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2016年12月

2016年12月29日 (木)

オオグソクムシの新種をバハマで発見

ダンゴムシを含むグループであるワラジムシ目(等脚類)は数万種もいる。

しかし、新種の発見は珍しくない。



オオグソクムシの新種

メキシコ湾などの大西洋西部には、3種のオオグソクムシ属がいる。

ダイオウグソクムシ Bathynomus giganteus
Bathynomus miyarei
Bathynomus obtusus



さらにもう一種、Bathynomus maxeyorum がバハマ周辺で採れた。

Shipley, O. N., Bruce, N.L., Violich, M., Baco, A., Morgan, N., Rawlins, S., & Brooks, E. J.(2016). A new species of Bathynomus Milne Edwards, 1879 (Isopoda: Cirolanidae) from The Bahamas, Western Atlantic. Zootaxa, 4147(1), 82-88.



採集場所の深さは、700mの深海である。

サイズは10cm以下と、オオグソクムシの中では小さい。(ダンゴムシから見れば充分デカい)



マグロの肉を使ったトラップを沈めたら、ダイオウグソクムシとマクシーオオグソクムシが何十匹も捕まったと書いてある。

簡単に罠に引っかかるところがすごくオオグソクムシらしい。

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2016年12月24日 (土)

ヒメフナムシの4本の触角

前のページの続き


A~V、どれが何という種類でしょう?

22
Brusca, R. C., & Wilson, G. D. (1991). A phylogenetic analysis of the Isopoda with some classificatory recommendations. Memoirs of the Queensland Museum, 31, 143-204. から引用



クイズの答えです。

A:グソクムシ属の一種 Aega longicornis (ウオノエ亜目)
B:ウオノコバン属の一種 Nerocila acuminata (ウオノエ亜目)
C:スナホリムシ科の一種 Parabathynomus natalensis (ウオノエ亜目)
D:ダイオウグソクムシ Bathynomus giganteus (ウオノエ亜目)
E:オオグソクムシ Bathynomus doederleini 腹側からのスケッチ(ウオノエ亜目)
F:Eの背側からのスケッチ
G:フナムシ Ligia exotica (ワラジムシ亜目)
H:ヒメフナムシ属の一種 Ligidium ungicaudatum (ワラジムシ亜目)
I:スナウミナナフシ属の一種 Cyathura guaroensis (ウオノエ亜目)
J:ウミナナフシ上科の一種 Calathura sp. (ウオノエ亜目)
K:スナウミナナフシ科の一種 Malacanthura caribbica (ウオノエ亜目)
L:フレアトイクス亜目の一種 Phreatomerus latipes
M:ウミクワガタ科の一種 Bathygnathia curvirostris (ウオノエ亜目)
N:セロリス上科の一種 Bathynatalia gilchristi (コツブムシ亜目)
O:セロリス属の一種 Serolis albida (コツブムシ亜目)
P:セロリス属の一種 Serolis bromleyana (コツブムシ亜目)
Q:オナシグソクムシ属の一種 Anuropus antarcticus (ウオノエ亜目)
R:ワラジヘラムシ属の一種 Synidotea francesae (ヘラムシ亜目)
S:セロリス上科の一種 Plakarthrium punctatissimum (コツブムシ亜目)
T:ヘミオニスクス科の一種 Scalpelloniscus penicillatus (ウオノエ亜目)
U:エビヤドリムシ科の一種 Pseudasymmetrione markhami (ウオノエ亜目)
V:キクイムシ属の一種 Limnoria kautensis (キクイムシ亜目)



