリムシの画像
顔。触角を横につけて死んだふりをしている。
体断面は半球
後ろの腹部。体表に独特の紋様がみられる。
お尻にある2対の尾肢。毛がいっぱい。
このひれは、陸にいるダンゴムシでは退化して小さい。
スナホリムシの まるくなる!
スナホリムシの ぼうぎょりょくが あがった!
甲殻亜門ワラジムシ目ウオノエ亜目スナホリムシ科に属している。
あのダイオウグソクムシも同じスナホリムシ科で、多少は近縁らしい。
深海に進出するとあんなサイズに…
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コメント
初めまして。こちらの事件はもうご覧になってますか?
↓
http://www.bbc.com/news/world-australia-40858842
cirolana harfordi が下手人とされているようです。
投稿: deltelta | 2017年8月12日 (土) 11:43
見ました。
スナホリムシに釣った魚を食べられてしまった、という話は聞いたことがありましたが、やっぱり人のことも食べようとしてるんですね~
投稿: だんだんダンゴムシ | 2017年8月12日 (土) 23:09
ちょっと海に入るのが怖くなりますね…。
投稿: deltelta | 2017年8月13日 (日) 23:46
おまたせ〜。
『生鮮な人肉をヒメスナホリムシに与える―観音崎産等脚目・端脚目甲殻類4種の飼育事例―』
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cancer/28/0/28_e153/_article/-char/ja
ヘラムシ2種と、ミノガサヨコエビみたいな黄色いあいつのことも、この1著にねじ込んでおきました。
投稿: 川崎ピースケ | 2019年9月 6日 (金) 08:45
御高著ありがとうございます。
人の肉を食べていて驚きました。「食べようとしているのかも」じゃなくて本当に食べているようですね
投稿: だんだんダンゴムシ | 2019年9月17日 (火) 23:23