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2017年2月

2017年2月19日 (日)

無人島の外来種ダンゴムシの記録

対馬に行ったら、外来種のオカダンゴムシがいたと書いた。

対馬のダンゴムシ: だんだんダンゴムシ

海に孤立した島でどんなダンゴムシの仲間(ワラジムシ亜目、Oniscidea)がいるのか、外来種はいるか、を知るため過去の調査をまとめた。


一部は分類に疑問あり。

調査の回数も少ない。



対馬島(Tsushima Island)

対馬海峡の真ん中にあり、島は大きく、森も深い。

九州や朝鮮半島と陸続きになったことがある。


オカダンゴムシ Armadillidium vulgare
ヒウラコシビロダンゴムシ Spherillo hiurai
ヘリジロコシビロダンゴムシ Spherillo elegans
アガタコシビロダンゴムシ Spherillo agataensis

ハマダンゴムシ Tylos granuliferus

ホソワラジムシ Porcellionides pruinocus
ニホンタマワラジムシ Alloniscus balssii =ツシマタマワラジムシ Alloniscus tsushimaensis
マダラサトワラジムシ Agnara pannuosa =イズハラハヤシワラジムシ Agnara izuharaensis
サキモリハヤシワラジムシ Lucasioides sakimoriNagurus sakimori
ツシマワラジムシ Mongoloniscus koreanusNagurus tsushimaensis
ツシマウミベワラジムシ Quelpartoniscus tsushimaensis

フナムシ Ligia exotica
チョウセンヒメフナムシ Ligidium koreanum


ワラジムシがいろいろいる。

列島系、大陸系、固有種、外来種がいる。



隠岐諸島(Oki Islands)

日本海にある大きな離島で、森林が広がる。

本州と陸続きになったことがある。


オカダンゴムシ
シロコシビロダンゴムシ Spherillo albus

ハマダンゴムシ

ワラジムシ Porcellio scaber
ホソワラジムシ
ニホンタマワラジムシ
ニホンハマワラジムシ Armadilloniscus japonicus
ニッポンヒイロワラジムシ Littorophiloscia nipponensis
サンインハヤシワラジムシ Lucasioides gigliotosiNagurus gigliotosi

フナムシ


オカダンゴムシとワラジムシとホソワラジムシがいる…



利尻島(Rishiri Island)、礼文島(Rebun Island)

氷河期に北海道や樺太と陸続きになったことがある。

利尻研究 (23): 19-23, March 2004利尻島及びその周辺の等脚目甲殻類、布村 昇
利尻研究 (28): 31-32, March 2009利尻島および礼文島の等脚目甲殻類、布村 昇・石井 清・佐藤雅彦・宮本誠一郎


ワラジムシ
ナガワラジムシ Haplophthalmus danicus
ハマベワラジムシ Detonella japonica
ニッポンハマワラジムシ
ニッポンヒイロワラジムシ

キタフナムシ Ligia cinerascens
ニホンヒメフナムシ Ligidium japonicum


海岸を好むワラジムシが多い。

外来種のワラジムシが平野部に多いと書いてある。



舳倉島(Hegurajima Island)(読めなかった…)、七ツ島(Nanatsujima Island)

日本海にある離れ小島。舳倉島は有人島。七ツ島は舳倉島と能登半島の間にある無人島群。

草原が広がり、森は少ない。本州と陸続きになったことがある。

Ohgushi R. & Tokumoto H. 1986. Terrestrial fauna of Hegura-jima Island and Nanatsu-jima Islands, Noto Province. Bull. Japan Sea Res. Inst. Kanazawa Univ. (18): 17-18. (in Japanese)


舳倉島

オカダンゴムシ

ハマダンゴムシ

ホソワラジムシ
ニホンタマワラジムシ

フナムシ
ヒメフナムシの一種



七ツ島の大島や御厨島(みくりやじま)

オカダンゴムシ

ホソワラジムシ
ニホンタマワラジムシ

フナムシ


無人島の七ツ島まで、オカダンゴムシとホソワラジムシという外来種が侵入している。

大量のオカダンゴムシがいたと書いてある。


同じく日本海に浮かぶ利尻島、礼文島との共通種は、ヒメフナムシだけというのが興味深い。



大東諸島北大東島、南大東島(Kita-daito Island, Minami-daito Island, Daito Islands)

できてからどことも繋がったことのない海洋島。

非常に珍しいテルモスバエナがいる島。

NUNOMURA, N. (2009). Terrestrial isopod crustaceans from Daito Islands,
southern Japan. Bulletin of the Toyama Science Museum 32: 75-87.
Bulletin of the Toyama Science Museum. 32: 75-87.


