卵を抱えるダンゴムシは天敵に食べられやすい?
ダンゴムシやワラジムシのメスは腹部に卵を抱える性質がある。
孵化するまでの数週間、おなかの育房で育て続ける。
卵があるとメスが食べられやすくなることをオカダンゴムシで調べた研究
Suzuki S & Futami K. 2018. Predatory risk increased due to egg‐brooding in Armadillidium vulgare (Isopoda: Oniscidea). Ethology, 124(4), 256-259.
1.走るスピード
卵があると約30%遅くなる。
2.丸くなる時間
ダンゴムシを突いて丸くして丸まり続ける時間を計ったところ、
卵があると、丸まる時間が約20%短くなる。
3.マルガタナガゴミムシによる捕食数
卵なしのメス2匹とありのメス2匹をゴミムシと一緒に1週間飼って、生き残った数を数えたところ、
卵なしは平均0.2匹死亡、ありは平均0.9匹も死亡した。
卵があると足が遅くなり、丸まるのが難しくなるので、ゴミムシに食べられやすいかもしれないと書いてある。
卵は体重の最大10%以上にもなるらしく、走ったり丸まったりが難しくなるのだろう。
追記
もっと詳しく解説しているサイトがありました。
ダンゴムシがダンゴになれないとき – 子育てコストの検証実験
実験を行った研究者本人が書いています。
ダンゴムシの天敵
ダンゴムシの天敵はサンショウウオ、ヒキガエル、ムカデ、イノシシグモ、鳥類、ワラジムシヤドリバエ、寄生線虫など。
しかしあまり好んで食われることはなく、ダンゴムシに強い天敵は存在しない。
しかしゴミムシはダンゴムシの強力な天敵になるみたい。
私もヒョウタンゴミムシがダンゴムシを食べることを確認している。
ヒョウタンゴミムシ
論文にも書いてあるが、オカダンゴムシは外来種であり、元来の天敵は日本に存在しない。
原産地のヨーロッパでは土着の天敵と長く暮らしているので、卵があっても何らかの回避手段を確立している可能性がある。
日本でも時間が経てば、卵を持つメスがマルガタナガゴミムシに対抗してくるかもしれない。
この実験だけで卵を持つと食われやすくなると断定できないと思う。
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