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2014年1月

2014年1月22日 (水)

砂漠のワラジムシ

ほとんどのダンゴムシやワラジムシは湿った場所にいる。

比較的乾燥に強いオカダンゴムシでも、湿り気が強い場所に隠れている。
Imgp4617




Hemilepistus reaumuri

ハクタイワラジムシ科の一種 Hemilepistus reaumuri は砂漠にいる。

サハラ砂漠や中東のNegev砂漠のステップ気候や砂漠気候に住んでいる。



英語版Wikipediaには、水は空気中の水滴を吸っていると書いてある。

写真を見ると全身の皮膚が固そう。

体を地面から浮かせて、地面の熱が体に伝わりにくいようにする工夫も見られる。



乾燥や天敵サソリを避けるため、穴を掘って棲む。

甲羅前半分にごつごつがあり、土を載せて外に運び出せる。

頭から穴に入る→とげを穴の底に押し付ける→底を削って、とげの上に砂を載せる→後ろに下がりながら出て、地上に出たら、とげと甲羅の間に挟んだ砂を落とす。

6cmぐらい掘り進める。

甲羅にとげのあるワラジムシ: だんだんダンゴムシ



Hemilepistus reaumuri
が巣穴を掘る動画




一夫一妻制で、親は巣穴で子育てする。

一夫一妻制のワラジムシ亜目は非常に珍しい。

夫婦は死ぬまで一緒の穴に住む。

親は自分の子どもと他人の子どもを嗅ぎ分けられる。

Linsenmair, K. E. (2009). Individual and family recognition in subsocial arthropods, in particular in the desert isopod Hemilepistus reaumuri.

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2014年1月20日 (月)

ダンゴムシやフナムシって英語で何と言うかを調べた

中学生の時、アメリカ人の英語の先生にダンゴムシは何というか聞いたら、

rolly pollies

と答えてくれた記憶がある。



改めて調べるとrolly pollyは子どもが使う単語で

英語では

woodlice

といっているみたい。論文でも見かけるからおそらくフォーマルな言い方。



この単語はダンゴムシとワラジムシを両方含んでいると思われる。

woodlouseのWilkipediaを見ると俗称はたくさんある。

地方によっていろいろな表現があるのだろう。



フナムシの方はアメリカの論文を見ると

rock lice or sea slaters

とある。

論文を普通に読んでいると

terrestrial isopods: 陸上にいるワラジムシ目
coastal isopods: 海浜にいるワラジムシ目
aquatic(marine) isopods: 海にいるワラジムシ目

という言葉が多い。



ちなみにスペイン語圏のメキシコではダンゴムシを

cochinilla(コチニギャ)

という。留学生から直接聞いたので間違いない。

(しかし、コチニールと言ったらカイガラムシのことを連想してしまう)



そして、デンマーク語でワラジムシ亜目は

bænkebidere

という。 

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2014年1月18日 (土)

ボルバキアとダンゴムシのまとめ

ダンゴムシに感染する細菌にボルバキアというのがいる。



ボルバキアは節足動物や線虫に共生する細菌。特に昆虫への感染で有名。

エンドサイトーシス?で細胞内共生をして、栄養(主にアミノ酸?)を横取りして寄生している。

見た目で体に異常が出るわけでもなく、見た目は非感染個体と変わらない。

ただ、一般的に産む卵の数が減るなどすると言われている。

(ボルバキアから必須栄養素のビタミンをもらっているトコジラミがいる。この場合は相利共生。寄生していたボルバキアを利用するように進化したと考えられる。)



1990年少し前からボルバキアが原因のダンゴムシの性別操作がいくつか報告されている。

(論文の中にボルバキアについての記述はないが、リケッチアのようなバクテリアが原因だと匂わせている。90年代半ばからボルバキアと書いてある。1971年にボルバキアがホストの性別を変えるのはわかっている。by Wikipedia)

感染ダンゴムシが高い温度にさらされると、体内のボルバキアが死ぬという現象が面白かった。ここにいろいろ紹介がある。




感染方法

ボルバキアは、母親由来のボルバキアが卵の細胞質に入り、

その卵から生じた子供は保菌者となる。精子には入れない。(vertical transmission)

なので、ボルバキアは全て母系である。



ときどき体液を介して感染する。(horizontal transmission)