ダイトウコシビロダンゴムシ Spherillo daitoensis
ウフアガリコシビロダンゴムシ Spherillo ufuagarijimensis

ホソワラジムシ
ダイトウミナミワラジムシ Papuaphiloscia daitoensis (南大東島)
メーウスモリワラジムシ Burmoniscus meeusei =キタダイトウモリワラジムシ Burmoniscus kitadaitoensis (北大東島)
アジアモリワラジムシ Burmoniscus kathmandius=ダイトウモリワラジムシ Burmoniscus daitoensis (南大東島)

ダイトウフナムシ Ligia daitoensis


かなり開発が進んでおり、生存が厳しい種もいるかもしれない。

ヒメフナムシがいない。

外来種ホソワラジムシがいる。



尖閣諸島魚釣島Uotsuri Island, Senkaku Islands)

言わずと知れた、東シナ海の島。

先島諸島や台湾と陸続きになったことがある。

中国が騒ぎ出す前に生物調査が行われており、いろいろ見つかっている。


コシビロダンゴムシの一種

ハマダンゴムシ

ホソワラジムシ
ナガワラジムシの一種 Trichoniscus sp.
タマワラジムシの一種 Alloniscus sp.

リュウキュウフナムシ Ligia ryukyuensis(北小島、南小島、久場島にもいる)
リュウキュウヒメフナムシ Ligidium ryukyuense


ここも外来種がいる。

他の南西諸島と似ている。



小笠原諸島(Bonin Islands)

無人島ではないがついで。

ムニンコシビロダンゴムシ Spherillo boninensis Nunomura, 1990=コガタコシビロダンゴムシ Venezillo parvus (Budde-Lund, 1885)
ハハジマコシビロダンゴムシ Spherillo hahajimensis Nunomura, 2008
トミヤマコシビロダンゴムシ Spherillo tomiyamai Nunomura, 1991

ホソワラジムシ
タテスジハヤシワラジムシ Nagurus lineatus Nunomura, 1987
オガサワラハヤシワラジムシ Lucasioides boninshimensis (Nunomura, 1987)
アジアモリワラジムシ = アオキモリワラジムシ Burmoniscus aokii
アジアモリワラジムシ = オガサワラモリワラジムシ Burmoniscus boninensis
ハラダニセヒメワラジムシ Pseudophiloscia haradai Nunomura, 1986
ミナミワラジムシ属の一種 Papuaphiloscia sp. sensu Nunomura, 2001

オガサワラフナムシ Ligia boninensis Nunomura, 1979
アシナガフナムシ Ligia yamanishii Nunomura, 1990
ナガレフナムシ Ligia torrenticola Nunomura, 2011

ハマダンゴムシ
オガサワラタマワラジムシ Alloniscus boninensis Nunomura, 1984


ホソワラジムシがいるがオカダンゴムシはいないようである。




ざっと見て、外来種が広範囲で侵入していることがわかる。

無人島でも確認されている。

外来ダンゴムシの影響は知られていないが、どうなんだろう?

陸上等脚類の外来種対策はお手上げな感じがする。




以下も見てます。

Nunomura, N. (1983). Studies on the terrestrial isopod crustaceans in Japan. I. Taxonomy of the families Ligiidae, Trichoniscidae and Olibrinidae. Bull. Toyama Sci. Mus, 5, 23-68.

Nunomura, N. (1984). Studies on the terrestrial isopod crustaceans in Japan. II. Taxonomy of the family Scyphacidae. Bulletin of the Toyama Science Museum, 6, 1-43.

Nunomura, N. (1986). Studies on the terrestrial isopod crustaceans in Japan III. Taxonomy of the families Scyphacidae (continued), Marinoniscidae, Halophilosciidae, Philosciidae and Oniscidae. Bulletin of the Toyama Science Museum, 9, 1-72.

Nunomura, N. (1987). Studies on the terrestrial isopod crustaceans in Japan IV. Taxonomy of the families Trachelipidae and Porcellionidae. Bulletin of the Toyama Science Museum, 11, 1-76.


Nunomura, N. (1990). Studies on the terrestrial isopod crustaceans in Japan. V. Taxonomy of the families Armadillidiidae, Armadillidae and Tylidae, with taxonomic supplements to some other families. Bulletin of the Toyama Science Museum, 13(1), 58.