オオグソクムシはわかった。他に2つわかった。

1つでもわかったらダンゴムシマニアです。




フナムシの触角

海産ワラジムシ目の一種: だんだんダンゴムシにも書いたが、

ダンゴムシやワラジムシの第1触角はほとんど見えないが、フナムシはかろうじて見える。

Imgp54792
ヒメフナムシの触角4本







どうでもいい話

犬に襲われたことがあるせいで、犬が嫌いである。

イオンで買い物したら、WAONを使っている人がいた。

決済の音が犬の鳴き声が「ワォン!」とするのだが、あれがリアルすぎて怖い。ビクッとする。

もう少しデフォルメしてくれないかな…

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ダンゴムシの触角は2本ではなく4本。第一触角・第二触角

ダンゴムシの触角についてまとめた。


第2触角 Second antenna

Imgp2596
ダンゴムシの頭には2本の触角がみえる。


Imgp0177_2
この2本の触角は第2触角と呼ばれている。

巷でダンゴムシの触角と言えば、ほぼ第2触角を指す。


オカダンゴムシの第2触角はメスよりオスの方が13.5%ほど長い。

ダンゴムシのオスはメスより触角が長い: だんだんダンゴムシ



第1触角 First antenna

では第1は?

実は、第2触角の根元にとても小さい触角が2本ある。

これが第1触角である。
1_20200912114001
オカダンゴムシの頭部の拡大

矢印が左の第1触角である。

目で見えないぐらい第1触角は小さい。


Imgp0183
コシビロダンゴムシの頭


Imgp0185
第2触角の根元を見ると…やはり第1触角がある


Imgp0779
第1触角の拡大

(気泡がついてしまった…)


3_2
第1触角のスケッチ

ダンゴムシの第1触角は3節。一番先端の節からは感覚毛 aesthetasc と呼ばれる特殊な毛がたくさん生えている。

第1触角が3節(鞭節1節+柄節2節)なのは、ダンゴムシ、ワラジムシ、フナムシに共通する。

この3つが1つの種から進化した証拠の一つだとされている。(他に27ヶ所ほど共通点がある。)


Taiti, S., & Rossano,C. (2015). Terrestrial isopods from the Oued Laou basin, north-eastern Morocco (Crustacea: Oniscidea), with descriptions of two new genera and seven new species. Journal of Natural History, 49(33-34), 2067-2138.

ここにEluma praticola の第1触角のスケッチがある。

エルマ属はオカダンゴムシ科のダンゴムシ。


http://lanwebs.lander.edu/faculty/rsfox/invertebrates/armadillidium.html

ここにもオカダンゴムシの体の構造について詳しく書いてある。


ダンゴムシジャパンさんも書いているが、甲殻類では

第1触角は、周囲の化学物質を感知して仲間や天敵の有無を調べる嗅覚

第2触角は、物理的な接触を感知する触覚

を司ると言われる。


ダンゴムシでは、第2触角が嗅覚も担っているかもしれない。

でも第1触角に毛が生えているから機能は残っているのかも。



ミズムシ、コツブムシ、オオグソクムシの第1触角

他のワラジムシ目(等脚類)も触角は4本である。

陸にいるダンゴムシやワラジムシは第1触角が退化して見にくいが、淡水や海水にいる種類は4本とも目立つ。

ミズムシ
Imgp6918_2

コツブムシ
Imgp6267_2

オオグソクムシの第1触角
Imgp4786_2
オオグソクムシの付属肢(前編)




触角当てクイズ

下の図は、いろんなワラジムシ目の第1触角のスケッチです。

A~V、どれが何という種類でしょう?

22
Brusca, R. C., & Wilson, G. D. (1991). A phylogenetic analysis of the Isopoda with some classificatory recommendations. Memoirs of the Queensland Museum, 31, 143-204.


答えは次のページ

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おしりにギザギザしたノコギリをもつコツブムシ

Serolis meridionalis というセロリスの一種(コツブムシ亜目)は

北極や南極の深海に生息している、海産ダンゴムシの仲間である。


ノコギリザメ並みのすごい尾を持つ。

http://www.auburn.edu/academic/cosam/departments/research/antarctica/2013/animals/images/Ceratoserolis.jpg
http://www.auburn.edu/academic/cosam/departments/research/antarctica/2013/animals/

ギザギザの腹尾節は何に使うつもりだろう

日本南極観測隊のpdfに詳しい形態情報が載っている。

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2016年12月13日 (火)

三重県のダンゴムシ

三重県に行った人からダンゴムシとヒメフナムシをもらった。

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黒いコシビロダンゴムシ


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全身黒い


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こっちは、おしりと頭がオレンジ色


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腹節と尾肢は裏側もオレンジ。

シッコクコシビロダンゴムシ?



