カテゴリー「海のダンゴムシ:キクイムシ」の12件の記事

2018年7月23日 (月)

最終氷期の後、海のワラジムシ目の数が急増している

日本の海岸にいる等脚類の遺伝子を調べている研究でヘラムシとキクイムシを調査して、

個体数の変動で似たような結果を出していた。



北海道のヘラムシ

Hiruta, S. F., Ikoma, M., Katoh, T., Kajihara, H., & Dick, M. H. (2017). A matter of persistence: differential Late Pleistocene survival of two rocky-shore idoteid isopod species in northern Japan. Hydrobiologia, 799(1), 151-179.

オホーツクヘラムシ Idotea ochotensis と、イソヘラムシ Cleantiella isopus

北海道と東北の岩場の磯でそれぞれ200匹ぐらい採集している。


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海草に擬態するオホーツクヘラムシ?


Photo
イソヘラムシ?


北海道では、オホーツクヘラムシは13万年ぐらい前から増えていて、イソヘラムシは最終氷期(約2万年)後に数が増えていると推測している。

オホーツクヘラムシは寒い所が好きで、氷河期を乗り越えて増え続け、

イソヘラムシは寒い所が苦手なので、氷河期が終わってから数が増えた、

ということらしい。



太平洋のキクイムシ

Yoshino, H., Yamaji, F., & Ohsawa, T. A. (2018). Genetic structure and dispersal patterns in Limnoria nagatai (Limnoriidae, Isopoda) dwelling in non-buoyant kelps, Eisenia bicyclis and E. arborea, in Japan. PloS one, 13(6), e0198451.

太平洋と日本海のナガタキクイムシ Limnoria nagatai について調べている。

ナガタキクイムシは海藻のアラメにいて100匹ぐらい集めている。


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キクイムシ

こちらも、最終氷期の後、太平洋のナガタキクイムシは数が増えていると推測している。




太平洋のイワホリコツブムシ

イワホリコツブムシも、調べていないが似たような結果のようだ。

Kitaura, J., Yoshida, R., & Nunomura, N. (2018). Genetic population structure of Sphaeroma wadai Nunomura, 1994 (Isopoda: Sphaeromatidae) along the Japanese coast. Crustacean Research, 47, 111-123.



浅い海にいると亜目が違っても似た結果になるのはおもしろい。

陸にいる昆虫とかも氷河期が終わってから増えた例はあるらしい。

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2018年7月17日 (火)

キクイムシと軍隊

海中に木材を沈めると、穴だらけになる。

フナクイムシ Teredinidae (二枚貝綱)とキクイムシ Limnoriidae (ワラジムシ目)という木材穿孔性の動物のせいであることが多い。


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フナクイムシは石灰でできた白い巣を作る(下)。

キクイムシもよく一緒にいる(左中央)。



木造船の被害は昔からよく知られる。

銅板を張ったり、陸揚げして干したりして対策をとっていた。


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キクイムシ Limnoria ?のmanca幼生



Shipworms and the Making of the American Coastline

これに、海軍と木材穿孔性動物の戦いについて少し書いてある。

キクイムシとフナクイムシには昔から苦労してきたらしい。

木造の港湾施設が破壊されたり、木造船に穴が開いたり。

今は海に沈んだ木造船の保存で問題になっている。



意外にも鉄の船が主流になっても、研究は続いていて、第二次世界大戦後でも進められていたらしい。

調べたら、今の自衛隊もまだ木造船を持っていた。

キクイムシの研究は軍隊が中心に進めていたと某等脚類研究者から聞いたことがある。

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2017年10月15日 (日)

アンドリュースキクイムシをもらった

歌魚風月さんからキクイムシとキクイモドキをいただきました。
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木材に小さいトンネルがある。


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左から、キクイムシ属、アンドリュースキクイムシ、キクイモドキ

海中に沈む木材を食べる。



キクイムシは木材に穴を開ける。
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嘴のような顎を持っていて、木を削りとって食べている。




キクイムシ属とアンドリュースキクイムシの違い

ワラジムシ目(等脚類)のキクイムシ亜目のうち、キクイムシ属 Limnoria とアンドリュースキクイムシ Paralimnoria andrewsi が日本にいる。

