かわいいフナムシ Ligia pallasii
かわいいフナムシを教えてもらった。
その名も Ligia pallasii
(パラシーフナムシ?)
カリフォルニアのフナムシ
尾肢が短い。
Eberl, R. (2012). Distribution,
habitat and food preferences of sympatric high intertidal isopod species
Ligia occidentalis and Ligia pallasii (Ligiidae: Oniscidea). Journal of natural history, 46(29-30), 1779-1797.
アメリカの西海岸に分布していて、Ligia occidentalis と分布が重なっているが、地形によって分かれて住んでいる。
Ligia pallasii は岩の崖の隙間に住み、温度変化、乾燥、捕食を避けていると書いてある。
Ligia pallasii は一年中繁殖しているが、Ligia occidentalis は初夏に一回だけ。
どちらも海藻類などをエサにしているが、以下のことからエサの競争がないかもしれないとしている。
実験下では一緒にいてもいなくても食べるエサの量が変わらない
好みの海藻の種類が2種が一緒にいる場所とそうでない場所の個体で変わらない
このフナムシは研究によく使われている。
系統学、生態学、生理学まで色々。
Eberl, R. (2013). Phylogeography of the High Intertidal Isopod Ligia Pallasii (Isopoda: Oniscidea) from the Aleutian Islands to Monterey Bay. Journal of Crustacean Biology, 33(2), 253-264.
系統の研究では、アメリカ西海岸を4000kmに渡って調べて
L. occidentalis はかなり遺伝分化しているのに、L. pallasii は分化してない。
L. pallasii は最近まで生息地が狭かったのが原因かもと書いてある。
Google Scholar や CiNii のような検索サイトは便利。
参考文献リストから辿ったり図書館に行ったりする必要が少ない。
知識に軽減税率を適用するならグーグルに是非。新聞も毎日読んでるけどあまり知識量(最近は質も…)を感じない。
世界中のフナムシ
世界中のフナムシの遺伝子を調べた研究もあった。
https://peerj.com/preprints/3497.pdf
日本固有の系統が2つもあるが、汎世界的な系統も見つかるという不思議な結果。
朝鮮半島の東にフナムシ Ligia exotica 、西にキタフナムシ Ligia cinerascens ときれいに分かれている。
日本では、この2種は地形によって住み分けている。
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