ダンゴムシの病気:リケッチエラ
ダンゴムシやワラジムシと共生(寄生)する生物は数多く知られる。
病気を引き起こすものもいれば、消化を助ける良いやつもいる。
このブログで紹介したのは、
・ヤドリバエ Rhinophoridae(節足動物)*
・ボルバキア Wolbachia pipientis(真正細菌)
・イリドウイルス Iridovirus(ウイルス)*
・鉤頭虫(扁形動物)
・シヘンチュウ Thaumamermis cosgrovei (線虫)*
・リケッチエラ*(真正細菌)
である。
他に、Rhabdochlamydia porcellionis 、ヘパトプラズマ Hepatoplasma crinochetorum (真正細菌)や原生動物が知られる。
(細菌類については「ワラジムシ目の体内に生息する共生微生物の多様性と機能」で読めます。)
*:致死性の病原体
日本ではボルバキアとイリドウイルス以外は見つかっていないはず。
目に見える外来種だけじゃなく、それにくっつく寄生虫が在来種を駆逐することも有り得る。
寄生虫から解放された外来種が、急速な拡大を起こすこともある。
外来ダンゴムシが輸入されているので、在来ダンゴムシを守るために、寄生虫が日本にいるかいないかぐらいはわかっておきたいところだが、ほとんど情報がない。
リケッチエラ Rickettsiella
リケッチエラ属は、レジオネラやQ熱を起こすコクシエラに近い細菌。
発疹チフス、ツツガムシ病の病原菌リケッチアではない。
感染が確認された種は、オカダンゴムシ、ハナダカダンゴムシ、ワラジムシ、クマワラジムシ、モリワラジムシ、水生のミズムシなど。
アメリカ、ヨーロッパで見られる。
全ての種がホストになる可能性があり、世界中に分布している可能性があるが、詳しいことは不明。
細菌が付着した落ち葉を食べることで感染すると考えられている。
様々な種に伝染し、土の中でも生き残れる可能性があるが、詳しいことは不明。
感染すると死亡することがある。
感染率の如何によっては、宿主の死亡率に影響を及ぼす可能性があるが、詳しいことは不明。
感染の見分け方
感染末期になると体内がミルク色になるので、肉眼、光学顕微鏡で見わけがつくようになる。
甲羅の色素が薄い腹側から見るとミルキーなものが見える。
リケッチエラが体腔内に溜まり、不透明の白色の塊が外骨格から透けて見えるのである。
この状態になると死期が近い。
ダンゴムシは、脱皮直前になると体が白くなるので、リケッチエラが見逃される原因となっているのかもしれない。
体がミルク色に変色……見たことあるような、ないような
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