Nunomura, N. (1991). Studies on the terrestrial isopod crustaceans in Japan. VI. Further supplements to the taxonomy. Bulletin of the Toyama Science Museum, 14, 1-26.

Nunomura, N. (1992). Studies on the terrestrial isopod crustaceans in Japan. VII. Supplements to the taxonomy–3. Bull. Toyama Sci. Mus, 15, 1-23.

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2017年2月16日 (木)

フナムシ科の属、亜属

陸にいるワラジムシ目は、ダンゴムシ、ワラジムシ、フナムシである。

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左:タマワラジムシ 右:フナムシ



フナムシ科の分類

フナムシ科は、6つの属に分けられる。

フナムシ科 Ligiidae
Ligia フナムシ属
Ligidium ヒメフナムシ属
Caucasoligidium
Ligidioides
Tauroligidium
Typhloligidium

※分類はよくわからない。人によって違うかもしれない?



フナムシ属とヒメフナムシ属が日本にいる。

フナムシは海岸にいる。

ヒメフナムシは森林にいる。




フナムシ

フナムシ属
┣フナムシ Ligia exotica
┣キタフナムシ Ligia cinerascens
┣リュウキュウフナムシ Ligia ryukyuensis

多くのフナムシは、海岸にしかいない。

(ただし、まれに川を遡上して山の中で見つかることもある。小笠原諸島では淡水に適応したナガレフナムシもいる。)


Imgp7173
フナムシ



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キタフナムシ



Imgp1429
リュウキュウフナムシ?



体長に匹敵する長さの第2触角と、細長い尾肢を持つのが特徴。

種はオスの腹肢の形で見分ける。




ヒメフナムシ

ヒメフナムシ属
┣ニホンヒメフナムシ
┣チョウセンヒメフナムシ
┣リュウキュウヒメフナムシ
┣ニホンチビヒメフナムシ
┣キヨスミチビヒメフナムシ
┗イヨチビヒメフナムシ



鬱蒼とした森に行けば、ヒメフナムシという、土を好む小型のフナムシが見られる。

Imgp7132
ヒメフナムシ

大きさは最大2cm程度。

乾燥、多湿、貧栄養、低温に強いと思う。

温暖な地域には少ない。



Imgp0745
飼ってみると、ダンゴムシにはない魅力がある。

詳しくは、超珍しいフナムシ、チビヒメフナムシ。: だんだんダンゴムシで。

 

 

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2017年2月14日 (火)

超珍しいフナムシ、チビヒメフナムシ

フナムシ科の属、亜属: だんだんダンゴムシの続き

日本にいるフナムシ科はフナムシ属とヒメフナムシ属に分けられる。

フナムシは海岸にいる。ヒメフナムシは森林にいる。


ヒメフナムシ属Ligidiumは、ニッポンヒメフナムシ亜属Nippoligidiumとヒメフナムシ亜属Ligidiumに分けられる。

この亜属は外国ではほとんど使われていない。

フナムシ科
┣フナムシ属
┗ヒメフナムシ属
 ┣ニッポンヒメフナムシ亜属
 ┃ ┣ニホンヒメフナムシ Ligidium (Nippoligidium) japonicum
 ┃ ┣チョウセンヒメフナムシ Ligidium (Nippoligidium) koreanum
 ┃ ┗リュウキュウヒメフナムシ Ligidium (Nippoligidium) ryukyuense
 ┃
 ┗ヒメフナムシ亜属
   ┣ニホンチビヒメフナムシ Ligidium (Ligidium) paulum
   ┣キヨスミチビヒメフナムシ Ligidium (Ligidium) kiyosumiense
   ┗イヨチビヒメフナムシ Ligidium (Ligidium) iyoense


