ダンゴムシのオスはメスより触角が長い
オカダンゴムシは雌雄で体が微妙に違う。
甲羅の模様がわかりやすい。
オカダンゴムシのオスメスの見分け方(オスはすね毛が濃い): だんだんダンゴムシ
他にも、触角はオスの方が長めとなっている。
オカダンゴムシの第2触角
水生と違い、陸生のダンゴムシの第1触角は短く、第2触角が長い。
第2触角は物に触れたり匂いを嗅いだりしてエサ、異性、天敵を探す器官である。
オスは攻撃的で、触角でオスどうしで突き合うことがある。
メスはしないので、エサでなくメスをめぐる戦いだとされる。
オスの触角が長いのは、メスを探すためか攻撃に使うためか確かめる研究があった。
性と触角の長さ、攻撃性
Lefebvre F, Limousin M, Caubet Y (2000) Sexual dimorphism in the antennae of terrestrial isopods: a result of male contests or scramble competition? Can J Zool 78: 1987–1993.
ワラジムシ Porcellio scaber、オビワラジムシ Porcellio dilatatus、オカダンゴムシ Armadillidium vulgare、ハナダカダンゴムシ A. nasatum、ホンワラジムシ Oniscus asellus、ホソワラジムシ Porcellionides pruinosus、Porcellionides cingendus。
7種の触角の外骨格の長さを調べている。
体が大きいほど触角も長い。ダンゴムシはメスの方が体が大きい。
なので、性的二型がないと推測できる第3胸脚のbasis(基節)の長さをreferenceとして共分散分析をしている。
体長はばらつきが出るので使っていない。
攻撃性のレベルも調べている。
5日間一人にした後、オス同士を20分間一緒にしている。(甲殻類はぼっちになると攻撃性が増すらしい。知らなかった)
攻撃(小刻みな振動、触角で突く、相手への突進、乗っかる、追いかける、噛み付く)の時間と回数を記録している。
種の系統の縛りを考慮してCAICを使っている。
オスのオカダンゴムシの触角はメスより13.5%長い
結果、7種とも触角はオスの方が長いとなっている。ただし、Porcellionides cingendusだけ有意でない。
他の研究でもオスが長いと言われるので、ダンゴムシは皆こうなのかもしれない。
オカダンゴムシはオスが13.5%(0.626 mm)長い。幅も5.8%広い。
節毎にみると、オカダンゴムシやハナダカダンゴムシは最も先端の第2鞭節が長く、
ワラジムシやオビワラジムシは基節や柄節が長い。ホソワラジムシは全節に雌雄差がある。
ダンゴムシは先端の節がオスの方が長い。
攻撃性と触角の長さの関係なし
オカダンゴムシとハナダカダンゴムシは触角を使った攻撃はなかった。
触角を使った攻撃をする種については、攻撃性が高いほど触角の性差がない傾向にある。
つまり、触角を使うからオスは触角が発達していると説明できず。
このことから、長い理由を化学的な能力を上げるためと推測している。
身体的な競争ではなく、化学的なメスの見つけ合いを制した方が勝つオカダンゴムシは、触角に差があり戦いもしないということらしい。
触角の長さが違うのは知らなかった。
ネットで検索しても見つからない情報。
とりあえず雌雄の見分け方のページに追記しました。
ムシミル
ダンゴムシをネットで検索していたら、昆虫写真家の村松佳優氏のムシミルというサイトを見つけた。
ダンゴムシやワラジムシについてのページを見るとやはり写真がうまい。
誤同定があり、「ハヤシワラジムシの一種」としている写真はヒメフナムシだろう。
ハヤシワラジムシ科をTrachelipidaeとしているが、正しくはAgnaridae。
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