ソコウオノエ
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このウオノエがシマアジノエではないかとのことで検討した。
シマアジノエ Ceratothoa trigonocephala
頭部が三角形、第1-4胸節はほぼ同じ長さ、第1胸節の中心背面に隆起、第1胸節の前方外側は短くはっきりと円い、尾肢が腹尾節後端を通り越していない。
ことで同定できると書いてある。
合っているような気もするが違うような。
歌魚風月様はソコウオノエの可能性にも触れていたので、こちらも確認した。
ソコウオノエ Ceratothoa oxyrrhynchaena
オーストラリア産のキダイ属の一種 Dentex spariformis の口内から捕れたソコウオノエが載っている。
節や脚の形を見たら、だいたい同じ。
頭
第7胸脚
これはシマアジノエではなく、ソコウオノエの可能性が高い。
頂いた4匹全てソコウオノエのようです。
しかし、これで終わりではなかった。
Martin et al. (2013)はYamauchi (2009)に触れていた。
Yamauchi (2009)は日本産のアカムツから捕ったソコウオノエが載っている。
2つの論文で書いていることが違っていた。
第2触角が、7節(Yamauchi)、9節(Martin)
尾肢内肢と外肢が、違う長さ(Yamauchi)、同じ長さ(Martin)
第1腹肢内肢は、外肢と同じ長さ(Yamauchi)、外肢より小さい(Martin)
maxillipedの棘が、9本(Yamauchi)、5本(Martin)
稀によくある。
この違いの原因は、個体差、成長、地域差、可塑性、実は別種、のどれだ。
とりあえず、Martin et al. (2013)と全ての項目で合致した。
なので、頂いたウオノエの名前は、「Martinらによって2013年に発表された論文に基づくソコウオノエ」Ceratothoa oxyrhynchaena sensu Martin et al., (2013)とすべきなのかもしれない。
頂いたウオノエのメス2匹のうち1匹は、第1腹肢内肢が外肢より小さい。
ただし、もう1匹は内肢と外肢のサイズが同じだった。
思ったより闇が深い。
それにしても、ウオノエは種類が多い。
なぜ魚によって違うウオノエが寄生しているんだろう?
魚の血液は種によって違う毒があって、ウオノエは種ごとに違う毒に適応している?
魚に色んな毒を注射したら、ウオノエが寄生しない魚になるのかな?
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コメント
だんだんダンゴムシさん
ありがとう。おもしろい結果になりましたね。
シマアジから採取したのでシマアジノエと、表記
して送りました。
投稿: 磯岸 | 2018年12月26日 (水) 18:41
シマアジには色々なウオノエが寄生するのかもしれないですね。
おいしいんですかね。
投稿: だんだんダンゴムシ | 2018年12月31日 (月) 20:40