オカダンゴムシのオスメスの見分け方(オスはすね毛が濃い)
よく見るダンゴムシは「オカダンゴムシ」という種類である。
オカダンゴムシは雌雄によって形が違うところがある。
性別を見分けるポイントを5つまとめてみた。
(2と4はワラジムシ、フナムシにも適用可。5も?)
1. 甲羅の色
おす
オスは黒い部分が多く、黄色い斑点が少ないめす
メスは黄色い斑点が多いめす
茶色や白もいる
特にメスはいろんな色があり、バリエーションに富んでいる。
微妙なこともあり、性別を完全に分けるのは難しい。
2. 腹肢
確実な見分け方は腹肢を見ることである。
ダンゴムシの腹肢は呼吸と交尾のために使われる。
エビで言うところの、身の内側の殻につく何本ものピラピラしたやつ。オス
オスは腹部の腹面に2本の突起が見える。 メス
メスは突起がない。
オスに見える突起は第1腹肢内肢である。
オスの右の第1腹肢の拡大写真。上の長方形は外肢、下のフックのある節は内肢、最も下のY字はオスの生殖器。
腹肢は第1腹肢から第5腹肢からなり、それぞれ左右に1対ずつあり、それぞれ外肢と内肢がある。
(オスの子どもは長さが短く不完全である。)
この突起はペニス(オスの生殖器)ではなく、変形した肢である。
交尾のときにメスの生殖孔に内肢の先端部(写真左のフック状の部分)を挿入する。
生殖器から出た精液をメスに送るパイプのような役割を担うと言われているがメカニズムは未解明である。
メスの生殖器についての記事
ダンゴムシの交尾方法についての記事
3. 第1胸脚のすね毛
オカダンゴムシの標本から脚を外して顕微鏡で観察すると、オスメスの違いがみえてくる。
胸部には脚が第1胸脚から第7胸脚まで14本ある。
このうち一番前にある脚、第1胸脚に違いがある。
メスの第1胸脚(一マスは0.25mm四方)♀
節に名前があり、先端(右)から前節(propodus)、腕節(carpus)、長節(merus)と呼ばれる。
メスは腕節に疎らに毛が生える。(矢印)
オスの第1胸脚♂
オスはメスに比べ、腕節の内側に密集した剛毛が見られる。(矢印)
つまり、オスのオカダンゴムシの太ももは毛深いということである。
一番前の脚のすね毛の濃さを見れば性別がわかる。
これは一部のダンゴムシやワラジムシだけで見られる現象である。
オカダンゴムシの他に、南西諸島にいるネッタイコシビロダンゴムシCubaris murina(英語)が知られる。
オスの胸脚(pereiopod)の第1、2、3、7は毛深いと書かれている。(写真つき)
なぜオスが毛深いのか?
交尾のときに必要なのではないか、と先生は言っていた。
交尾のとき、オスはメスを脚で抱きかかえる。
毛が長い方がメスをキープしやすいのではないか、長い毛は邪魔なのでメスは短いのではないか、とのこと。
毛を剃ったら、交尾に失敗するのだろうか?
抱き付く種類でもオスが毛深くないものもいる。謎である。
4. ダンゴムシのアレ
黒枠で囲った胸節と腹節の間を拡大するとペニスが見える。オス
写真ではかなりわかりにくいが、1本の突起物があるメス
何もない
メスの生殖孔はここではなく、脇腹(第5胸脚のつけ根付近)にある
5.触角
肉眼では非常にわかりにくいが、オスは触角が長めになる。
オスの方が約13.5%長い。
オスは触角を振ってメスを匂いで探すので、長い方が見つけやすいからだとされる。
Lefebvre F, Limousin M, Caubet Y (2000) Sexual dimorphism in the antennae of terrestrial isopods: a result of male contests or scramble competition? Can J Zool 78: 1987–1993.
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