ニッポンヒメフナムシ亜属のニホンヒメフナムシというややこしい和名になっている。

Nipponoligidiumは誤表記。



「日本産土壌動物 第二版: 分類のための図解検索」を見ると、

「第1胸節の後方の剛毛の束」がないニッポンヒメフナムシ亜属、あるとヒメフナムシ亜属と書いてある。




チビヒメフナムシ


ヒメフナムシ亜属はチビヒメフナムシとも呼ぶ。

チビヒメフナムシは、日本では極めて珍しい種類のフナムシである。

どのくらい珍しいかというと、インターネットで検索しても情報が出てこないぐらい。



生息範囲がかなり狭く、点在し、数も少ないので、見つけるのはとても困難である。

分布や生態はよくわかっていない。



ニホンチビヒメフナムシは京都など近畿地方にいる。

イヨチビヒメフナムシは愛媛県にいる。

キヨスミチビヒメフナムシは千葉県清澄山にいる。



キヨスミチビヒメフナムシは1975年に初めて発見された。

その後、研究者が何度も調査したらしいが、木の伐採などで再発見できていないらしい。

絶滅危惧種に指定され、幻のチビヒメフナムシとなっている。




兵庫県のチビヒメフナムシ


兵庫県のヒメフナムシ: だんだんダンゴムシ

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矢印がチビヒメフナムシ

上がヒメフナムシ。

ヒメフナムシよりもチビヒメフナムシは色が淡く光沢がない。


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チビヒメフナムシの背中


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右の尾肢

体はワラジムシのように見えるが、尾肢はちゃんとフナムシである。


Photo
卵を持っていた。


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チビヒメフナムシの第1胸節を外した。


矢印の部分を拡大すると、
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とげとげが見える。

第1胸節の後方裏側に剛毛の束がある。


ヒメフナムシ
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ヒメフナムシは毛がない。




チビヒメフナムシの特徴


日本産チビヒメフナムシの特徴をさらに挙げていく。(海外産には当てはまらない場合がある)

「日本産土壌動物 第二版: 分類のための図解検索」を参考にしている。


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甲羅の表面にぽつぽつした小顆粒がある。


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個眼の数は40以下


Imgp0724
第2触角の節数は8節以下


より小型で成熟する。

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2017年2月 1日 (水)

ダンゴムシの甲羅の水の蒸発量

ダンゴムシはなぜ丸くなるか?

答えは、天敵の攻撃から身を守るため、水分の蒸発を防ぐため、とされる。

科学的にはどっちも事実と証明されているようだ。

卵を抱えるダンゴムシは天敵に食べられやすい?: だんだんダンゴムシ


Imgp8150
甲羅は外気に当たるので、水分を通さない構造だろうか?



ダンゴムシ、ワラジムシ、フナムシの水分の蒸発量

ダンゴムシを使って、各部位の水分蒸発量を計測した実験があった。

Edney, E. B. (1951). The evaporation of water from woodlice and the millipede Glomeris. Journal of Experimental Biology, 28(1), 91-115.

英語で書かれているので、きちんとわかっていない。知りたい人は原文を読んで下さい。


乾燥した空気を死んだサンプルに当て、どのくらい体重が減ったかを測っている。

1.そのまま、
2.蜜蝋で背面(甲羅)を覆う、
3.蜜蝋で呼吸器官である腹肢を覆う、
の3パターンで実験。

Imgp6992
黒線:呼吸器官の腹肢の部分

エビやカニは鰓が甲羅の内側にある。

ダンゴムシは鰓がなく、代わりにこの腹肢(+表皮)で呼吸している。


結果

          体重の減少率  それぞれの場所の面積当たりの減少率
ダンゴムシ 背面    2.2            6.5
        腹面    2.5            3.8
        腹肢    1.5            83

ワラジムシ 背面    3.2            8.4
        腹面    3.7            6.3
        腹肢    2.9            97

フナムシ 背面    4.2            11.5
       腹面     6.4            10.9
       腹肢    2.5            58


フナムシは減少率が高い。だからフナムシは乾燥に弱いのかもしれない。

腹肢は呼吸器官であるため、蒸発量は多い。

意外にも、背面と腹面の面積当たりの減少率に差がない。


つまり、甲羅は水分蒸発を防ぐ役割はない。

丸くなると、腹肢からの激しい蒸発を防げるが、甲羅が引き伸ばされて甲羅の表面積は増えるから?


その他の結果

この実験ではいろいろやっている。


1.温度が高くなると、水分蒸発は指数関数的に増える。


2.水の蒸発は

オカダンゴムシ<ワラジムシ<ヒメワラジムシの一種<フナムシ

の順に多い。


3.乾燥した空気に45分間さらした後、湿度98%の空気に戻しても、オカダンゴムシ以外は体重は回復しない。

しかし、水滴があると回復する。


4.オカダンゴムシの生きた個体は、乾燥後に湿度100%の空気に戻すと、体重が回復するが、死んだ個体は回復しない。






友達の一人が結婚した。

ダンゴムシのブログなんか書いてていいのか。

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