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2014年5月14日 (水)

ダンゴムシの仲間は2回に分けて脱皮する。

ダンゴムシの仲間(ワラジムシ目、等脚類)は脱皮動物である。

脱皮する時、後ろ半分、前半分、と2回に分けて脱皮する。

英語では「biphasic molting」という。「posterior →anterior」で二相性。



この二相性脱皮は、ダンゴムシの仲間だけで見られる、特徴的な行動である。

(下の方で書いたように一部のワラジムシ目は単相性脱皮である。)



ダンゴムシが脱皮をする理由は、「成長のため」と「繁殖のため」の2つがある。

詳しくはダンゴムシの生殖脱皮、生理周期、求愛: だんだんダンゴムシで。




脱皮の時系列

1.最初に、表面がうっすら浮き上がる。全体的に白っぽくなることがある。

触ると少し柔らかく感じる。

古い甲羅の再吸収が起きる。



2.後ろ半分を脱ぐ。

Photo
コシビロダンゴムシの後ろ脱皮直前


Imgp2511
コシビロダンゴムシの後ろの脱皮殻



3.数日かけて、後ろ半分がかたくなる。

成長したせいか、若干、後ろ側が太くなったように見える。



4.前半分が白くなり、脱皮をする。

Photo_2
コシビロダンゴムシの前半分の脱皮直前


Imgp2421
オカダンゴムシの前半分の脱皮殻




脱皮直前に柔らかくなるのは、古い甲羅を溶解→再吸収→新しい甲羅に再構成しているからだと思われる。

再吸収によって、脱皮で失う栄養分を極力少なくしていると考えられている。

ちなみに、三葉虫はこれができないらしい。




ダンゴムシの甲羅の構造は土と生き物: Hornungの1を見て下さい。



脱皮動物によく見られることだが、抜け殻はすぐに食べてしまう。

殻も貴重な栄養源。




海に住むダンゴムシの仲間の脱皮

ダンゴムシの仲間の、ワラジムシ、フナムシ、コツブムシ、ヘラムシ、ミズムシ、オオグソクムシ、ダイオウグソクムシなども2回にわけて脱皮する。


Imgp7042
後ろ半分を脱皮中のキクイムシ




脱皮を一発で終わらす例外の種類

例外なのは、ヘラムシ亜目で南極周囲にすむヤリボヘラムシ トガリヘラムシの一種Glyptonotus acutusである。

NHKのサイトにこのヘラムシの動画がある。




Robert Y George, 1972, Biphasic moulting in Isopod Crustacea and the finding of an unusual mode of moulting in the antarctic genus Glyptonotus

この種は、体全体を一気に脱ぐことで、脱皮を一回で終わらす。

南極という特殊な環境だから、1回脱皮であると書いてある。



この種は南極固有。Glyptonotus 属自体も、南極に2種、北極に1種しかいない。




(追記)

さらに調べたら、脱皮を一回で終了する種類が、他にもいた。

フナムシ、エビヤドリムシの特殊な脱皮(単相性脱皮)










「なぜ脱皮を2回に分けるのか?」を考えた

同じ甲殻亜門に属する十脚目(エビ、カニなど)や端脚目(ヨコエビ、ワレカラなど)は一回で脱皮を終わらす。

ダンゴムシと体が似ている気がするヨコエビと脱皮の仕方が違う。



脱皮は周囲の環境や、エサの量によって、延期することが可能である。

おそらく、生理学的には、前半分だけが後ろ半分より遅れて脱皮しているのだと思う。

上のトガリヘラムシの論文では、ホルモンが前半分だけ遅れていると予想している。



なぜこの進化が定着したのだろう?

南極のトガリヘラムシの論文には、「背甲がないから」とあった。

(ヨコエビなども背甲がない)



単相性脱皮が不利な点として

いっぺんに脱皮すると
全部の脚(殻)が弱くなり、敵から逃げにくくなる
一気に多くのエネルギーを使うから、死にやすい
うまく脱げず、脱皮に失敗しやすい

などが思いついた。

半分脱皮と全部脱皮の間で、被捕食率、死亡率、脱皮失敗率に差はある?



どこかのホームページで

固まっていない表皮から水分が抜けてしまうから、乾燥を抑えるために2回に分ける。

と書いてあった。

ワラジムシ目は海で進化したので、「乾燥」は理由にならないはず。

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