ワラジムシ、ホソワラジ、クマワラジ、オビワラジの見分け方
日本ではダンゴムシと一緒にワラジムシがよくいる。
ワラジムシ
日本で有名な外来種のワラジムシはこの5種
ワラジムシ
クマワラジムシ
オビワラジムシ
ホソワラジムシ
チョビヒゲワラジムシ(ヘリジロワラジムシ、モンツキワラジムシ)
5種ともヨーロッパや北アフリカ由来の外来種。
ワラジムシは東日本に多く、クマワラジは西日本に多い。
ホソは全体にいる。
チョビヒゲは侵入口となる港のあたりに多い。
オビワラジは関東に多いが珍しい。
住宅街の緑地に多い。(オビワラジムシだけちょっと違う印象?)
※wikipediaのワラジムシ亜目にホンワラジムシ Oniscus asellus が「全国に広く分布している」と書かれているが、実際は日本からの記録がないので間違い。ホソワラジムシの誤記だと思われる。
ワラジムシやホソワラジムシは飼いやすいらしい。
ホソはエサとしてレプタイル系のペットショップで売ってることもある。
白化型やオレンジなどの美しい色彩変異のワラジ、ホソ、クマもしばしば売られている。
これらは自然下ではほとんど見られないため、以下で触れない。
(私はこの手の販売品の魅力がよくわからず、あまり食指が動かない。自然にいるワラジムシこそ至高であり、それを自分で捕まえに行くのが楽しいと思っている。なので色彩変異は自然下で偶然見つけるととても嬉しい。)
外来ワラジムシ5種の特徴
この5種と他の日本産ワラジムシの違いは、腹肢の白い部分(偽気管、白体)の数である。
外来ワラジ5種は偽気管が2対ある。
他の外来種ナガワラジムシは0対、日本在来のワラジムシは0対か5対で区別できる。
追記
チョビヒゲワラジムシを完全に失念しておった。
偽気管が2対ある外来種ワラジムシは他にチョビヒゲがいる。
いろいろ追記した。
外来ワラジムシ4種の同定
この種類は肉眼で見分けられる
ワラジムシ Porcellio scaber
体形がスマート
腹尾節の後端(黄色)が尖る
尾肢外肢(緑)が体の割にあまり長くない
甲羅がゴツゴツ
体色は黒や灰色が多いが、黄色や茶色、オレンジのまだら模様のこともある
クマワラジムシ Porcellio laevis
メス(上)、オス(下)
体型がずんぐり。体の大きさは4種の中で最大
腹尾節の後端が尖る
尾肢が長くて鋭い
甲羅がテカテカのツルツル
色は、濃い灰色(+茶色がかることがある)~黒で、独特の模様がある
オビワラジムシ Porcellio dilatatus
左がオビワラジムシ、右は在来種のハヤシワラジムシ科の仲間。
体型が4種の中で一番ずんぐり
尾肢が短い
甲羅はテカテカだがゴツゴツ
色は明るい灰色~茶色で、独特の模様がある
ホソワラジムシ Porcellionides pruinosus
体型がスマート。足がはやい
甲羅に粉がふいているように見えることが多い
色は白~明るい灰色、赤味やオレンジ味を帯びることがある
触角が黒白のしましま(第4節と第5節の末端側に白い部分がある)
メモ
ワラジムシやホソワラジムシは体型がスマートだが性的二型があり、大人のメスは若干オスより幅広になる。成長によっても幅広になる。
Ismail TG. 2021. Seasonal shape variations, ontogenetic shape changes, and sexual dimorphism in a population of land isopod Porcellionides pruinosus: a geometric morphometric study. The Journal of Basic and Applied Zoology, 82(1), 1-15.
ホソワラジムシには隠蔽種があるため、ホソワラジムシ種群 Porcillionides pruinosus complex と呼ぶことがある。形態的に同じだが遺伝的に違う隠蔽種どうしでは交尾が起きないので完全に別種である。
Lefebvre F., Marcadé I. 2005 New insights in the Porcellionides pruinosus complex (Isopoda, Oniscidea): biological, behavioural, and morphological approaches. Crustaceana, 465-480.
Porcellio属とPorcellionides属の違い
第1~4胸節の後方側面が、Porcellionides属は円い。
ホソワラジムシ
Porcellio属は外へ張り出し、尖る。
オビワラジムシ
ヘリジロワラジムシ(チョビヒゲワラジムシ、モンツキワラジムシ)Agabiformius lentus
兵庫県の甲子園、神奈川県横浜市、沖縄県久高島に侵入している。
地中海原産(模式産地アルジェリア)の外来種で、アジア、中東、アメリカ大陸などにも侵入している。
Schmalfuss H. 2000 The terrestrial isopods (Oniscidea) of Greece. 20th contribution: genus Leptotrichus (Porcellionidae). Stuttgarter Beiträge zur Naturkunde Serie A 618: 1–64.
ヘリジロワラジムシ Porcellio fuscatus、モンツキワラジムシ Leptotrichus kudakaensis、チョビヒゲワラジムシ Leptotrichus chobihigeはシノニムである。
Iwamoto 1943の使用した和名であるヘリジロワラジムシが引き継がれているようである。
他の4種のワラジムシ科と比較して、小型でずんぐりし、頭部の眼の出っ張りが大きく、色も明るい傾向があるが個体差が激しい。
まるで別種だと勘違いさせられるほどなので異名がいくつもある。
https://www.bmig.org.uk/species/agabiformius-lentus
日本のワラジムシ科Porcellionidae
┣ワラジムシ属 Porcellio
┃ ┣ワラジムシ Porcellio scaber
┃ ┣クマワラジムシ Porcellio laevis
┃ ┗オビワラジムシ Porcellio dilatatus
┃
┣ホソワラジムシ属 Porcellionides
┃ ┗ホソワラジムシ Porcellionides pruinosus
┃
┗チョビヒゲワラジムシ属 Agabiformius
┗ヘリジロワラジムシ Agabiformius lentus
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