ワラジムシの脱皮のステージ、二回脱皮の理由
昔、脱皮の話を書いた。
ダンゴムシの仲間は2回に分けて脱皮する: だんだんダンゴムシ
詳しい時系列をしらべた。
ダンゴムシは脱皮をするとき体の前半分と後半分で2回に分ける。第4胸節と第5胸節の間が境目。
脱皮のステージ分け
ホンワラジムシの脱皮の形態変化を見ている。
脱皮前期
stage 1:0~2日目。体に変化なし。
stage 2:3日目。表皮細胞の巨大化。前半分の腹面に半円の脂肪体が現れる。
stage 3:7日目。表皮の剥離開始。前半分が外骨格直下の白いカルシウム沈着物で脂肪体が覆われる。(繁殖期のメスは期間が大幅に延び卵黄が発達する。)
stage 4:後半分の皮の再吸収。前半分でカルシウムの貯蔵量が増加し、斑が発達。
stage 5:斑点がはっきり見えるようになる。
stage 6:摂食停止
stage 7:左右の斑点が融合。前部のカルシウム量が急速に増加。
stage 8:腹面が不透明な白に
stage 9:前半分全体が白に。群れを離れ、活動を停止。
脱皮
stage 10:後ろ半分を脱皮
stage 11:脱皮殻を食べる。前半分で新しい皮の形成。前半分のカルシウム沈着物が縮小。後ろ半分へカルシウムが逆再生のように移行。12時間から数日
stage 12:前半分を脱皮
脱皮後期
stage 13:前半分の硬化。カルシウム沈着物がなくなり、脂肪体が見えるようになる。stage 3相当
stage 14:脂肪体が消える。外骨格が完全に硬化。
脱皮間期
stage 15:脱皮後3~4日。活発に活動。
脱皮前期では後ろ半分には再吸収された古い皮と新しい皮が重なるが、前半分は再吸収されていない古い皮のみでカルシウムの貯蔵が起きる。
前半分の新しい皮はカルシウムの再吸収が起きてからできる。
ダンゴムシとワラジムシは斑の形が違うようだ。
二相性脱皮の理由の予想
エビなどの甲殻類は、脱皮前期に胃にカルシウムを蓄積させ胃石を作る。
これは表皮由来のカルシウム。脱皮で失われるカルシウムを減らす仕組みらしい。
ダンゴムシは胃だけでなく、前半分全体にカルシウムを蓄積させる。
甲殻類のうち等脚類でのみ見られる二相性脱皮は前半分の表皮へのカルシウム貯蔵の結果とみなせるかもしれない、と書いてある。
前半分に大量のカルシウムを蓄積できるようになり、その代わり、蓄積したカルシウムを再吸収するまで新しい皮を作れないようになった。
硬い外骨格を持つのに有利?
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