オオグソクムシの付属肢(後編)
前編からの続き
口の付属肢
口の付属肢は種によって形が違うので、ワラジムシ目の分類には欠かせないパーツである。
鳥羽水族館の飼育日記にも、ダイオウグソクムシの顎脚のページがある。
口の部分を腹側から撮影。
顎脚と大顎の一部、その他のパーツの一部が見える。
小さい矢印は顎脚の基節内葉の鉤刺(coupling hook)がかみ合わさっているところ。
左側の肢を後ろから(=表面から)順に紹介。
顎脚(がっきゃく, maxilliped, ногочелюсти)
顎脚をはずした。
鬚(palp)は5節あり、それぞれ細かい羽毛状の毛が生えている。
この毛で口周りの掃除をするとされる。
もともと脚であったものが変化した付属肢であり、節の数が脚と同じである。(種類によって節数が少ないこともある。)
顎脚を裏返すと、
基節(basis)から基節内葉(endite)が生えている。
基節内葉から4~5本の鉤刺が生える。
(副肢 epipodはないの?)
第2小顎(だいにこあご, maxilla 2、second maxilla、maxilla、maxillae)
顎脚をとるとmaxilla 2が見えてきます。
ぱっと見、3つにわかれているようにみえる。
実際は、底節内葉(写真で上側)と、先端が2つに分かれた基節内葉(右下側)からなる。
大きさ比べ
第1小顎(だいいちこあご, maxilla 1、first maxilla、maxillula、maxillule)
基節内葉(outer lobe)(右下のピンク色)と底節内葉(inner lobe, внутренней лопасти)(左上の白色)からなる。
基節内葉のとげは黒くて硬い。
咀嚼し食べ物を柔らかくする役割があるとされる。
大顎(mandible)(「たいがく」と読むのか、「おおあご」と読むのか)(追記、オオグソクムシの本によると「おおあご」と読む。)
線で囲った部分が大顎。(矢印の部分は間違えてピンセットで傷をつけた部分である。)
門歯状突起(incisor)(黒い部分)がとても硬く、3つの歯から成る。
食べ物を食いちぎる部分だとされる。
写真だと見にくいが、3節からなる鬚(palp, щупика)が前方に向かって伸びている。
大顎の裏側には、可動葉片(lacinia mobilis)(白く、鋸歯が発達している部分)と
臼歯状突起(molar process)(下に伸びる片側に細かい歯が並ぶ、白い部分)が見られる。
大顎は左右1対あるが、このパーツは左右対称ではなく、
口を閉じた時、左右で互い違いに噛み合う構造になっている。
そのため、口の中で食べ物を細かくする役割があるとされる。
スナホリムシの一種の口器がわかりやすく写った電子顕微鏡写真がネットにある。
腹肢(ふくし, pleopod)
左上から第1腹肢~第5腹肢
それぞれ、原節(peduncle)(上)、内肢(endopod)(左下)、外肢(exopod)(右下)からなる。
オオグソクムシは、もじゃもじゃした branchiae が内肢のあたりに見られる。
内肢はちょっと厚い。
呼吸器官である。
遊泳するときにパタパタ扇いで推進力を得るためにも使われる。
オスの腹肢のappendix masculina
オスは第2腹肢にはappendix masculina(黒矢印)がある。
青矢印はオオグソクムシのペニスである。
どちらもメスにはない。
尾肢(びし, uropod, уропода)
原節(peduncle)、内肢(endopod)、外肢(exopod)からなる。
尾肢内肢(uropod endpod, эндоподит уропода)は三角形であり、内側と末端側の角度は106°である。
後端に、robust setaeと細い毛がある。
内肢の形、外肢の形は種によって異なる。
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コメント
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投稿: jbovnd.com | 2022年8月20日 (土) 14:14