尾肢の形で見分ける。


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白抜きの矢印が尾肢。

ピンクの矢印が腹尾節。

頭の黒い点は眼。



アンドリュースキクイムシの尾肢外肢の先端。
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爪が鋭い。

写真に写っていないが、内肢も鋭い。



1
うまく写真が撮れなかったが、このように腹尾節の中心に2つの瘤がある特徴をもつ。



キクイムシ属の尾肢の先端
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アンドリュースキクイムシと違って鈍く見える。

分類は混乱しているようで、種を特定できなかった。




ヨコエビ目キクイモドキ科の一種

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キクイムシの作った穴の中に住む。



木材は、こういう小さな生き物の貴重なエサになる。

港などの海底を清掃して回収されるゴミは、大半が税金で焼却処分されているらしい。

木だけ分別して沖合に再投棄してくれないかな?

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2015年10月 4日 (日)

キクイムシの一覧

ワラジムシ目(等脚類。ダンゴムシやダイオウグソクムシを含むグループ)のなかに、キクイムシ類 gribble がある。



ワラジムシ目キクイムシ亜目の一覧

キクイムシの仲間の全5属をまとめた。

注:昆虫のキクイムシ bark beetle ではありません。



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ケウピリア科 Keuphyliidae 、ケウピリア属

Keuphylia nodosa


一科一属一種。

オーストラリアから見つかっている。

写真↓

http://www.crustacea.net/crustace/isopoda/www/keuphy.htm



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ハドロマスタックス科 Hadromastacidae 、ハドロマスタックス属

Hadromastax dinamoraze
Hadromastax merga
Hadromastax polynesica


上から順番に、モーリシャスのロドリゲス島のサンゴ礁、オーストラリア東の深海、フランス領ポリネシアのモーレア島のサンゴ礁から発見。

詳しい生態は不明。

スケッチ↓

Bruce, N. L. (2004). Hadromastax dinamoraze sp. nov., the first occurrence of the family Hadromastacidae Bruce and Müller,(Isopoda, Crustacea, Limnoriidea) in the Indian Ocean. Journal of Natural History, 38(23-24), 3113-3122.



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キクイムシ科 Limnoriidae 、リンセイア属

Lynseia annae
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Cookson, L. J., & Poore, G. C. B. (1994). New species of Lynseia and transfer of the genus to Limnoriidae (Crustacea: Isopoda). Memoirs of the Museum of Victoria, 54, 179-189. の図を参考

Lynseia dianae
Lynseia himantopoda


オーストラリアの西海岸や南海岸の、海草の生える砂底から見つかる。

腹節の長さが長く、尾肢が小さく腹面にある。尾肢がないウミナナフシに見える。



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○:日本から記録がある種
( ):和名


キクイムシ科 Limnoriidae 、カギオキクイムシ属

Paralimnoria andrewsi ○ (アンドリュースキクイムシ)
Paralimnoria asterosa


海に沈んだ木材を食べている。

日本では、アンドリュースキクイムシが主要な港湾部で見つかる。

アンドリュースキクイムシ5匹。(ドロクダムシ?が1匹混ざっている。)
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キクイムシ科 Limnoriidae 、キクイムシ属

Limnoria agrostisa
Limnoria algarum
Limnoria andamanensis

Limnoria antarctica
Limnoria bacescui

Limnoria bituberculata

Limnoria bombayensis

Limnoria borealis
 ○ (ホッキョクキクイムシ、?)
Limnoria carinata
Limnoria carptora
Limnoria chilensis
Limnoria clarkae
Limnoria convexa
Limnoria cristata
Limnoria echidna
Limnoria emarginata
Limnoria foveolata
Limoria furca
 ○ (日本海)
Limnoria gibbera
Limnoria glaucinosa
Limnoria hicksi
Limnoria hiradoensis ○ (ヒラドキクイムシ、長崎県平戸市)
Limnoria indica
Limnoria insulae
Limnoria japonica ○ (ニホンキクイムシ、富山県富山湾)
Limnoria kautensis
Limnoria lignorum  ○ (キクイムシ)
Limnoria loricata
Limnoria magadanensis ○ (マガダンキクイムシ、島根県)
Limnoria mazzellae
Limnoria multipunctata
Limnoria nagatai  ○ (ナガタキクイムシ、大分県国東半島、愛媛県伊方町)
Limnoria nonsegnis
Limnoria orbellum
Limnoria pfefferi
Limnoria platycauda
Limnoria poorei
Limnoria quadripunctata

wikipediaの写真CSIRO ScienceImage 1558 Limnoria Quadripunctata.jpg
By CSIRO, CC BY 3.0, Link

