カテゴリー「ダンゴムシの行動、生態」の31件の記事

2020年12月28日 (月)

ダンゴムシは頻尿

ダンゴムシやワラジムシはうんちはお尻から出すが、おしっこは頭から出す。

顎にあるmaxillipedの裏のsecond maxillaeへ尿道が開放し、開口部からWCSへ毛細管現象によって尿が流れ出るのである。

(WCSの説明はダンゴムシの水分調節システムWCS:だんだんダンゴムシ

この外分泌腺は左右両方に計2つある。


なので、口にマスクをつけるとおしっこができなくなってしまう。

Quinlan MC, Hadley NF. 1983 Water relations of the terrestrial isopods Porcellio laevis and Porcellionides pruinosus (Crustacea, Oniscoidea). Journal of comparative physiology, 151(2) 155-161.



コシビロダンゴムシは15~40分間隔でおしっこをする


Harris, Z. C., Taylor, C. J., & Wright, J. C. (2020). The physiology of Venezillo arizonicus: water balance and the cuticular water barrier. Journal of Insect Physiology, 120, 103991.

コシビロダンゴムシVenezillo arizonicusを入れた容器に穴を開けて空気を流し、湿度計で入口と出口の湿度差を計測するとおしっこをする瞬間が見られる。
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縦軸が入口と出口の湿度の差、横軸が時間

湿度のパルス(急激に出口の湿度が高くなる刹那)が15分~40分ぐらいの間隔で起きる。

このパルスが正におしっこを出した瞬間らしい。

直後の指数関数的な減少は尿の自然蒸発だとしている。

ピークが連続して2回ある部分は、尿を出すタイミングが左右でずれているから。(おしっこの切れが悪いわけではないらしい)



つまり、ダンゴムシは頻尿だった。

ワラジムシも同じような結果が出るので、ダンゴムシとワラジムシは頻尿仲間(゚∀゚)人(゚∀゚)ナカーマ



wikipediaの排出器官のページに、

>節足動物では往々に特定の付属肢の基部に口が開き、その部位によって触角腺(甲殻類十脚目)、小顎腺(その他の甲殻類)、基節腺(クモ綱の一部)などと言われる。下等な昆虫では小顎に唾液腺があるが、これは腎管が起源と言われている。

と書いてある。知らなかった。



ウオノエ科の性転換

ウオノエ科の性転換について解説しているサイトがあった。おもしろい。

魚類寄生虫ウオノエの魅力:動物が性転換するのは何故?理由は?ウオノエ科寄生虫で解明!

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2020年8月13日 (木)

ダンゴムシの触角の動かし方

ダンゴムシの頭には触角が4本ある。

そのうち第2触角の2本は目立つ。

周りの物を触って確かめたり、匂いを嗅いだりできる。



歩くときは第2触角で頻繁に地面や壁を突く。

動画で見ると、かなりの頻度で突いているのがわかる。



空中で振りかざす時もある。

このときの動かし方は決まっていて、前から見て左の触角(ダンゴムシにとって右の触角)を反時計回りに動かす。
1_20200709214601



オカダンゴムシの動画をスローモーションで見るとわかる。


地面を突くとき外側から中心へと突く形になる。



ニコニコ生放送のダイオウグソクムシを見たが、特に規則性はないように見える。

触角を上下や前後に動かすだけだった。

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2020年8月 3日 (月)

放課後ていぼう日誌のフナムシの足

「放課後ていぼう日誌」というアニメでフナムシが出演しているという情報を得たので、さっそく見た。

フナムシがいっぱいいた。

一瞥しただけだとわからないが、コマ送りで見るとフナムシを意識して書いていることがわかる。
Photo_20200801230001
放課後ていぼう日誌1話のフナムシのgif動画


・フナムシの脚が7対14本であり、胸節から胸脚が1対ずつ生えている。(節の数は間違っている?)

