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2014年5月

2014年5月27日 (火)

ワラジムシから、ねばねばの分泌物を出す方法

ワラジムシPorcellio scaber は日本によくいる。

外来種で街中に多い。



ワラジムシの体から出るねばねばの物質

ワラジムシは敵に襲われると、ねばねばした粘液を体から出す。

ワラジムシから出るねばねばの分泌物
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尾肢から出ている。

おそらく敵から身を守るために出す。



ねばねばを出す方法

大きめのワラジムシを捕まえる。

1cm以上だと扱いやすい。

ワラジムシを捕まえたら、

ワラジムシの胸部を左右から指ではさんで持つ。
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尾肢の部分を指で連打する。

20~30回ぐらいすばやく連続で叩く。

そうすると、尾肢からねばねばしたものが出る。



長時間、強く叩きすぎると、ワラジムシが弱ったり、尾肢が取れたりするので注意。



周りにワラジムシがいる人は、ぜひやってみて下さい。

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2014年5月14日 (水)

神戸のコシビロダンゴムシ、ワラジムシ

神戸のコシビロダンゴムシは関東のものと違った。


シッコクコシビロダンゴムシ
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大部分が黒く、頭部と尾節がオレンジ。


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おなか


おしりのオレンジの範囲がそれぞれ微妙に違う。

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オレンジの範囲が広い。


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オレンジの範囲が狭い。




10匹もらい、性比を確認したところ、9匹がメスであり、オスは1匹のみであった。

ボルバキアでもいるのだろうか?

そういえば、いつだったか新聞にボルバキアの研究者である陰山先生が載っていた。

ボルバキアに感染したキチョウがメスになってしまう話だったような。



ハナダカダンゴムシは性比が正常だった。



ハヤシワラジムシ科の一種
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種がわからない。

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神戸のハナダカダンゴムシ。他のダンゴムシとの違い。

神戸に行った理解のある友人からダンゴムシやワラジムシをもらった。

オカダンゴムシとハナダカダンゴムシとコシビロダンゴムシがいたらしい。



ハナダカダンゴムシ
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独特の模様をしている。

ヨーロッパから来た外来種。最近広まりつつある。




ハナダカダンゴムシ Armadillidium nasatum とオカダンゴムシ Armadillidium vulgare の比較


1.頭部の先端

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ハナダカダンゴムシの頭

頭部の先端に突起がある。


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オカダンゴムシの頭

突起はない。



2.尾肢

ハナダカダンゴムシのおしり
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2つの尾肢外肢の面積が腹尾節に比べて広い


オカダンゴムシのおしり
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尾肢外肢の面積が小さい



コシビロダンゴムシとオカダンゴムシの違いは、詳しくはこちらで見て下さい。

ダンゴムシやワラジムシの外来種がブラックリストに載るかも

オカダンゴムシとコシビロダンゴムシの腹肢の違い




他にもいろいろ違いがハナダカダンゴムシにはあった。

ハナダカダンゴムシの特徴は、
甲羅が軟らかい
甲羅の形がタテジマコシビロダンゴムシみたい
丸くなりにくい
色が少しくすんでいる
模様の多様でない
全体的に落ち着きがない



他のダンゴムシは次回

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ダンゴムシの仲間は2回に分けて脱皮する

ダンゴムシの仲間(ワラジムシ目、等脚類)は脱皮動物である。

脱皮する時、後ろ半分→前半分、と2回に分けて脱皮する。

英語では「biphasic molting」という。「posterior →anterior」で二相性。


この二相性脱皮はワラジムシ目のみで見られる珍しい行動である。

他の甲殻類のエビ、カニ、ヨコエビは脱皮を1回で終わらす。


ダンゴムシが脱皮をする理由は「成長のため」「繁殖のため」の2つがある。

脱皮すると体が大きくなる。繁殖期のメスは脱皮と同時に排卵する。

詳しくはダンゴムシの生殖脱皮、生理周期、求愛: だんだんダンゴムシで。



脱皮の時系列

1.最初に表面がうっすら浮き上がる。

全体的に白っぽくなることがある。触ると少し柔らかく感じる。
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このとき甲羅の成分であるカルシウムを再吸収して後ろ半分から前半分へ移動させるため、