Limnoria raruslima
Limnoria reniculus
Limnoria rhombipunctata ○ (千葉県銚子市)
Limnoria rugosissima
Limnoria saseboensis ○ (サセボキクイムシ、長崎県佐世保市)
Limnoria segnis
Limnoria segnoides ○  (モズミキクイムシ、神奈川県三浦半島)
Limnoria sellifera
Limnoria septima
Limnoria sexcarinata
Limnoria simulata
Limnoria stephenseni
Limnoria sublittorale
Limnoria torquisa
Limnoria tripunctata
Limnoria turae
Limnoria tuberculata ○ (フクレキクイムシ)
Limnoria uncapedis
Limnoria unicornis
Limnoria zinovae ○  (キタモズミキクイムシ、北海道国後島)



多くが木材食。

北極~赤道~南極、潮間帯から深海、あらゆる海域にいる。



腹尾節に独特の紋様を持つ。

これにちなむ名前がつくことが多い。

一部は人名と地名がついている。






人名と地名から名づけるのは、なるべくやめてほしい。

人名じゃ訳が分からない。

地名は、朝鮮半島以外にも分布するチョウセンヒメフナムシみたく、分布域によっては混乱する。

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2015年8月21日 (金)

セルラーゼを自分で合成できるキクイムシ

地球上の全バイオマス(生物の量)のうち、最大の割合を占めるのがリグノセルロース(lignocellulose)である。

リグノセルロースとは、植物の細胞壁の主成分である。



セルラーゼ(セルロースを分解する酵素)を持つ生物

セルロースを栄養源にするのはとても難しい。人間もセルロースを消化できない。

しかし、セルロースを多く含む木材を食べるシロアリは、おなかに住む共生細菌に分解させている。

理化学研究所が、過去にシロアリのセルラーゼについて研究していた。

詳しくはWikipediaの草食動物のページへ。



バッタは細菌がいないので、セルラーゼがなく、消化できないらしい。
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オンブバッタ



ほとんどの昆虫は、共生細菌に頼ることで木材を分解している。




細菌に頼らないキクイムシ

キクイムシは海底に沈んだ木材を食べているダンゴムシの仲間。

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キクイムシ



磯でぼろぼろに穴が開いた木材を拾って砕くと見つかる。

フナクイムシと同居している。



キクイムシは自分自身でセルラーゼを分泌しているらしい。

セルラーゼ酵素の遺伝子は、細菌から水平伝播によって取り込んだらしい。

キクイムシはセルラーゼを持っているおかげで、木材で生きていける。

腐食食者だった海産ダンゴムシがセルラーゼを獲得して木材食に特化することで、キクイムシへと進化したんだと思う。



(追記)

と思ったが、等脚類はミズムシからダンゴムシ、ワラジムシまでセルラーゼを持っているらしい。

Bredon, M., Herran, B., Lheraud, B., Bertaux, J., Grève, P., Moumen, B., & Bouchon, D. (2019). Lignocellulose degradation in isopods: new insights into the adaptation to terrestrial life. BMC genomics, 20(1), 462.



キクイムシの腸内

Molecular insight into lignocellulose digestion by a marine isopod in the absence of gut microbes (2010)

セルラーゼを出す細菌に頼らないため、キクイムシの腸内に細菌はほとんどいない。

木材をエサにするために多様な細菌や真菌を腸内に持つ、下等シロアリ、キクイムシ(昆虫)、クワガタなどの昆虫と対照的。



キクイムシの胃腸の中は木材が詰まっている。

胃を通過すると、Hepatopancrea と呼ばれる臓器から出るGH family タンパク質やhemocyaninなどの消化酵素と混ざり、腸内で分解される。

hepatopancrea と腸管の接合部には筋肉でできたフィルターがあり、腸管からhepatopancreaに食物が逆流しないようになっている。






植物バイオマスを分解し、糖に変え、燃料にしようという研究がある。

ただ、この手のセルラーゼを使ったバイオ燃料の研究は、かなり難しいと聞く。植物を分解する過程で多くのエネルギーが必要となり、それを上回るエネルギーを回収するのが厳しいらしい。いまだに経済的なセルロースエタノール製造技術は開発されていない。

