音を出すダンゴムシ、ニホンコツブムシ
ダンゴムシは、匂いで他のダンゴムシとコミュニケーションをする。
一部に音を出す種類もあったりする。
音を出すダンゴムシ
コシビロダンゴムシの一種 Armadillo officinalis は、体の一部を擦り合わせて音を出すことstridulationができる。
第4胸脚と第5胸脚の前節にある鱗状の出っ張りを使う。
丸くなるときに擦れて音がでるらしい。
Armadillo属だけができるとされる。
Caruso D, Costa G (1976) L'apparato stridulatore e l'emissione di suoni in Armadillo officinalis Dumeril (Crustacea, Isopods, Oniscoidea). Animalia 3: 17–27.
コシビロダンゴムシは振動で敵を撃退するのかもしれないという論文らしい。
Cividini, S., Sfenthourakis, S., & Montesanto, G. (2020). Are terrestrial isopods able to use stridulation and vibrational communication as forms of intra and interspecific signaling and defense strategies as insects do? A preliminary study in Armadillo officinalis. The Science of Nature, 107(1), 4.
この実験では3つのグループに分け、振動なし、A. officinalisの種特異的な振動、非特異的な振動にそれぞれ曝し、
これをY字の台に載せ、音を聞かせて、どこへ行ったかを記録している。
結果、性別やサイズに関係なく、種特異的な振動を聞かせたグループはその音がする方向に行きたがらない。
非特異的な音を聞かせたグループも、その音がする方に行かなくなる。サイズが大きいほど行かない。
この音から逃げようとする傾向があり、仲間が出す警報音を聞いて脱出するのかもしれない。
ダンゴムシが使う、丸くなる、擬死、警戒フェロモンなどのような防御行動の一種でもあるらしい。
海のダンゴムシの音
浅い海にいるニホンコツブムシCymodoce japonicaも音を出せる。
隠岐諸島のニホンコツブムシを調べて、オスは体を振動させて音stridulationを出すことを確かめている。
ニホンコツブムシに近縁なフトトゲコツブムシ
ニホンコツブムシの食事: だんだんダンゴムシで、この写真をニホンコツブムシとしたが、よく似るフトトゲコツブムシだった。
フトトゲコツブムシも音を出していた。
ニホンコツブムシは一夫多妻制で、一匹のオスは縄張りを持ち、その巣穴に多数のメスがいる。
メスは子どもを産むと死ぬ。子どもは数日で巣を離れる。
縄張りにオスが入ったり、掴まれたりすると、オスは腹尾節をわずかに持ち上げ、節の後ろ部分を他の節の前部に擦って音を出す。メスは出さない。
縄張りの巣穴に入る邪魔者を音で撃退しているのかもしれない。
人工的に後部の節を背中側へ曲げるとオスだけ同じ音がすること、オスもメスも胸節の内側にやすり状の構造があることを確かめている。
1音節70ミリ秒程度で、2500~3000Hz前後の音が出ている。
オスは1節に約188列のギザギザがある。
188列/0.07秒=2685Hzなので、理論的な値と合致している。
追記
ダンゴムシ、コツブムシの他に、ヤマトウミナナフシも音を出すらしい。
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