体の腹側の前半分にカルシウム斑ができる。


2.後ろ半分を脱ぐ。
Photo
コシビロダンゴムシの後ろ脱皮直前

どのワラジムシ目も第4胸節と第5胸節が境目となる。


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コシビロダンゴムシの後ろの脱皮殻


3.数日かけて後ろ半分がかたくなる。

成長したせいか、後ろ側が太くなったように見える。

前方のカルシウムが後方へ送られ、カルシウム斑が消える。


4.前半分が白くなり、前側を脱皮をする。
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コシビロダンゴムシの前半分の脱皮直前


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オカダンゴムシの前半分の脱皮殻



脱皮直前に柔らかくなるのは、古い甲羅を溶解→吸収→新しい甲羅に再構成しているからだと思われる。

これによって、脱皮で失う栄養分をなるべく少なくしていると考えられている。

ちなみに、三葉虫はこれができないらしい。

脱皮動物によく見られることだが、抜け殻もすぐに食べて栄養源にする。



ダンゴムシの甲羅の構造は土と生き物: Hornungの1を見て下さい。

さらに細かい時系列は以下に書いた。

ワラジムシの脱皮のステージ、二回脱皮の理由: だんだんダンゴムシ



海に住むダンゴムシの仲間の脱皮

ダンゴムシの仲間であるワラジムシ目はほぼ全て2回にわけて脱皮する。

ワラジムシ、フナムシ、コツブムシ、ヘラムシ、ミズムシ、オオグソクムシ、ダイオウグソクムシなど。


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後ろ半分を脱皮中のキクイムシ



脱皮を一発で終わらす例外の種類

例外は、ヘラムシ亜目で南極周囲にすむヤリボヘラムシ トガリヘラムシの一種Glyptonotus acutusである。

NHKのサイトにこのヘラムシの動画がある。


Robert Y George, 1972, Biphasic moulting in Isopod Crustacea and the finding of an unusual mode of moulting in the antarctic genus Glyptonotus

この種は、体全体を一気に脱ぐことで、脱皮を一回で終わらす単相性脱皮である。

この種は南極固有。Glyptonotus 属自体も、南極に2種、北極に1種しかいない。


(追記)さらに調べたら、脱皮を一回で終了する種類が他にもいた。

フナムシ、エビヤドリムシの特殊な脱皮(単相性脱皮)



「なぜ脱皮を前後2回に分けるのか?」を考えた

脱皮を2回に分ける理由はわかっていない。

同じ甲殻亜門に属する十脚目(エビ、カニなど)や端脚目(ヨコエビ、ワレカラなど)などは1回で脱皮を終わらす。

ダンゴムシと体が似ているヨコエビとも脱皮の仕方が違う。


周囲の環境やエサの量によって、脱皮は延期することが可能である。

生理学的には前半分だけが後ろ半分より遅れて脱皮しているのだと思う。

上のトガリヘラムシの論文では、ホルモンが前半分だけ遅れていると予想している。


なぜこの進化がワラジムシ目に定着したのだろう?

南極のトガリヘラムシの論文には、「背甲がないから」「南極という特殊な環境だから」とあったが、

納得がいかないし、さすがに違うかな。


単相性脱皮が不利な点として

全部の脚(殻)が弱くなり、敵から逃げにくくなる
一気に多くのエネルギーを使うから、死にやすい
うまく脱げず、脱皮に失敗しやすい

などが思いついた、がなんか微妙…

半分脱皮と全部脱皮の間で、被捕食率、死亡率、脱皮失敗率に差はある?


なんとなく、カルシウムを失わないように二相性にしている気がしている。

エビなどは再吸収するカルシウムを胃などに蓄積するが、脱げてしまう皮膚には溜められない。

たぶん胃だけでなく皮膚など体半分全体にカルシウムを蓄積できる二相性脱皮は、脱皮による損失が抑えられるのだと思う。

ワラジムシの脱皮のステージ、二回脱皮の理由: だんだんダンゴムシ



どこかのホームページで

>固まっていない表皮から水分が抜けてしまうから、乾燥を抑えるために2回に分ける。

と書いてあったが、

ワラジムシ目の祖先は海で進化したので、「乾燥」は理由にならない。


ダンゴムシの仲間だけに見られる特殊な二相性脱皮についてのレビュー

Sahadevan AV, TA, JP, Kappalli S. 2022. Biphasic moulting in isopods confers advantages for their adaptation to various habitats and lifestyle. Biologia, 1-15.

