« 植物苗にくっつくワラジムシ | トップページ | ワラジムシ、ホソワラジ、クマワラジ、オビワラジの見分け方 »

2018年7月23日 (月)

最終氷期の後、海のワラジムシ目の数が急増している

日本の海岸にいる等脚類の遺伝子を調べている研究でヘラムシとキクイムシを調査して、

個体数の変動で似たような結果を出していた。



北海道のヘラムシ


Hiruta, S. F., Ikoma, M., Katoh, T., Kajihara, H., & Dick, M. H. (2017). A matter of persistence: differential Late Pleistocene survival of two rocky-shore idoteid isopod species in northern Japan. Hydrobiologia, 799(1), 151-179.

オホーツクヘラムシ Idotea ochotensis と、イソヘラムシ Cleantiella isopus

北海道と東北の岩場の磯でそれぞれ200匹ぐらい採集している。
Imgp8139
海草に擬態するオホーツクヘラムシ?

Photo
イソヘラムシ?

どっちも海藻をとると付いていることがある。



北海道では、オホーツクヘラムシは13万年ぐらい前から増えていて、イソヘラムシは最終氷期(約2万年)後に数が増えていると推測している。

オホーツクヘラムシは寒い所が好きで、氷河期を乗り越えて増え続け、

イソヘラムシは寒い所が苦手なので、氷河期が終わってから数が増えた、

ということらしい。



太平洋のキクイムシ


Yoshino, H., Yamaji, F., & Ohsawa, T. A. (2018). Genetic structure and dispersal patterns in Limnoria nagatai (Limnoriidae, Isopoda) dwelling in non-buoyant kelps, Eisenia bicyclis and E. arborea, in Japan. PloS one, 13(6), e0198451.

太平洋と日本海のナガタキクイムシ Limnoria nagatai について調べている。

ナガタキクイムシは海藻のアラメにいて100匹ぐらい集めている。
P1010119
キクイムシ

最終氷期の後、太平洋のナガタキクイムシは数が増えていると推測している。




太平洋のイワホリコツブムシ


イワホリコツブムシも似たような結果のようだ。

Kitaura, J., Yoshida, R., & Nunomura, N. (2018). Genetic population structure of Sphaeroma wadai Nunomura, 1994 (Isopoda: Sphaeromatidae) along the Japanese coast. Crustacean Research, 47, 111-123.



浅い海にいると亜目が違っても似た結果になるのはおもしろい。

陸にいる昆虫とかも氷河期が終わってから増えた例はあるらしい。

|

« 植物苗にくっつくワラジムシ | トップページ | ワラジムシ、ホソワラジ、クマワラジ、オビワラジの見分け方 »

海のダンゴムシ:キクイムシ」カテゴリの記事

海のダンゴムシ:ヘラムシ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 最終氷期の後、海のワラジムシ目の数が急増している:

« 植物苗にくっつくワラジムシ | トップページ | ワラジムシ、ホソワラジ、クマワラジ、オビワラジの見分け方 »