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2018年6月

2018年6月29日 (金)

ダンゴムシのメスの交尾器

ダンゴムシの論文を読んでいたら交尾器の写真を見つけた。



ダンゴムシのメスの生殖孔

これ↓の一番最後のページに、オカダンゴムシのオスの交尾器とメスの生殖孔の電顕写真がある。

Fortin, M., Debenest, C., Souty‐Grosset, C., & Richard, F. J. (2018). Males prefer virgin females, even if parasitized, in the terrestrial isopod Armadillidium vulgare. Ecology and evolution, 8(6), 3341-3353.

https://onlinelibrary.wiley.com/cms/asset/c28e0d73-a441-4379-a0d2-598a1069846d/ece33858-fig-0008-m.jpg
論文のオスの交尾器aとメスの生殖孔b


Imgp2615_2_3
第5胸節(黒枠)に生殖孔ができる。

上のリンクに、メスの第5胸節のgenitalia opening の拡大写真もある。

直径約80μmと書いてある。


論文では、オカダンゴムシの未交尾メスと既交尾メスを比較している。

オカダンゴムシのオスの交尾に使う部位(第1腹肢)の先端は棘があり、交尾後にメスの交尾器が傷つくか確かめている。

見た目では傷ついていないと書いてあった。


メスの標本を見てみた。

ちょうど交尾中だった個体の第5胸節
Imgp1826
これ?



ダンゴムシの交尾

Bouchon, D., Zimmer, M., & Dittmer, J. (2016). The Terrestrial Isopod Microbiome: An All-in-One Toolbox for Animal–Microbe Interactions of Ecological Relevance. Frontiers in microbiology, 7.

FIGURE 1 (E). The pillbugs, Armadillidum vulgare during mating;

図1にオカダンゴムシの交尾の写真が載っている。



ダンゴムシのオスの交尾器

Lee T, Ho S, Wilson G, Lo N (2014) Phylogeography and diversity of the terrestrial isopod Spherillo grossus (Oniscidea: Armadillidae) on the Australian East Coast. Zoological Journal of the Linnean Society, 170: 297-309.

なぜかオスの○○○カバーが載っている。

ダウンロードは有料だがSpherillo grossusで画像検索すると写真だけは見られる。

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2018年6月25日 (月)

卵を抱えるダンゴムシは天敵に食べられやすい?

ダンゴムシやワラジムシのメスは腹部に卵を抱える性質がある。
Imgp1427
孵化するまでの数週間、おなかの育房で育て続ける。



卵があるとメスが食べられやすくなることをオカダンゴムシで調べた研究

Suzuki S & Futami K. 2018. Predatory risk increased due to egg‐brooding in Armadillidium vulgare (Isopoda: Oniscidea). Ethology, 124(4), 256-259.


1.走るスピード

卵があると約30%遅くなる。


2.丸くなる時間

ダンゴムシを突いて丸くして丸まり続ける時間を計ったところ、

卵があると、丸まる時間が約20%短くなる。


3.マルガタナガゴミムシによる捕食数

卵なしのメス2匹とありのメス2匹をゴミムシと一緒に1週間飼って、生き残った数を数えたところ、

卵なしは平均0.2匹死亡、ありは平均0.9匹も死亡した。



卵があると足が遅くなり、丸まるのが難しくなるので、ゴミムシに食べられやすいかもしれないと書いてある。

卵は体重の最大10%以上にもなるらしく、走ったり丸まったりが難しくなるのだろう。


追記

もっと詳しく解説しているサイトがありました。

ダンゴムシがダンゴになれないとき – 子育てコストの検証実験

実験を行った研究者本人が書いています。



ダンゴムシの天敵

ダンゴムシの天敵はサンショウウオ、ヒキガエル、ムカデ、イノシシグモ、鳥類、ワラジムシヤドリバエ、寄生線虫など。

ダンゴムシの病気:リケッチエラ: だんだんダンゴムシ

しかしあまり好んで食われることはなく、ダンゴムシに強い天敵は存在しない。


しかしゴミムシはダンゴムシの強力な天敵になるみたい。

私もヒョウタンゴミムシがダンゴムシを食べることを確認している。

ダンゴムシの天敵ヒョウタンゴミムシ

Photo_2
ヒョウタンゴミムシ


論文にも書いてあるが、オカダンゴムシは外来種であり、元来の天敵は日本に存在しない。

原産地のヨーロッパでは土着の天敵と長く暮らしているので、卵があっても何らかの回避手段を確立している可能性がある。

日本でも時間が経てば、卵を持つメスがマルガタナガゴミムシに対抗してくるかもしれない。



この実験だけで卵を持つと食われやすくなると断定できないと思う。

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2018年6月21日 (木)

ダンゴムシの標本を透明化して内臓を見る方法

ダンゴムシのカプセルトイが2018年8月に発売されるとバンダイが発表した。

買う予定。


話は変わって、ダンゴムシ(や甲殻類)の標本を透明にして、体内を可視化できるようにする技術が開発されたようです。



CUBIC

CUBICと呼ばれる、透明標本を作る方法がある。

理化学研究所で、脳を透明化して蛍光タンパク質で神経細胞の3D構造を観察する方法として開発された。

http://www.riken.jp/pr/press/2014/20140418_1/



以下の研究で、ダンゴムシやカニの透明化に転用している。

Konno, A., & Okazaki, S. (2018). Aqueous-based tissue clearing in crustaceans. Zoological Letters, 4(1), 13.



ホルマリン、もしくは和光純薬株式会社の組織固定用4%パラホルムアルデヒド・りん酸緩衝液で固定して標本にする。

EDTAでカルシウムを除去し、過酸化水素で漂白。CUBICで脱色。処理途中で核を染めることもできる。

大顎と腹肢の偽気管は色付きのまま。

甲羅が完全に透明になるので、消化器官(胃の壁も)や生殖器官が観察できる。脚の筋組織も見える。

蛍光で細胞の核も見られる。



経験上、アルコールで標本を作ると、内臓は変形する。(外骨格は変わらない)

ホルマリンで固定するという点は重要かもしれない。



体内の構造を見るのは、固体化して切片を作るか、MRIやX線のCTスキャンでもできる。

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