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2015年4月10日 (金)

甲羅に生き物がくっついているキクイムシ

鹿児島県の大隅半島の大泊キャンプ場そばの海岸に行った。

海に沈んだ木材にはキクイムシ(ワラジムシ目)がいる。

キクイムシは木を食べている。



色がついたキクイムシ

木材を拾ってキクイムシを捕まえた。

腹尾節に色がついていた。

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5つの黒い斑点がある。



ラッパムシ(Heterotrichida)の仲間が甲羅に付着しているらしい。

Marine Wood Borers in British Columbia
(pdf注意)

の40ページに書いてある。

ラッパムシは動物や植物の体表にくっついたり、水中を泳いだりしている。



ラッパムシ?のついたキクイムシ



この原生動物は、特に害はなく、表面にくっついている。

プランクトンや藻類、有機物を食べている。

他に、「腹肢の剛毛には漏斗目(chonotrichida)という原生生物がいることがある。」と書いてある。



(追記)

調べたらラッパムシの害はあるようで、ラッパムシがつくとキクイムシの食べる量が減るようです。

Delgery, C. C., Cragg, S. M., Busch, S., & Morgan, E. A. (2006). Effects of the epibiotic heterotrich ciliate Mirofolliculina limnoriae and of moulting on faecal pellet production by the wood-boring isopods, Limnoria tripunctata and Limnoria quadripunctata. Journal of experimental marine biology and ecology, 334(2), 165-173.

Mirofolliculina limnoriaeがつくことでキクイムシのする糞が減少すると書いてある。




ゴカイを乗せたコツブムシ

以前に甲羅に生き物をのせたコツブムシを見たことがある。


イワホリコツブムシ?
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腹尾節にウズマキゴカイがくっついている。

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2014年10月 8日 (水)

ペットのサソリ、キクイムシ

三浦半島で捕まえたキクイムシの子どもが生まれた。

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エサがなくて、海水中をキクイムシが泳ぎ回っている。

海岸が近くにないので、エサが手に入らない。餓死するかも。



サソリが大きくなってきた。

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コオロギを食べるマダラサソリ

サソリの目がより目だ。スナモグリみたい。

そろそろ冬なので、エサが手に入らない。餓死するかも。

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2014年7月 9日 (水)

キクイムシに共生するミズムシ、木に穴を掘るダンゴムシのなかま

「ウオノエ」とよばれる寄生虫は、ダンゴムシの仲間である。

魚の体に口を刺し、体液を吸っている。

寄生でなく片利共生するダンゴムシの仲間もいる。




キクイムシ
(ダンゴムシの仲間)

海にいくと、穴だらけの木材がある。

フナクイムシという貝の喰い跡である。

キクイムシも、いるときがある。

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キクイムシ




キクイムシと共生するミズムシ

キクイムシが食べた木に、ミズムシのCaecijaeraが住むことがある。

このミズムシはキクイムシが掘った穴のかべにつく、子嚢菌や担子菌を食べているらしい。

この菌類は海水中の木材をたべている。

キクイムシがつくことで、菌の増殖が促進されるといわれる。



キクイムシは、木材にさまざまな菌を繁殖させているようだ。

Thiel, Martin. "Reproductive biology of Limnoria chilensis: another boring peracarid species with extended parental care." Journal of Natural History 37.14 (2003): 1713-1726.




木に穴を掘る海のダンゴムシ

キクイムシ亜目とコツブムシ亜目は木に穴を掘る。


キクイムシは、熱帯から北極ちかくまでいる。海水から汽水域にいる。木材を食べる。
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とても小さい



コツブムシは、熱帯から温帯までいる。海水から淡水域にいる。木にできた穴にすみ、海水中のプランクトンをこして食べるフィルターフィーダーである。

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木材に穴を開けているコツブムシ

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引っ張りだして撮影した写真






宮城県石巻市北上町橋浦の北上川汽水域の北上大橋付近での調査の記録にコツブムシがいた。

http://www.shiokaze.biodic.go.jp/PDF/h24report/h24_report_06.pdf(リンク切れ)

↑ここのサイトにコツブムシの写真がある。

59ページに「Limnoria属の一種と思われる」と紹介されている写真がある。

これはコツブムシの一種(おそらく Sphaeroma 属)。



Limnoria属(和名キクイムシ属)はキクイムシ亜目の一属である。

勘違いしていると思う。

 