・胸節の縁の色が違う

・複眼が大きい

・触角や尾肢が長い

・胸脚も長い

・尾肢がY字である



フナムシの持つ特徴をきちんと書いている。

おそらくフナムシにそんなに詳しくないアニメーターが本物のフナムシの写真をコピーしたと思われる。


フナムシが歩くシーンで、脚の向きや動きが揃っていないことに気が付いた。

これはリアル。

ダンゴムシを見ると、左右で同調したりしなかったりする。

前後では微妙にずれ、3つおき(例:第2と第5)で同調していることが多い。

小学生の自由研究のサイトにちょっと書いてあった。



フナムシの動かし方の動画はこちら↓

フナムシの歩き方。他: だんだんダンゴムシ

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2017年9月23日 (土)

ワラジムシを食べるクモ: イノシシグモ

ダンゴムシやワラジムシは硬い甲羅がある割に中身が少なく、ヒョウタンゴミムシのようにバリバリ食べる動物は少ない。

しかし、イノシシグモは器用に食べることが知られる。

イノシシグモ属Dysderaに属するクモは、ダンゴムシやワラジムシをよく食べる傾向があるらしい。
Dysdera crocata (male).jpg
By © Hans Hillewaert, CC BY-SA 4.0, Link

wikiの写真



イノシシグモは日本にいる?


英語版Wikipediaによると日本にいる。

日本産クモ類(東海大学出版会)を読むと、初記録以来採集例がないとある。

日本の侵略的外来種の検討対象種リストに入っているが未定着となっている。


日本産土壌動物(東海大学出版部)によると、人為的に持ち込まれたクモらしい。
Imgp1235_2
Imgp1236
日本産土壌動物 第2版 838-839ページ


過去に侵入して定着できなかったのかな?

定着に成功されたら、免疫のない日本産ダンゴムシは危ないかもしれない。

原産地の地中海周辺では人家周辺に普通に出没するらしい。クモの形をよく覚えておこう。



獲物の捕獲


Pollard, S. D. (1986). Prey capture in Dysdera crocata  (Araneae: Dysderidae), a long fanged spider. New Zealand journal of zoology, 13(1), 149-150.

網を張らず、夜に獲物を探し回る。

イノシシグモは1対の大きな鋏角を持っている。

鋏角が大きいほどダンゴムシを食べ、短いとあまり食べない。

英語版Wikipediaには、つかむと噛まれることがあり、かゆみが生じることがあると書いてある。


ダンゴムシの柔らかい腹側から片側の鋏角を刺し、もう一方の鋏角で背中側から抑えつける。

刺した鋏角から毒液を注入して捕食する。


捕食実験をすると、他の小昆虫と比べてオカダンゴムシやワラジムシを好んで食べるわけではないとする研究もある。

Pollard, S. D., Jackson, R. R., Van Olphen, A., & Robertson, M. W. (1995). Does Dysdera crocata (Araneae Dysderidae) prefer woodlice as prey?. Ethology ecology & evolution, 7(3), 271-275.


しかし、栄養学的な実験で、ダンゴムシ食に特化しているという研究もある。

ŘEZÁČ, M., & PekAR, S. (2007). Evidence for woodlice‐specialization in Dysdera spiders: behavioural versus developmental approaches. Physiological Entomology, 32(4), 367-371.

オカダンゴムシ+ホンワラジムシとキイロショウジョウバエをエサにして飼うと、ハエを多く食べた。

しかし、エサがハエだけよりダンゴムシとワラジムシをやったグループの方が成長が良い、と書いてある。



ワラジムシの交替性転向反応の変化


Carbines, G. D., Dennis, R. M., & Jackson, R. R. (1992). Increased turn alternation by woodlice (Porcellio scaber) in response to a predatory spider, Dysdera crocata.. International journal of comparative psychology.

イノシシグモに出会うと、ワラジムシ Porcellio scaber の交替性転向反応はどうなるか?