ボルバキアは動物の細胞内でしか増殖できないようだが、細胞の外に出てもすぐに死ぬわけではない。

感染ショウジョウバエから取り出した細菌を非感染ハエに注射したら感染が成立する。

蛾に寄生する寄生バチの場合、蛾がボルバキアに感染しているとすると寄生バチの幼虫もそのボルバキアに感染してしまうことがある。

ヨコバイが同じ木の樹液を吸うことで別の種にも感染する、同じカボチャの葉っぱを食べるコナジラミやヨコバイやハムシが、同じボルバキアに感染することがある。



ダンゴムシでの感染は、やはりvertical transmissionである。

horizontal transmissionは、非感染ダンゴムシの脚を切断し、傷口に感染ダンゴムシの血液を垂らすと感染するという例がある。

また、弱った感染ダンゴムシを共食いした非感染ダンゴムシが、ボルバキアに感染した例もある。

vertical transmissionをすると複数系統のボルバキアが、1つのホストの中に一緒に入って遺伝子の組み換えを起こすこともある。

クロバエで最初に見つかり、ダンゴムシでも見つかっている。




性比操作

細胞内共生をする細菌は珍しくはないが、ボルバキアの一部には、ホストの性別を変える能力が進化している。

vertical transmissionで、ホストが産む子供にメスが多ければ多いほど、感染したボルバキアは子孫を多く残していく。


そのため、この4つのいずれかの戦略をとる。

1.感染オスの精子と非感染メスの卵の受精卵が細胞質不和合で不妊になる。
2.単為生殖をできるようにする。
3.遺伝的なオスの機能的にメス化する。
4.メスの体内でオスの卵を殺して、メスの卵を増やす。



ダンゴムシのボルバキアは、3番のダンゴムシの産む子どもをメスに変えてしまう方法をとる。
3番は4つの中では珍しいらしい。

このボルバキアが広まると、メスの割合が異常に高くなり、次世代が残せずホストの集団数は減少する。

単純に考えると、どんどん子どもが残せなくなって完全に絶滅しそうな気もするが、なかなかそれはないらしい。

「働かないアリに意義がある」という本に似たような話が書いてあった。



ホストの数が激減するとなるとボルバキアも困るかもしれない。

わずかにオスをつくるボルバキアが現れそうな気がするが、全てをメスにするボルバキアに負けるので現れないのだろう。

利己的に動くのでしょうがない。



このメスの性比を高くする戦略はボルバキアにとって適応度の上昇をもたらすが、ホストの適応度の低下をもたらす。

なぜなら、ホストにとって普通は性比が1:1が最も有利だからである。(フィッシャーの原理)

ここでボルバキアVSホストの戦いが始まる。



メスを増やして急速にボルバキアが広がると、

ホストにとっては当然ボルバキアの影響を回避してオスをつくる突然変異を起こした個体が有利になる。

サモアのメスアカムラサキは、2001年ごろはボルバキアによりオスが1%だったが、抵抗性のオスが現れ2006年には約40%にまで回復したらしい。

性決定を操作するボルバキアが登場

ボルバキアの感染により性比がメスに偏る

ボルバキアが広がり、ホストがメスばかりになる

ホストの中で、性決定機構を変えることでボルバキアを抑えてオスを多くつくる個体が増える

性比が1:1に戻り、ホストの性比が回復(上に戻ってエンドレス)
みたいなことが起こっていそう。




ボルバキアはホストの性決定機構の進化を促進して可能性があると考えられる。

感染個体と非感染個体、もしくはあるボルバキア株の感染個体と別のボルバキア株の感染個体同士で子どもが残せなくなることがある。

ある2種のヤドリコバチにはそれぞれボルバキアが共生している。通常はその2種が交雑しても子どもはできない。

しかし、抗生物質でボルバキアを殺すとこの2種は子どもを残せるようになった。

ダンゴムシでもボルバキアに感染すると子どもが全員メスになる。
遺伝的にオス(ZZ)であっても、機能的にメスにしてしまう。

そして、このメス化を回避するダンゴムシも当然現れている。

感染ダンゴムシとの交尾を避けるダンゴムシもいる。



ボルバキアは性別だけでなく、ホストの免疫にも影響を与えている。

ボルバキア感染蚊にマラリア原虫を感染させないようにする現象がおきるという。

ボルバキア感染蚊をマラリアがある地域にばらまいて、マラリアを抑える実験が計画されているらしい。

成功したら、すごい。





ダイオウグソクムシのiPhoneケースが発売された。

3000円もしている。

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