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2022年1月

2022年1月18日 (火)

フナムシの呼吸と体重

フナムシの代謝速度を調べてスケーリング指数を計算している研究があった。

Ellenby C. 1951. Body size in relation to oxygen consumption and pleopod beat in Ligia oceanica L. Journal of Experimental Biology, 28(4), 492-507


オスのフナムシLigia oceanicaの、体重と酸素消費量と腹肢を1回動かす時間を数えている。

体長が変わっても、体の形、腹肢の形は変わらず、比重は一定。

体重は体長の3乗に比例。

体幅や腹肢の幅は、体長に比例する。

酸素消費量は、体重の0.726乗に比例する。(=体重1g当たりの酸素消費量は体重の-0.274乗に比例する)

腹肢を1回動かす時間は、15℃で体長の0.66乗、25℃で体長の0.59乗に比例する。(ふりこの周期は長さの0.5乗に比例する。水の抵抗が増えるはずなのに若干早くなる)



生理学の代謝スケーリング理論の中で、クライバーの法則という有名な法則があって、

様々な体重の個体の呼吸速度を測定すると、呼吸速度は体重の3/4乗に比例する値になるという法則である。

フナムシも0.726と近い値が出ていておもしろい。



3/4という数字は色んな生物を調べて経験的にはじき出された値であり、理由について論争が続いていたが、

今はフラクタルの概念を取り入れた理論的な説明が試みられている、と先生に教わった。

日本生態学会誌63巻1号ここに書いてある。

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2022年1月 9日 (日)

ダイバーを襲うウオノシラミ属

ワラジムシ目は人間に害はないと思っていたが、ダイビングする人間を襲った話を見つけた。

Garzón-Ferreira, J. (1990). An isopod, Rocinela signata (Crustacea: Isopoda: Aegidae), that attacks humans. Bulletin of marine science

1987年6月17日のコロンビアでスキューバダイビングしていたら、ウオノシラミ属のRocinela signataがたくさん攻撃してきたらしい。

被害は6月から翌年1月までずっと続き、5mm以下の子供から1cm以上の大人まで噛んでくる。

潜るとすぐ何匹もつく、強く貼り付いて殺さないと外れない、くっついてすぐ皮膚に噛み付いて吸血し、逃げるときはお腹が血で膨れていた、と書いてある。


Rocinela signataは、大西洋の西側の温帯から熱帯に生息する。

砂地やサンゴ礁の広がる浅くて綺麗な海で泳ぎ、魚のエラに寄生する。

日本にもウオノシラミ属は分布する。



グソクムシ科ウオノシラミ属の見分け方は昔に書いたが調べ直すと情報が古いみたい。

グソクムシ科、スナホリムシ科、スナホリムシダマシ科、ウオノエ科、ニセウオノエ科:だんだんダンゴムシ

修正めんどくさいなぁ…

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