交替性転向反応とは、壁にぶつかるたびに右、左と曲がる方向を変える行動のことで、天敵回避に使うと言われる。


T字を繋げた迷路をつくる。

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イノシシグモを二酸化炭素で麻酔して、スタート地点(S)に置いたワラジムシ目掛けて落とす。

ワラジムシがちゃんと右左に進んだか、を計測。


結果、クモに触れるとGに行く(きちんと右→左→…を繰り返す)ワラジムシが多くなった。

ハエや綿を使った場合は、きちんと繰り返さない個体が多い。

オカダンゴムシやワラジムシにとって、イノシシグモは恐ろしい天敵と本能的に知っているのだろう。

日本に来たオカダンゴムシは天敵がいなくて鈍ってそう。


日本のクモは偶発的に食べることはあっても、積極的に食べるクモはいないようだ。
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網にかかったワラジムシを食べるクモ

青森県のオオヒメグモのエサは15%がワラジムシという研究はあった。

TANAKA, K. (1989). Seasonal food supply for the house spider, Achaearanea tepidariorum (Araneae, Theridiidae) in northern Japan. 昆蟲, 57(4), 843-852.









関係ない話

久しぶりに展翅をした。

細いテープしかなくてこうなった。
Photo
関東のアカボシゴマダラは要注意外来生物

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2017年7月10日 (月)

ダンゴムシの交尾を初めて見た!

ダンゴムシはよく見るが、ダンゴムシの交尾は見たことがなかった。


しかしついに、セイコーマート大宮若林店の駐車場裏の草むらで交尾を目撃した。

白昼堂々、隠れもせずに交尾していた。(天敵がいない?)

興奮して写真を撮り忘れてしまった。


捕まえたら、メスが閉じてしまい、オスの○○○が挟まれた。
Imgp1060
すごく痛そう。


ダンゴムシの交尾では、丸まりかけた半開きのメスに、オスが交尾用の付属肢(短いペニスと接続する細長い第一腹肢内肢)を、メスの脇腹(第5胸脚の付け根にある生殖孔)へ入れる。

交尾の画像をちゃんと見たい方は、以下の学術論文の FIGURE 1のE を見てください。

Bouchon, D., Zimmer, M., & Dittmer, J. (2016). The Terrestrial Isopod Microbiome: An All-in-One Toolbox for Animal–Microbe Interactions of Ecological Relevance. Frontiers in microbiology, 7.

Armadillidum vulgare during mating



(追記)

またダンゴムシの交尾を見た。

今度は動画を撮った→またダンゴムシの交尾を見た。: だんだんダンゴムシ




(さらに追記)

交尾を見たのは5日。

メスは飼い続け、21日に見たら卵を抱えていた。

交尾は成功したようだ。
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おなかが卵で黄色い

数日後、ちゃんと生まれた。

メスは何度も交尾を繰り返すため、全ての子供が写真のオスの子とは限らない。



交尾の流れ

オスがメスの匂い?を触角で嗅ぐ

メスも繁殖期だと判断したら、オスは背中に乗って抱き付く
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この状態はまだ交尾に至っていない

メスは体を揺すって抵抗する。(オスの力を試しているという説がある)

オスを受け入れると、メスは軽く丸まって少し開いた状態になる

開いた隙間からオスが交尾器を入れる

メスは左右に交尾器があるので、反対側にも繰り返す

終わったら離れる



オスがメスの上に乗っている状態を「交尾」と書くのをよく見るが、

交尾じゃなくて、メスがOK出すのをオスは待っている状態とされる。

ダンゴムシの交尾、フナムシの交尾: だんだんダンゴムシ



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2017年3月23日 (木)

ダンゴムシの鰓

ダンゴムシには、昔に海にいた名残と思われる性質が少し見られる。

腹肢に偽気管(白体)と呼ばれる、スポンジ状の板のような呼吸器官がある。

Imgp6992
黒線の白い部分。

体のおしりの方の腹側にある。



陸にいるとき、腹肢をほとんど動かさない。

しかし、水の中ではエビのように動かす。

 


水の中では、パタパタさせた方が呼吸の効率が良いのかもしれない。

と言っても、あまり長い時間は生きられない。



魚の鰓呼吸みたいだったから鰓としたけど、正確には鰓じゃないです…

ダンゴムシに鰓はないです。





フナムシの腹肢

ヒメフナムシも陸上では腹肢を動かさないが、

水に沈めると盛んに動かす。

動かさないときは、ほんの少し温めるとよい。



腹肢を動かす筋肉は、普段使わないはず。

維持しているのはなぜ?

よく水につかるから?









