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2020年8月17日 (月)

メスのダンゴムシはオスに近寄り、オスはメスに近づく

ダンゴムシを交尾させる実験を見つけた。


オカダンゴムシの交尾相手の探索のタイミング

Beauché F, Richard F-J (2013) The Best Timing of Mate Search in Armadillidium vulgare (Isopoda, Oniscidea). PLoS ONE 8(3): e57737.


Y器官という脱皮腺からの分泌が脱皮サイクルに対応する。血液に分泌される脱皮ホルモンは脱皮サイクルで起きる化学的、生理的な変化を起こす。

普通の脱皮サイクル。脱皮後の2日間はあまり動かない。脱皮間期は活発に動く。

Photo_20200505194301


生殖脱皮。脱皮前には脱皮に向け卵巣の成熟が始まる。D1に炭酸カルシウムの移動が起きる。D0から脱皮ホルモンが増える。脱皮直前に交尾する。

Photo_20200505194302



近距離で反応するか、性別や脱皮の時期で魅力が異なるかを見ている。

オカダンゴムシを飼育し、前年に卵を持つ母親を集め、産まれた子どもは性別が判断できるようになったら雌雄別にして、交尾をしないようにする。近親交配は起きないようにしている。

餌は人参とシナノキ。

こうして1才の未交尾ダンゴムシを用意。1匹につきテスト1回。

メスは脱皮期を分けた。white plateなし=C/D0、white plate出現=D1、white plate発達=D2-4。実験後、生殖脱皮であることを確認?オスはC/D0。

Y字の迷路で、最初と5分後に空気を流して、10分間ダンゴムシもしくは抽出物を選ばせる。選ぶ側が選ばれる側のそばに滞在した時間の中央値でWilcoxon検定。

実験は繁殖期の午後2-5時、1ルクス、温度20度、湿度60度。



オスもメスも、何もいない空間とC/D0の同性のダンゴムシを選ばせると有意差はない(多少同性が多い)が、何もない空間とC/D0の異性だと異性を選ぶ。

つまり、雌雄とも異性に引き寄せられ、同性には引き寄せられないという結果。




オスは、C/D0よりもD1を選び、C/D0とD2-4との差はない。オスのオカダンゴムシは空中を漂う化学物質でメスのD1を知ることができる。

D2-4のメスは、D2-4のメスとオスの差はない。

この実験だけだと振動を使っている可能性が否定できない。

しかし、オスはメスのクチクラ抽出物と何もなしは抽出物の方を選ぶ。



化学的キューによる集合は交尾の機会も増やせる。

しかし集合するとライバルも増やす。

オスは脱皮時以外、一年中活発である。メスは限られる。



オカダンゴムシのメスは12ヶ月精子を保存でき、次の出産でも使える。

メスが2番目のオスと交尾すると、最初のオスの精子が優先されて少なくとも半分が1番目のオスの子となる。

交尾後はすぐメスはrefractory periodになる。

なので、他のオスより先にメスを見つけるのが重要となる。

メスのreceptivityが最も高いD1にattractivenessも最大になる。

D2-4で魅力が下がるのは、すでに交尾が終わってrefractory periodかもしれからか。



メスはメスよりオスを好むが、D2-4のメスは有意差がなかった。

脱皮サイクルによって好みが変わることは証明。だが、メスの好みについての適応的な意義は不明。



オカダンゴムシは同種の性別と脱皮サイクルを短距離で化学物質で知ることができる。

繁殖期の集合は生理的に同調させ、卵巣の成熟を加速させ、交尾できる状態にまで至らしめる。

メスは魅力を高めるので、交尾ができるようになるまでオスが傍に留まるように促せる。

という結論が書いてある。

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