ヒメフナムシ
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左のヒメフナムシは茶色い

 

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陸のダンゴムシ、海のダンゴムシ、陸の昆虫

海藻を取ると、ワラジムシ目(等脚類)がよくついている。

コツブムシ、ミズムシ、などなど
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小さなコツブムシ


ダイバーさんにも知られているようで、

パラサイト・ラヴァーズ連載エッセイ~寄生虫を追い求めるマニアック道~

のところに、不思議な模様のコツブムシが載っている。


海藻や動物など何でも食べるみたい。

(写真のコツブムシはおそらく寄生虫じゃないです。)



海のダンゴムシと磯焼け

コツブムシが磯焼けの原因じゃないかと書いているけれど、そうかな?

海藻を食べるのは魚やウニが圧倒的であるはず。

魚だけ(orウニだけ)で海藻の生産量の100%以上を消費することもあるが、等脚類、腹足類などは10%未満であると言われる。

コツブムシのインパクトはたぶんほとんどないと思う。

 

ツツオウミセミの食事






海のダンゴムシと枯れ葉

コツブムシは生の海藻を食べるが、陸のダンゴムシたちは普通は生の葉っぱを食べない。

Imgp5021
生葉を食べるダンゴムシ。滅多に見ないので写真を撮った。

ダンゴムシはだいたい枯れ葉を食べている。

陸の生態系の食物連鎖は生食連鎖と腐食連鎖である。海の生態系は多くが生食連鎖であるらしい。

不思議なことに海藻の枯れ葉はあまり存在しない。なので海底にはっきりした土壌もない。

陸よりも海は分解量が大きい。コツブムシは生の海藻を食べるしかないようである。


もちろん海藻にも毒がある。

むしろ、海藻への捕食圧は陸上植物よりも高い。消費率は10倍以上とどこかで聞いた。

陸上植物よりも海藻の方が防御が強いかもしれない。


陸ではわざわざ毒のある生葉を食べなくても枯れ葉があるので、枯れ葉を食べるのかな?

海の海藻食コツブムシはエサが生葉しかない。毒はどうしているのだろう?



海のダンゴムシとエサの種類

陸の草食昆虫は食べる植物の種類を限定する傾向にある。

9割以上の昆虫がエサの植物は特定のグループに絞っているらしい。


しかし、海藻を食べる魚、ウニ、貝、ゴカイ、エビ、カニなどは、どれもエサの海藻を選ばない傾向にある。

海藻は褐藻、緑藻、紅藻と全く違うが、それでも気にせず食べるみたい。

しかも草食に特化せず、デトリタスや動物も食べることも多い。


海藻食コツブムシたちも特にエサは選ばず、いろんな海藻を食べることができるらしい?

雑食のこともよくあるようだ。

雑食なのは陸のダンゴムシたちも同じ。オカダンゴムシは、枯れ葉も動物の死体も食べる。


寄生性のワラジムシ目は例外。

魚やエビに寄生するウオノエなどは特定の種類のホストに特化し、寄生する場所も限定する傾向にある。



海のダンゴムシの食べ方

草食の昆虫は齧るだけでなく、吸汁や潜孔といった方法で食べることもある。虫こぶを作ることもある。

しかし、海藻を食べるダンゴムシは単純に海藻の葉っぱにくっついて食べるだけ。

吸汁や虫こぶはない。たぶん。


潜孔はワカメやコンブの茎や根に潜孔するヨコエビのコンブノネクイムシが有名。

ワラジムシ目では、海草の新芽の中に潜孔するキクイムシの Limnoria agrostisa がオーストラリアにいるらしい。

ネクイムシの消費量は少ないが、養殖されている海藻の茎や根を破壊するので害虫になっている。

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2016年12月 3日 (土)