ダンゴムシの祖先は海の中で生きていた。

ワラジムシ目(Isopoda)はデボン紀に、さらにワラジムシ亜目(Oniscidea)は石炭紀に海で誕生したらしい。

甲殻類
┣ヨコエビ目
┣十脚目
┣ワラジムシ目
… ┣ワラジムシ亜目(陸棲)
   ┣コツブムシ亜目(水棲)
   ┣ミズムシ亜目 (水棲)
   …


ほとんどのワラジムシ目は海産であり、最初のワラジムシ亜目も海産だったと考えられている。

ワラジムシ亜目の一部は陸にあがってダンゴムシ、ワラジムシ、フナムシに進化し、

海に残ったワラジムシ亜目は絶滅したと思われる。

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2017年2月 1日 (水)

ダンゴムシの甲羅の水の蒸発量

ダンゴムシはなぜ丸くなるか?

答えは、天敵の攻撃から身を守るため、水分の蒸発を防ぐため、とされる。

科学的にはどっちも事実と証明されているようだ。

卵を抱えるダンゴムシは天敵に食べられやすい?: だんだんダンゴムシ


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甲羅は外気に当たるので、水分を通さない構造だろうか?



ダンゴムシ、ワラジムシ、フナムシの水分の蒸発量

ダンゴムシを使って、各部位の水分蒸発量を計測した実験があった。

Edney, E. B. (1951). The evaporation of water from woodlice and the millipede Glomeris. Journal of Experimental Biology, 28(1), 91-115.

英語で書かれているので、きちんとわかっていない。知りたい人は原文を読んで下さい。


乾燥した空気を死んだサンプルに当て、どのくらい体重が減ったかを測っている。

1.そのまま、
2.蜜蝋で背面(甲羅)を覆う、
3.蜜蝋で呼吸器官である腹肢を覆う、
の3パターンで実験。

Imgp6992
黒線:呼吸器官の腹肢の部分

エビやカニは鰓が甲羅の内側にある。

ダンゴムシは鰓がなく、代わりにこの腹肢(+表皮)で呼吸している。


結果

          体重の減少率  それぞれの場所の面積当たりの減少率
ダンゴムシ 背面    2.2            6.5
        腹面    2.5            3.8
        腹肢    1.5            83

ワラジムシ 背面    3.2            8.4
        腹面    3.7            6.3
        腹肢    2.9            97

フナムシ 背面    4.2            11.5
       腹面     6.4            10.9
       腹肢    2.5            58


フナムシは減少率が高い。だからフナムシは乾燥に弱いのかもしれない。

腹肢は呼吸器官であるため、蒸発量は多い。

意外にも、背面と腹面の面積当たりの減少率に差がない。


つまり、甲羅は水分蒸発を防ぐ役割はない。

丸くなると、腹肢からの激しい蒸発を防げるが、甲羅が引き伸ばされて甲羅の表面積は増えるから?


その他の結果

この実験ではいろいろやっている。


1.温度が高くなると、水分蒸発は指数関数的に増える。


2.水の蒸発は

オカダンゴムシ<ワラジムシ<ヒメワラジムシの一種<フナムシ

の順に多い。


3.乾燥した空気に45分間さらした後、湿度98%の空気に戻しても、オカダンゴムシ以外は体重は回復しない。

しかし、水滴があると回復する。


4.オカダンゴムシの生きた個体は、乾燥後に湿度100%の空気に戻すと、体重が回復するが、死んだ個体は回復しない。






友達の一人が結婚した。

ダンゴムシのブログなんか書いてていいのか。

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2016年12月 3日 (土)

ダンゴムシの移動する距離が長すぎる

日本にはモリワラジムシと呼ばれるワラジムシがいる。
Photo
モリワラジムシの仲間



トゲモリワラジムシ属の研究


日本で見られる以下のトゲモリワラジムシが、実は Burmoniscus kathmandius (※)という種であった。

アオキモリワラジムシ Burmoniscus aokiiオガサワラモリワラジムシ Burmoniscus boninensis、ダイトウモリワラジムシ Burmoniscus daitoensis、ハチジョウモリワラジムシ Burmoniscus hachijoensis、ヤマトモリワラジムシ Burmoniscus japonicus、カゴシマモリワラジムシ Burmoniscus kagoshimaensis、ムロトモリワラジムシ Burmoniscus murotoensis、オキナワモリワラジムシ Burmoniscus okinawaensis、シバタモリワラジムシ Burmoniscus shibatai、タナベモリワラジムシ Burmoniscus tanabensis、ワタナベモリワラジムシ Burmoniscus watanabei