 

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2014年5月14日 (水)

ダンゴムシの仲間は2回に分けて脱皮する。

ダンゴムシの仲間(ワラジムシ目、等脚類)は脱皮動物である。

脱皮する時、後ろ半分、前半分、と2回に分けて脱皮する。

英語では「biphasic molting」という。「posterior →anterior」で二相性。



この二相性脱皮は、ダンゴムシの仲間だけで見られる、特徴的な行動である。

(下の方で書いたように一部のワラジムシ目は単相性脱皮である。)



ダンゴムシが脱皮をする理由は、「成長のため」と「繁殖のため」の2つがある。

詳しくはダンゴムシの生殖脱皮、生理周期、求愛: だんだんダンゴムシで。




脱皮の時系列

1.最初に、表面がうっすら浮き上がる。全体的に白っぽくなることがある。

触ると少し柔らかく感じる。

古い甲羅の再吸収が起きる。



2.後ろ半分を脱ぐ。

Photo
コシビロダンゴムシの後ろ脱皮直前


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コシビロダンゴムシの後ろの脱皮殻



3.数日かけて、後ろ半分がかたくなる。

成長したせいか、若干、後ろ側が太くなったように見える。



4.前半分が白くなり、脱皮をする。

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コシビロダンゴムシの前半分の脱皮直前


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オカダンゴムシの前半分の脱皮殻




脱皮直前に柔らかくなるのは、古い甲羅を溶解→再吸収→新しい甲羅に再構成しているからだと思われる。

再吸収によって、脱皮で失う栄養分を極力少なくしていると考えられている。

ちなみに、三葉虫はこれができないらしい。




ダンゴムシの甲羅の構造は土と生き物: Hornungの1を見て下さい。



脱皮動物によく見られることだが、抜け殻はすぐに食べてしまう。

殻も貴重な栄養源。




海に住むダンゴムシの仲間の脱皮

ダンゴムシの仲間の、ワラジムシ、フナムシ、コツブムシ、ヘラムシ、ミズムシ、オオグソクムシ、ダイオウグソクムシなども2回にわけて脱皮する。


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後ろ半分を脱皮中のキクイムシ




脱皮を一発で終わらす例外の種類

例外なのは、ヘラムシ亜目で南極周囲にすむヤリボヘラムシ トガリヘラムシの一種Glyptonotus acutusである。

NHKのサイトにこのヘラムシの動画がある。




Robert Y George, 1972, Biphasic moulting in Isopod Crustacea and the finding of an unusual mode of moulting in the antarctic genus Glyptonotus

この種は、体全体を一気に脱ぐことで、脱皮を一回で終わらす。

南極という特殊な環境だから、1回脱皮であると書いてある。



この種は南極固有。Glyptonotus 属自体も、南極に2種、北極に1種しかいない。




(追記)

さらに調べたら、脱皮を一回で終了する種類が、他にもいた。

フナムシ、エビヤドリムシの特殊な脱皮(単相性脱皮)










「なぜ脱皮を2回に分けるのか?」を考えた

同じ甲殻亜門に属する十脚目(エビ、カニなど)や端脚目(ヨコエビ、ワレカラなど)は一回で脱皮を終わらす。

ダンゴムシと体が似ている気がするヨコエビと脱皮の仕方が違う。



脱皮は周囲の環境や、エサの量によって、延期することが可能である。

おそらく、生理学的には、前半分だけが後ろ半分より遅れて脱皮しているのだと思う。

上のトガリヘラムシの論文では、ホルモンが前半分だけ遅れていると予想している。



なぜこの進化が定着したのだろう?

南極のトガリヘラムシの論文には、「背甲がないから」とあった。

(ヨコエビなども背甲がない)



単相性脱皮が不利な点として

いっぺんに脱皮すると
全部の脚(殻)が弱くなり、敵から逃げにくくなる
一気に多くのエネルギーを使うから、死にやすい
うまく脱げず、脱皮に失敗しやすい

などが思いついた。

半分脱皮と全部脱皮の間で、被捕食率、死亡率、脱皮失敗率に差はある?