ダンゴムシの移動する距離が長すぎる

日本にはモリワラジムシと呼ばれるワラジムシがいる。
Photo
モリワラジムシの仲間



トゲモリワラジムシ属の研究


日本で見られる以下のトゲモリワラジムシが、実は Burmoniscus kathmandius (※)という種であった。

アオキモリワラジムシ Burmoniscus aokiiオガサワラモリワラジムシ Burmoniscus boninensis、ダイトウモリワラジムシ Burmoniscus daitoensis、ハチジョウモリワラジムシ Burmoniscus hachijoensis、ヤマトモリワラジムシ Burmoniscus japonicus、カゴシマモリワラジムシ Burmoniscus kagoshimaensis、ムロトモリワラジムシ Burmoniscus murotoensis、オキナワモリワラジムシ Burmoniscus okinawaensis、シバタモリワラジムシ Burmoniscus shibatai、タナベモリワラジムシ Burmoniscus tanabensis、ワタナベモリワラジムシ Burmoniscus watanabei

詳しくは土と生き物、もしくはZookeysの論文を読んでください。

Burmoniscus kathmandius の和名が、このサイトではアジアモリワラジムシとなっている。


さらに、 Burmoniscus kathmandius は日本全国でほとんど同じ遺伝子配列であることことも報告している。

海洋島の八丈島、小笠原ですら本州と遺伝子が同じ。


文章にすると単純な内容になってしまうが、これを証明するのはとても大変だったと思う。




ダンゴムシの歩ける距離が短すぎる。: だんだんダンゴムシ

ダンゴムシたちは移動能力が高くないはず。

しかし、本当に移動できないとしたら、遺伝子は突然変異が蓄積して、場所ごとに少しずつ違う配列になる。

同じということは、このワラジムシはごく最近に移動したことになる。

オカダンゴムシのように人間が移動させた?


人が持ち込んだ可能性もあるが、自然に起きるとしたら3つあるとされる。




長距離の移動手段


1.台風で飛ばされる

小さい子どもが一匹単位なら飛ぶかもしれないが、終着地にコロニーを築くのは厳しいかも。

運が良ければいける?



2.海面を漂う浮遊物に乗って分散

地面に落ちた木材に、ダンゴムシ達が隠れていることがある。

木材は長い間浮けるし、木材に潜る虫は海洋島にも多いとされる。

大洪水や津波などで流出した、ダンゴムシ付きの植物片が海を漂うのかもしれない。


実際、海面に流出した植物体からの発見例がある。

海を漂うコシビロダンゴムシの発見例: だんだんダンゴムシ



3.渡り鳥にくっつく

くっつき方には2つある。


1.endozoochory:消化管の中を利用する。ダンゴムシは無理

例えば、ハクチョウの糞には、水草 Azolla 属の胞子が高頻度で見られる。

Green, A. J., Jenkins, K.M., Bell, D., Morris, P. J., & Kingsford, R. T. (2008). The potential role of waterbirds in dispersing invertebrates and plants in arid Australia. Freshwater Biology, 53(2), 380-392.


2.ectozoochory:体表にくっついて移動。できそう

水生ヨコエビが、水鳥の羽毛に潜りこんで、数キロは分散している可能性を示す研究がある。

Rachalewski, M., Banha, F., Grabowski, M., & Anastácio, P. M. (2013). Ectozoochory as a possible vector enhancing the spread of an alien amphipod Crangonyx pseudogracilis. Hydrobiologia, 717(1), 109-117.

陸に生きるダンゴムシなら耐えられそう。

渡り鳥の羽に落ち葉が挟まっていることがあるの?





ところで、線虫のCaenorhabditis elegans がダンゴムシやワラジムシを分散に利用しているって本当?

 

 

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