詳しくは土と生き物、もしくはZookeysの論文を読んでください。

Burmoniscus kathmandius の和名が、このサイトではアジアモリワラジムシとなっている。


さらに、 Burmoniscus kathmandius は日本全国でほとんど同じ遺伝子配列であることことも報告している。

海洋島の八丈島、小笠原ですら本州と遺伝子が同じ。


文章にすると単純な内容になってしまうが、これを証明するのはとても大変だったと思う。




ダンゴムシの歩ける距離が短すぎる。: だんだんダンゴムシ

ダンゴムシたちは移動能力が高くないはず。

しかし、本当に移動できないとしたら、遺伝子は突然変異が蓄積して、場所ごとに少しずつ違う配列になる。

同じということは、このワラジムシはごく最近に移動したことになる。

オカダンゴムシのように人間が移動させた?


人が持ち込んだ可能性もあるが、自然に起きるとしたら3つあるとされる。




長距離の移動手段


1.台風で飛ばされる

小さい子どもが一匹単位なら飛ぶかもしれないが、終着地にコロニーを築くのは厳しいかも。

運が良ければいける?



2.海面を漂う浮遊物に乗って分散

地面に落ちた木材に、ダンゴムシ達が隠れていることがある。

木材は長い間浮けるし、木材に潜る虫は海洋島にも多いとされる。

大洪水や津波などで流出した、ダンゴムシ付きの植物片が海を漂うのかもしれない。


実際、海面に流出した植物体からの発見例がある。

海を漂うコシビロダンゴムシの発見例: だんだんダンゴムシ



3.渡り鳥にくっつく

くっつき方には2つある。


1.endozoochory:消化管の中を利用する。ダンゴムシは無理

例えば、ハクチョウの糞には、水草 Azolla 属の胞子が高頻度で見られる。

Green, A. J., Jenkins, K.M., Bell, D., Morris, P. J., & Kingsford, R. T. (2008). The potential role of waterbirds in dispersing invertebrates and plants in arid Australia. Freshwater Biology, 53(2), 380-392.


2.ectozoochory:体表にくっついて移動。できそう

水生ヨコエビが、水鳥の羽毛に潜りこんで、数キロは分散している可能性を示す研究がある。

Rachalewski, M., Banha, F., Grabowski, M., & Anastácio, P. M. (2013). Ectozoochory as a possible vector enhancing the spread of an alien amphipod Crangonyx pseudogracilis. Hydrobiologia, 717(1), 109-117.

陸に生きるダンゴムシなら耐えられそう。

渡り鳥の羽に落ち葉が挟まっていることがあるの?





ところで、線虫のCaenorhabditis elegans がダンゴムシやワラジムシを分散に利用しているって本当?

 

 

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2016年11月28日 (月)

コツブムシの繁殖機構を乗っ取るヤドリムシ

ワラジムシ目(等脚類)のうち、約8割は自由生活で、

残りの2割は、他の動物に寄生して血液、体液を吸うことがある。
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スジエビに寄生するエビノコバン


ウオノエ亜目には寄生する種が多い。タイノエ、ウミクワガタ、ヤドリムシ…


ウオノエ亜目カクレヤドリムシ上科の Ancyroniscus bonnieri は、同じ等脚類のコツブムシ亜目の Dynamene bidentata に寄生することがわかっている。



コツブムシの Dynamene bidentata

Dynamene bidentata は地中海など大西洋北部にいる。

オスは背中に2本のとげを持つが、メスは持たない。


磯や浅い海の、岩の隙間や死んだフジツボの殻をすみかにしている。

日本にも死んだフジツボを住処にするコツブムシがいる。
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ワラジムシ目なので、メスは卵を胸節の育房で保護し、孵化するまで抱える性質を持つ。

カクレヤドリムシは、この卵を抱えているメスに寄生する。



カクレヤドリムシの Ancyroniscus bonnieri

Holdich, D. (1975). Ancyroniscus bonnieri (Isopoda, Epicaridea) infecting British populations of Dynamene bidentata (Isopoda, Sphaeromatidae). Crustaceana, 28(1), 145-151.


