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2016年2月26日 (金)

オオグソクムシの付属肢(後編)

前編からの続き



口の付属肢

口の付属肢は種によって形が違うので、ワラジムシ目の分類には欠かせないパーツである。

鳥羽水族館の飼育日記にも、ダイオウグソクムシの顎脚のページがある。



口の部分を腹側から撮影。
Imgp4788_2

顎脚と大顎の一部、その他のパーツの一部が見える。

小さい矢印は顎脚の基節内葉の鉤刺(coupling hook)がかみ合わさっているところ。



左側の肢を後ろから
(=表面から)順に紹介。



顎脚(がっきゃく, maxilliped, ногочелюсти)
Imgp9169
顎脚をはずした。

鬚(palp)は5節あり、それぞれ細かい羽毛状の毛が生えている。

この毛で口周りの掃除をするとされる。

もともと脚であったものが変化した付属肢であり、節の数が脚と同じである。(種類によって節数が少ないこともある。)



顎脚を裏返すと、

Imgp9173_2
基節(basis)から基節内葉(endite)が生えている。

基節内葉から4~5本の鉤刺が生える。




副肢 epipodはないの?)





第2小顎(だいにこあご, maxilla 2、second maxilla、maxilla、maxillae)
Imgp9177
顎脚をとるとmaxilla 2が見えてきます。

ぱっと見、3つにわかれているようにみえる。

実際は、底節内葉(写真で上側)と、先端が2つに分かれた基節内葉(右下側)からなる。



大きさ比べ
Imgp9178





第1小顎(だいいちこあご, maxilla 1、first maxilla
、maxillula、maxillule
Imgp91812
基節内葉(outer lobe)(右下のピンク色)と底節内葉(inner lobe, внутренней лопасти)(左上の白色)からなる。



基節内葉のとげは黒くて硬い。

咀嚼し食べ物を柔らかくする役割があるとされる。




大顎(mandible)
(「たいがく」と読むのか、「おおあご」と読むのか)(追記、オオグソクムシの本によると「おおあご」と読む。)
Imgp91862_3
線で囲った部分が大顎。(矢印の部分は間違えてピンセットで傷をつけた部分である。)



門歯状突起(incisor)(黒い部分)がとても硬く、3つの歯から成る。

食べ物を食いちぎる部分だとされる。



写真だと見にくいが、3節からなる鬚(palp, щупика)が前方に向かって伸びている。



Imgp91872_2
大顎の裏側には、
可動葉片(lacinia mobilis)(白く、鋸歯が発達している部分)と

臼歯状突起(molar process)(下に伸びる片側に細かい歯が並ぶ、白い部分)が見られる。



大顎は左右1対あるが、このパーツは左右対称ではなく、

口を閉じた時、左右で互い違いに噛み合う構造になっている。

そのため、口の中で食べ物を細かくする役割があるとされる。




スナホリムシの一種
の口器がわかりやすく写った電子顕微鏡写真がネットにある。




腹肢(ふくし, pleopod)
Imgp9200
左上から第1腹肢~第5腹肢

それぞれ、原節(peduncle)(上)、内肢(endopod)(左下)、外肢(exopod)(右下)からなる。

オオグソクムシは、もじゃもじゃした branchiae が内肢のあたりに見られる。

内肢はちょっと厚い。



呼吸器官である。

遊泳するときにパタパタ扇いで推進力を得るためにも使われる。




オスの腹肢のappendix masculina
Imgp47732
オスは第2腹肢にはappendix masculina(黒矢印)がある。

青矢印はオオグソクムシのペニスである。

どちらもメスにはない。




尾肢(びし, uropod, уропода)
Imgp9202
原節(peduncle)、内肢(endopod)、外肢(exopod)からなる。



Imgp92032
尾肢内肢(uropod endpod, эндоподит уропода)は三角形であり、内側と末端側の角度は106°である。

後端に、robust setaeと細い毛がある。



内肢の形、外肢の形は種によって異なる。

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コメント

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投稿: jbovnd.com | 2022年8月20日 (土) 14:14

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