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2014年5月11日 (日)

オスに3種類の形態があるツノオウミセミ

海にいるダンゴムシの仲間、コツブムシについて調べていたら、

ツノオウミセミの一種 Paracerceis sculpta は、おもしろい性質を持つということを見つけた。



ダンゴムシの性的二型

オカダンゴムシは雌雄で形が違う。(性的二型がある)

例えば、ダンゴムシのオスの第一胸脚の毛は、メスよりおおい。



コツブムシにも性的二型はよく見られる。

このツノオウミセミにも性的二型があり、雌雄で形がちがう。

それだけでなく、オスにも3種類のタイプがあるのである。




Paracerceis sculpta のオスのかたち

サイズが大きい順にα、β、γタイプと分類されている。

Female sexual receptivity associated with molting and differences in copulatory behavior among the three male morphs in Paracerceis sculpta (Crustacea: Isopoda)

この論文にスケッチがある。



α-male: 尾肢などが発達し、メスより大型のタイプ

β-male: 大きさ、外観がメスに擬態したタイプ

γ-male: 上の2タイプより小さく、子どもに擬態したタイプ



3つのどれになるかは遺伝的に決まっていて、繁殖率は等しいらしい。

(Equal mating success among male reproductive strategies in a marine isopod)

3つとも同じ種というのがおもしろい。




生活史、ダンゴムシの繁殖(長文)

このツノオウミセミは、海綿(Leucetta losangelensis)の中で、石灰藻などを食べている。

海綿にα-maleが巣をつくり、複数のメスを守っている。

オスはメスがsexual receptivityを持つタイミングをじっと待ち、外敵や別のオスからメスを守っている。



オスが大変なのは、メスは一生で約1日だけsexual receptivityを保持している(交尾ができる?)ということである。

sexual receptivityが2回訪れることはなく、そのとき交尾しないと二度と妊娠できない。

未熟卵が再吸収されることはない。



※オカダンゴムシは一生のうち、何度も子どもを産める。

また、精子の貯蔵器官があるので、いつでも交尾でき、一年以上も精子を保存でき、好きなときに使える。

オカダンゴムシが広まったのは、この性質の助けがあるからと思ったが、このツノオウミセミも世界中に外来種として広まっているので、関係ないかも。




まず、メスの卵が成熟し、オスがそばにいると脱皮を開始する。

この脱皮を普通の脱皮と区別して、sexual moltという。

ワラジムシ目の特徴として、脱皮を二回に分けることがあげられる。(biphasic moulting)後ろ半分を脱ぎ、前半分を脱ぐ。



後ろを脱いでから、前を脱ぎ始める直前までがsexual receptivityを持つ時間である。

後ろを脱ぐ時まで、生殖孔がないので、物理的に交尾ができない。

そして、前を脱ぐと、卵は育房(brood pouch)に移動してしまう。

オスは触角でこの瞬間のメスを常に探し、見つけると交尾する。



生殖孔は左右に二つあり、両方に精包(sperm mass)を注入する。

精子は運動せず、見た目は線虫のようなもの。oviductの運動で卵巣に運ばれるとされる。

ダンゴムシの精子と形が似ている。



交尾できる時間は何時間もあるので、その間にメスは複数回交尾を受け入れる。

このとき、α-maleの隙をついてくるのが、β、γ-maleである。

β-maleはメスに扮して堂々と、γ-maleは小さい体なので巣の隙間からこっそり侵入する。

そしてメスと交尾し、速やかに去る。



α-maleは、β、γに対抗するために、

交尾が終了してもメスに抱き付いて、他のオスの接触を断とうとする。



メスは前の脱皮をすると、口が退化している。一回繁殖(semilparity)のDynamene属ではよくある。

飲まず食わずで卵を育て始める。

脱皮前はよく食べるが、脱皮をすると一切食べなくなる。

そのかわり、体色、消化管、筋肉組織が減少していき、動きも鈍くなる。

やせ細ったメスは、子どもを産んだら、力尽きて死んでしまう。



数十日たつと子どもが孵る。

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