A. bonnieri
D. bidentata だけに寄生する。

寄生率は高く、1~3割ほど。

成体と寄生型幼生は、見た目がハエの幼虫のようで、目はなく、口器や胸脚などは退化している。

プランクトン幼生は発達した胸脚を持つ。


カクレヤドリムシの幼生は、コツブムシの体内に侵入し、内臓の組織に住み着く。

このときは、オスのコツブムシに寄生することもあり、一匹のコツブムシに最大4匹まで寄生する。


ただし、カクレヤドリムシのメスが卵をつくる場合は、コツブムシのメス一匹を独占する。

コツブムシの卵を食べ、代わりに自分の卵を産み付けてしまう。


寄生されたコツブムシは、カクレヤドリムシの卵を育てる。

ほとんどのダンゴムシが持つ、卵が孵るまでメスがお腹で保護する形質を逆手にとっている。



詳しい生活史

1.コツブムシが成熟し、卵が育房内にできると、カクレヤドリムシのメスは繁殖行動を開始する。

2.外骨格を破り、育房内に、頭と胸節の前半分を出す。
1
寄生されたコツブムシの断面図。論文の図を参考

寄生虫: 成熟前のカクレヤドリムシのメス。卵: 吸収されているコツブムシの卵


3.体組織に後ろ半分を固定したまま、コツブムシの卵を食い尽くす。

カクレヤドリムシのサイズが小さいと食べ残すことがある。

寄生しているのに口器や胸脚がわずかに残るのは、卵をエサにするため。


4.カクレヤドリムシのお腹は卵を消化して得た脂質で膨れる。

成熟したメスは、この栄養を元に自分の卵を作り出す。


5.作った卵は、コツブムシの育房と体組織内の両方に産む。

コツブムシよりも数が多い。

2
カクレヤドリムシに卵を産み付けられたコツブムシ。論文の図を参考


6.数ヶ月すると卵が孵り、カクレヤドリムシの幼虫が出てくる。

親のコツブムシ、カクレヤドリムシは共に死ぬ。


7.そして、出てきた幼虫はプランクトンになり、一次寄生者のカイアシに寄生しながら生活する。

コツブムシが見つかるまで漂い続ける。




カイアシに寄生するヤドリムシの写真

Medeiros GF, Medeiros LS, Henriques DM, Carlos MT, Faustino GVBDS, Lopes RM. 2006 Current distribution of the exotic copepod Pseudodiaptomus trihamatus Wright, 1937 along the northeastern coast of Brazil. Brazilian Journal of Oceanography, 54, 241-245.

ヤドリムシに寄生されているカイアシは珍しいと書いてある。

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2016年10月31日 (月)

ダンゴムシの巣?

ダンゴムシの巣みたいなもの
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オカダンゴムシがプランターの下で部屋を作っていた。



日本在来のコシビロダンゴムシでも、実は同じような現象が見られる。
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落ち葉がいっぱい


慎重に落ち葉をひっくり返していく
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いた
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何匹もいて、糞が溜まり、数cmの穴が掘られている。

周りと比べて湿っているわけでも落ち葉が豊富なわけでもないが、ダンゴムシは集中している。



巣とは、「動物がその生活の必要のために自分の体外に作る特別な構造」とwikiに書いてある。

これは巣?

巣とは言いにくい気がする。



巣にいるダンゴムシの数はまちまちで、ワラジムシも一緒にいることがある。

協調しているとは思えないので、集合フェロモンで一緒にいるだけかもしれない。




ダンゴムシの仲間のオオグソクムシは海底にわかりやすい巣を作ることが知られている。

オオグソクムシの巣穴や飼育法: だんだんダンゴムシ



砂漠にいるワラジムシ、ハクタイワラジムシ科の一種 Hemilepistus reaumuri もはっきりとした巣を作る。

家族で住むらしい。


Hemilepistus reaumuri が巣穴を掘る動画



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