どこかのホームページで

固まっていない表皮から水分が抜けてしまうから、乾燥を抑えるために2回に分ける。

と書いてあった。

ワラジムシ目は海で進化したので、「乾燥」は理由にならないはず。

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2014年4月16日 (水)

ダンゴムシやワラジムシの外来種がブラックリストに載るかも

外来種のダンゴムシがたった100年で、ものすごいスピードで広がった話を書いた。

ダンゴムシの歩ける距離が短すぎる。: だんだんダンゴムシ



日本にはダンゴムシやワラジムシの外来種が、いっぱい入ってきている。

家の周りによくいるダンゴムシは、外来種の「オカダンゴムシ」であるのは有名な話。
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オカダンゴムシ Armadillidium vulgare



オカダンゴムシは、もともと日本にいなかった。

ヨーロッパの地中海から、船に乗って明治時代に来たと言われている。

日本に元からいるダンゴムシは、コシビロダンゴムシとハマダンゴムシである。



人家の近くにいるのはオカダンゴムシで、コシビロダンゴムシは在来種だがあまりいない。

今のところ外国のハマダンゴムシが日本にやってきたという情報はない。




オカダンゴムシ、コシビロダンゴムシ、ハマダンゴムシの見分け方

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オカダンゴムシ 扇形


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コシビロダンゴムシ ひょうたん型


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ハマダンゴムシ 長方形型



おしりの尾節の形が違う。慣れると模様で見分けがつく。

さらに、白体甲羅の裏側でも違うところがある。




その他の外来種

オカダンゴムシは日本全国に広がってしまった。(分布について

対馬や隠岐のような離島でも見た。観葉植物経由かな?

新たに、ハナダカダンゴムシという外来ダンゴムシも横浜、神戸周辺から広がりつつある。



ワラジムシ Porcellio scaber も外来種である。
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オカダンゴムシとワラジムシ



ワラジムシも拡大傾向にあると言われている。

他の外来ワラジムシとして、ナガワラジムシ、クマワラジムシなどが確認されている。

都市部では、日本にもともといる在来種のワラジムシもいるが、外来種のワラジムシもよく見る。




外来ダンゴムシ類の規制

今のところ、この外来ダンゴムシ、ワラジムシに対する規制はない。

しかし、安心はできない。

「生物多様性国家戦略2012-2020」の中で、特定外来生物以外で、生態系に被害を及ぼす侵略的外来種についてリストを作成することが目標として定められた。

リストは2014年夏に策定される予定である。



その侵略的外来種の検討対象に、ダンゴムシとワラジムシを合わせて7種も入っている。

オカダンゴムシ
ハナダカダンゴムシ
ワラジムシ
クマワラジムシ
ホソワラジムシ
ナガワラジムシ
オビワラジムシ

このリストは、外来種対策の情報提供のようなものみたいだから、もし掲載されても「排除しなければならない」というわけではなさそうだけど、

何らかの対策はとられるかもしれない。

(環境省のホームページ見ても、リストつくってどうしたいのかはっきりわからなかった。)



゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

追記

策定されたリストに入っていないようです。

我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト (生態系被害防止外来種リスト)

アメリカザリガニやセアカゴケグモは入っている。

゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。



今のところ日本では、外来ダンゴムシやワラジムシが侵略的であるかどうかはわからない。

イギリス領セントヘレナのゴフ島に侵入したワラジムシが、島固有のクキワラジムシの一種 Styloniscus australis を駆逐している事例はあった。

侵略的外来種専門家グループ(ISSG)のサイトに書いてあった。

離島のダンゴムシやワラジムシは調べられていないから、日本のどこかで在来種を圧迫しているのかもしれない。

知らないところで侵略が起きていたら怖い。



このリストに載っていないが、在来ダンゴムシや海のダンゴムシも気になる。

(海のダンゴムシは候補にのってました。ツノオウミセミの一種(Paracerceis sculpta)が大阪湾で確認されたことがあり、候補種になっている。

穿孔性のコツブムシ Sphaeroma quoianum も載っている。)



リストには国内外来種も載せる予定らしい。

在来ダンゴムシも国内で色々いるので、国内外来種が生じるリスクがある。



むしろ、在来種のダンゴムシ間の方が、種間の生息環境が似通っているので、在来と棲み分けが多少確認できるオカダンゴムシよりも危険性が高いと思う。

Imgp56442
コシビロダンゴムシ

国内の違う地域からコシビロダンゴムシが持ち込まれたら、元からいたコシビロと競争しそう。

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