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2016年8月 7日 (日)

ダンゴムシの交尾、フナムシの交尾

以前のページで、ダンゴムシの生殖器について書いた。



ダンゴムシのオスの生殖器は1本のペニスである。

しかし交尾には、2本の第1腹肢内肢を代わりに使う。

先端をメスの生殖孔に挿入するので、先端は膨らんでいたり、小さい棘がついていたりすることが多い。



メスの交尾器はこちら。

ダンゴムシの生殖脱皮、生理周期、求愛: だんだんダンゴムシ

ダンゴムシのメスの交尾器: だんだんダンゴムシ(電子顕微鏡写真のリンクあり)



※私もきちんとわかっているわけではなく、どうも以下の話には間違っている部分があるようなので、後でちゃんと調べます。

話半分で読んで下さい。




オカダンゴムシの交尾

以下のURLを参考に書いた。
http://animaldiversity.org/accounts/Armadillidium_vulgare/


前のページのとおり、メスの生殖脱皮のときに排卵が起きるため、生殖脱皮のときに交尾する。

この脱皮(排卵)頻度は、年1~3回である。

その交尾期間が来る数日前のメスに、オスは抱きつく。(メスの匂いが変わるらしい)

メスの脱皮が来るまで?、オスはメスを抱き続ける。

2
メス(下)に抱きつくオス(上)。これは交尾でも求愛でもない。


交尾の時間は短く、数秒で終わる。?
Imgp1107
ちょうど交尾の本番の写真

動画はこちら

終わると、メスは反応しなくなり、次の生殖脱皮まで交尾しない。

一方、オスは常に交尾でき、死ぬまでに複数のメスと交尾することができる。

メスは貯精嚢があり、オスの精子を保存できるが、交尾期間のたびに交尾することもできる。この場合、複数のオスの精子が貯精嚢の中に溜められる。




コシビロダンゴムシの交尾

コシビロダンゴムシの一種 Venezillo evergladensis の交尾行動を簡単に紹介する。

(Johnson, Clifford. "Mating behavior of the terrestrial isopod, Venezillo evergladensis (Oniscoidea, Armadillidae)." American Midland Naturalist (1985): 216-224.)

翻訳のミスがあるかも。



通常のダンゴムシは生殖脱皮のときに交尾する。

しかし、このダンゴムシは例外的に、関係なく交尾する。



1. オスは触角でメスの匂いを嗅ぐと、激しく動き回る。メスを見つけると触角でメスの頭をつつき始める。メスは動きを止める。丸くなることもある。

2. オスは数十秒も頭をつつき続ける。

3. つつき終わると、メスの上に乗っかる。このとき、メスと90°体がずれる。約1分続く。

4. オスはその後、メスの横側に移動し、上半身を脚でつかむ。

5. メスが前進し、オスの腹肢の上に生殖孔を持っていく。

32
白:オス、灰色:メス

左から、3→4→5である。


6. オスは第1腹肢、第2腹肢を挿入する。左右の順番は特にない。

Ws000401
上:メス、下:オス、赤:オスの第1腹肢内肢

寝かせてある2本の第1腹肢内肢を立てると思われる。

左右両方の腹肢を合わせて挿入する。

挿入時間は、約45秒である。


8. 再び、2から始める。

9  オスは移動して、反対側のメスの生殖孔に第1腹肢内肢を挿入する。

10. 交尾直後のメスは、オスの交尾行動を誘発させないが、少し経つとオスの交尾行動を引き起こし、交尾するようになる。



処女メスは9割以上の確率でオスに交尾行動を誘発させるが、交尾済みメスは4割以下となる。

交尾済みメスも6割方、オスのアプローチを拒否する。




フナムシの交尾

フナムシのメスも、交尾期(生殖脱皮)が周期的にやってくる。

以下、インドのアンダマン・ニコバル諸島に生息する、フナムシの仲間  Ligia dentipes を紹介する。

Santhanakumar, J., et al. "Mate guarding behaviour in the supralittoral isopod, Ligia dentipes (Oniscidea) from the Andaman and Nicobar Islands." Invertebrate Reproduction & Development 58.2 (2014): 128-137.



Ligia dentipes では、生殖脱皮の後ろ半分と前半分を行う間の30分間のみ交尾が可能となる。

生殖脱皮の周期は、約40日である。



交尾前

1. オスは、成熟している非妊娠メスを待ち伏せし、見つけると上に乗っかり、第1胸脚をメスの甲羅に引っ掛け、 mate guarding を始める。

2. しばらくメスは抵抗する。オスのサイズや体力を確かめるためである。つまりメスより軟弱なオスは交尾できない。

3. 半日~数日に及ぶ配偶者防衛(mate guarding)をして、メスの脱皮を待つ。

この間、他のオスからメスを守る。ときには、力の強い別のオスに奪われることがある。

Photo
キタフナムシの配偶者防衛?

オスの第1胸脚が、メスの頭部と第1胸節の間に引っ掛っている。



交尾

4. メスが後ろ半分の生殖脱皮(reproductive molting)をする。

これにより、左右それぞれの第5胸脚のつけ根にある(体の腹側の左端と右端に位置する)メスの生殖孔が開き、交尾が開始される。

5. オスは第1~第4胸脚でメスの頭を掴みつつ、第5~第7胸脚でメスの体を持ち上げる。

6. オスはメスの体を斜めに配置し、自分の体の後ろ半分を曲げ、メスの腹側に交尾器(第2腹肢内肢)を持っていき、メスの生殖孔に挿入する。

左が終わったら、メスの体を移動させ、右の生殖孔に挿入する。

Pho2
上の論文をもとに作成。

白抜き:オス、灰色:メス

左から、配偶者防衛行動中、メスの左の生殖孔にオスの交尾器を挿入、右側に挿入。



交尾行動はリズミカルに行われる。

交尾時間は7~12分である。



交尾後

7. 交尾が終了すると、オスはすぐにメスから離れる。

8. フナムシは乱交型であるため、オスは直ちに新たなメスを探し始める。実験では、1ヶ月最大7匹のメスと交尾した。

メスも、別のオスのアプローチを受け入れ続ける。実験では、最大6匹のオスと再交尾した。(ただし、自然界での複数回交尾の観察例はない。)

しばらくすると、メスはオスを受け入れなくなる。後ろ半分の生殖脱皮の後、6~12時間で、前半分の生殖脱皮が起き、抱卵する。

抱卵から2~3週間後、子どもが孵り、育房から出てくる。

9. 孵化後、前のページで書いたように、メスは特殊な脱皮、単相性脱皮を一回行う。




海産ワラジムシ目コツブムシ亜目のツノオウミセミ Paracerceis sculpta の交尾

Shuster, Stephen M. "Female sexual receptivity associated with molting and differences in copulatory behavior among the three male morphs in Paracerceis sculpta (Crustacea: Isopoda)." The Biological Bulletin 177.3 (1989): 331-337.

この種も生殖脱皮を後ろ半分した段階で交尾する。



αタイプの交尾の姿勢
Ws000400論文から
白:オス、黒:メス

交尾時間は3~10分、そのうち挿入時間は30秒~数分程度である。



詳しい交尾の流れについてはオスに3種類の形態があるツノオウミセミ: だんだんダンゴムシを参照してください。

 

 

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