オオグソクムシの付属肢(前編)
オオグソクムシ Bathynomus doederleini の付属肢について書く。
参考に読んだオンラインで読める論文
NOTE ON THE GIANT ISOPOD GENUS BATHYNOMUS MILNE EDWARDS, 1879 WITH DESCRIPTION OF A NEW SPECIES
※甲殻類などの節足動物の体の構造やそれを使った種の分類については専門的な分野です。私はオオグソクムシの専門家ではありません。同じワラジムシ目の中であっても種類によって、体のパーツの名前が違ったり、ここが違うと別種だと言えるというような重要な部位が異なったりします。この辺りは過去の文献や記録を熟読して勉強し、多くの標本を見る経験が必要なので、正確で詳しい内容は専門家に聞くしかないです。上で挙げた論文がまともな論文なのか私は知らないです。
触角
第1触角(antenna(複数形 antennae) 1 =antennule =first antenna)
太い節が柄節(peduncle)、細い節が鞭節(flagellum, жгутик)。
ダイオウグソクムシはもっと長く、3節+46~50節。
第1触角の鱗節状小節(矢印の小さい突起)(antennular scale)
ワラジムシ目ではオオグソクムシ属、エビヤドリムシ科の幼生、キクイムシ科、ケウピリア科に見られる特徴。
第2触角の鱗節状小節(antennal scale)はミズムシ亜目で見られる。
BRUSCA, R. C. (1991). A phylogenetic analysis of the Isopoda with some classificatory recommendations. Mem Queensl Mus, 31, 143-204.
第2触角(antenna 2 =antenna =second antenna, второй пары антенн)
長い
顔
付属肢ではないがついで。
頭部(cephalon)の前方中心が額角(がっかく、rostrum)。
その腹側に、額葉(がくよう、frontal lamina)、頭楯(とうじゅん、clypeus)、上唇(じょうしん、labrum)がある。
額葉と頭楯はくっついて1つになっている等脚類もいる。
頭楯が触角の間にでっぱる。
胸脚
胸節1つから1対の胸脚が出る。
脚の根本は底板 epimere (=epimeron, 複数形 epimara)と繋がっている。
第1胸脚(pereopod 1)
節の名前は、先端から指節 dactulus, 前節 propodus, 腕節 carpus, 長節 merus, 座節 ischium, 底節 basis で合っているはず。底節 basis 入れるの忘れた。
脚についている黒いとげは、robust setaeと呼ばれている。
このとげの数や位置が種によって違う。
setaとspikeとspineの違いがわからない…
第2胸脚(pereopod 2)
矢印の部分が種によって違うと書いてあるものがある。
爪が鋭くて長い
第3胸脚(pereopod 3)
第2胸脚と形が似ている。
第4胸脚
第4胸脚以降、がらっと形が変わる。
第5胸脚
色が変なのは、死んで腐ったせい。
第6胸脚
第7胸脚
並べた
後編に続く。口や腹肢です。
ふるさと納税のツイート
ふるさと納税のサイトでオオグソクムシのページを見ると、
「無益な殺生」とか、「わざわざ捕獲して殺すのか」と書かれている。
正直言って、これはすごい!
犬を殺処分すると「かわいそう」「殺さないで」と言う声が出るが、ゴキブリやダンゴムシを殺処分するための殺虫剤は平然と売られている。
気になって、天然マグロという返礼品のページを見てみると、「わざわざ海から引きずり出して」という批判は書かれていない。
ということは、世間一般はもう
オオグソクムシ>マグロ
なのである。
オオグソクムシに対してこんなに同情の声(?)が集まるなんて嬉しい。
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