最終氷期の後、海のワラジムシ目の数が急増している
日本の海岸にいる等脚類の遺伝子を調べている研究でヘラムシとキクイムシを調査して、
個体数の変動で似たような結果を出していた。
北海道のヘラムシ
オホーツクヘラムシ Idotea ochotensis と、イソヘラムシ Cleantiella isopus を
北海道と東北の岩場の磯でそれぞれ200匹ぐらい採集している。
海草に擬態するオホーツクヘラムシ?
イソヘラムシ?
どっちも海藻をとると付いていることがある。
北海道では、オホーツクヘラムシは13万年ぐらい前から増えていて、イソヘラムシは最終氷期(約2万年)後に数が増えていると推測している。
オホーツクヘラムシは寒い所が好きで、氷河期を乗り越えて増え続け、
イソヘラムシは寒い所が苦手なので、氷河期が終わってから数が増えた、
ということらしい。
太平洋のキクイムシ
太平洋と日本海のナガタキクイムシ Limnoria nagatai について調べている。
ナガタキクイムシは海藻のアラメにいて100匹ぐらい集めている。
キクイムシ
最終氷期の後、太平洋のナガタキクイムシは数が増えていると推測している。
太平洋のイワホリコツブムシ
イワホリコツブムシも似たような結果のようだ。
Kitaura, J., Yoshida, R., & Nunomura, N. (2018). Genetic population structure of Sphaeroma wadai Nunomura, 1994 (Isopoda: Sphaeromatidae) along the Japanese coast. Crustacean Research, 47, 111-123.
浅い海にいると亜目が違っても似た結果になるのはおもしろい。
陸にいる昆虫とかも氷河期が終わってから増えた例はあるらしい。
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