ハヤシワラジムシ科3属の見分け方
以前書いた外来ワラジムシの見分け方が人気ページになっている。
ワラジムシ、ホソワラジ、クマワラジ、オビワラジの見分け方: だんだんダンゴムシ
なので今回は在来種のワラジムシで一番よく見るハヤシワラジムシ科の属の見分け方について書いてみた。
ハヤシワラジムシ科は3属が日本にいる。
ハヤシワラジムシ科 Agnaridae Schmidt, 2003
┣ヒナワラジムシ属 Agnara Budde-Lund, 1908
┣オオハヤシワラジムシ属 Lucasioides Kwon, 1993
┣ヒトザトワラジムシ属 Mongoloniscus Verhoeff, 1930
…
ハヤシワラジムシ科とハクタイワラジムシ科はよく似るが、腹肢の5対の白体の構造に違いがある。
ハヤシワラジムシ科とハクタイワラジムシ科の違い: だんだんダンゴムシ
ハヤシワラジムシ科3科の見分け方(注意:現在の分類に問題あり?)
ヒナワラジムシ属 Agnara
オオハヤシワラジムシ属より体が盛り上がる。胸節の側縁部にgland poreがある。頭部の前方中心は三角だが尖らず円く、側方の眼の前方は出っ張り強かったり弱かったりする。第1胸節の側縁は外側へ張り出さない。胸節のnoduli lateralesは全て側方に位置し、第1胸節から第7胸節にかけて一直線に並ぶ。オスの第1腹肢外肢の先端にへこみがない(浅いへこみがある場合あり)。
清澄山
軍荼利山
日本の種は他の属と比べ最大7mm程度と小さいが、外国では1cm程度の種もいる(Agnara taprobanicaなど)。
オオハヤシワラジムシ属 Lucasioides
Kwon 1993によると
他の属より体が平たく、背甲はゴツゴツ。胸節の側縁部にgland poreがない。頭部の前方中心は三角に出っ張り、側方でも眼の前方へ強く突出する出っ張りがある。第1胸節の側縁が外側へ張り出し、例外もあるが後方が曲がりくねる。胸節のnoduli lateralesは第2-4胸節ではより中心側に位置する。オスの第1腹肢外肢の先端に浅いへこみがある。
愛媛県
千葉県
1cm程度の大型種から5mm程度の小型種まで見られる。
様々な環境に分布する。
ヒトザトワラジムシ属 Mongoloniscus
オオハヤシワラジムシ属より体が盛り上がり、背甲はゴツゴツ。胸節の側縁部にgland poreがある。頭部の前方中心は三角に出っ張るがLucasioidesほどでなく,側方の眼の前方への出っ張りも弱い。第1胸節の側縁は外側へ張り出さず後方側縁部は円い。胸節のnoduli lateralesは全て側方に位置するが、一直線に並ぶ場合と並ばない場合がある。オスの第1腹肢外肢の先端に深いへこみがある。
兵庫県
千葉県
胸脚や第2腹肢内肢に違いがあると書いてある文献もある。
オスの第1腹肢外肢の先端のへこみ具合については難しい。
noduli lateralesの位置についても難しい。
Do Heon, K. (1995). Terrestrial Isopoda (Crustacea) from Cheju Island, Korea. Animal Systematics, Evolution and Diversity, 11(4), 509-538.
ここにはMongoloniscus属全種の検索表が載っている↓
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