カテゴリー「ダンゴムシたちのおもしろい行動、生態」の29件の記事

2017年7月10日 (月)

ダンゴムシの交尾を初めて見た!

ダンゴムシはよく見るが、交尾を見たことがなかった。



ついに、セイコーマート大宮若林店の草むらで、交尾を見た。

白昼堂々、隠れもせずに交尾していた。

天敵がいない?

興奮して写真を撮り忘れてしまった。

メスが半開きになり、オスがメスの脇腹へ、交尾用の付属肢(第一腹肢内肢)を入れていた。



捕まえたら、メスが閉じてしまい、オスのが挟まれた。
Imgp1060
すごく痛そう。




(ちゃんとした写真を見たい方は、以下のリンクの FIGURE 1のE を見てください。

Bouchon, D., Zimmer, M., & Dittmer, J. (2016). The Terrestrial Isopod Microbiome: An All-in-One Toolbox for Animal–Microbe Interactions of Ecological Relevance. Frontiers in microbiology, 7.

Armadillidum vulgare during mating と書いてある。)




(追記)

またダンゴムシの交尾を見た。

動画も撮った→またダンゴムシの交尾を見た。: だんだんダンゴムシ




(さらに追記)

交尾を見たのは5日。

メスを捕まえて、21日に見たら卵を抱えていた。

交尾は成功したようだ。
Imgp1116
おなかが卵で黄色い

数日後、ちゃんと生まれた。



メスは何度も交尾を繰り返すため、全ての子供が写真のオスの子とは限らない。




簡単な交尾の流れ

オスがメスの匂いを触角で嗅ぐ

交尾期の匂いがしたら、オスは背中に乗って抱き付く
Imgp1111
メスは体を揺すって、抵抗する。(オスの力を試しているという説がある)

オスを受け入れると、軽く丸まるが少し開いた状態になる

開いた隙間からオスが交尾器を入れる

メスは左右に交尾器があるので、反対側にも繰り返す

終わったら離れる



オスがメスの上に乗っている状態を「交尾」と書くのをよく見るが、

交尾じゃなくて、メスがOK出すのをオスは待っている状態。

ダンゴムシの交尾、フナムシの交尾: だんだんダンゴムシ



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2017年4月19日 (水)

ヒメフナムシのえびぞり

ヒメフナムシを水につけたときの腹肢のパタパタを撮影(下のリンク)したときに気づいた。

ダンゴムシが鰓をパタパタしていた: だんだんダンゴムシ


Imgp0871
フナムシに水をかけると、体を反らせて、おしりを上にあげる行動をする。



こうすることで、呼吸器である腹肢が空気中に出る状態になる。

腹肢を空気に曝して、呼吸しやすくしていると思われる。

エビぞりをしているように見える。

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2017年3月23日 (木)

ダンゴムシが鰓をパタパタしていた

ダンゴムシの鰓みたいな部分

ダンゴムシには、昔に海にいた名残と思われる性質が少し見られる。



ダンゴムシの呼吸は主に、腹肢の偽気管(白体)と呼ばれる、スポンジ状の板のような器官で行われる。

Imgp6992
黒線の白い部分。

体の腹部(おしりの方)の腹側にある。



陸にいるとき、腹肢をほとんど動かさない。

しかし、水に沈めるとエビのように動かし始める。

腹肢の部分を撮影した。

 


水の中では、パタパタさせた方が呼吸の効率が良いのかもしれない。

と言っても、そんなに水中で長い時間生きられない。



魚の鰓呼吸みたいだったから、鰓と書きましたが、正確には鰓じゃないです…

ダンゴムシに鰓はないです。



フナムシの腹肢

ヒメフナムシも陸上にいるとき、腹肢は動かさないが、

水に沈めると、盛んに動かし始める。

動かさないときは、ほんの少し温めるとよい。



腹肢を動かす筋肉は、普段使わないはず。

維持しているのはなぜ?

よく水につかるから?









ダンゴムシの祖先は海の中で生きていた。

ワラジムシ目(Isopoda)はデボン紀に、さらにワラジムシ亜目(Oniscidea)は石炭紀に海で誕生したらしい。

甲殻類
┣ヨコエビ目
┣十脚目
┣ワラジムシ目
… ┣ワラジムシ亜目(陸棲)
   ┣コツブムシ亜目(水棲)
   ┣ミズムシ亜目 (水棲)
   …


ほとんどのワラジムシ目は海産であり、最初のワラジムシ亜目も海産だったと考えられている。

ワラジムシ亜目の一部は陸にあがってダンゴムシ、ワラジムシ、フナムシに進化し、

海に残ったワラジムシ亜目は絶滅したと思われる。

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2017年2月 1日 (水)

ダンゴムシの甲羅の水の蒸発量。友達が結婚していく。

ダンゴムシはなぜ丸くなるか?

答えは、天敵の攻撃から身を守るため、とされる。

Yahoo知恵袋では、水分の蒸発を防ぐため、とある。

科学的には、どっちも事実と証明されているようだ。



Imgp8150
甲羅は外気に当たるので、水分を通さない構造だろうか?



ダンゴムシ、ワラジムシ、フナムシの水分の蒸発量

ダンゴムシを使って、各部位の水分蒸発量を計測した実験があった。

Edney, E. B. (1951). The evaporation of water from woodlice and the millipede Glomeris. Journal of Experimental Biology, 28(1), 91-115.

英語で書かれているので、きちんとわかっていない。知りたい人は原文を読んで下さい。



乾燥した空気を死んだサンプルに当て、どのくらい体重が減ったかを測っている。

1.そのまま、
2.蜜蝋で背面(甲羅)を覆う、
3.蜜蝋で呼吸器官である腹肢を覆う、
の3パターンで実験。

 

Imgp6992
黒線:呼吸器官の腹肢の部分

エビやカニは鰓が甲羅の内側にある。

ダンゴムシは鰓がなく、代わりにこの腹肢(+表皮)で呼吸している。



結果

          体重の減少率  それぞれの場所の面積当たりの減少率
ダンゴムシ 背面    2.2            6.5
        腹面    2.5            3.8
        腹肢    1.5            83

ワラジムシ 背面    3.2            8.4
        腹面    3.7            6.3
        腹肢    2.9            97

フナムシ 背面    4.2            11.5
       腹面     6.4            10.9
       腹肢    2.5            58



フナムシは減少率が高い。だからフナムシは乾燥に弱いのかもしれない。

腹肢は呼吸器官であるため、蒸発量は多い。

意外にも、背面と腹面の面積当たりの減少率に差がない。



つまり、甲羅は水分蒸発を防ぐ役割はない。



丸くなると、腹肢からの激しい蒸発を防げるが、甲羅が引き伸ばされて甲羅の表面積は増えるから?



その他の結果

この実験ではいろいろやっている。


1.温度が高くなると、水分蒸発は指数関数的に増える。


2.水の蒸発は

オカダンゴムシ<ワラジムシ<ヒメワラジムシの一種<フナムシ

の順に多い。


3.乾燥した空気に45分間さらした後、湿度98%の空気に戻しても、オカダンゴムシ以外は体重は回復しない。

しかし、水滴があると回復する。


4.オカダンゴムシの生きた個体は、乾燥後に湿度100%の空気に戻すと、体重が回復するが、死んだ個体は回復しない。





友達の一人が結婚した。

ダンゴムシのブログなんか書いてていいのか。

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2016年12月 3日 (土)

ダンゴムシの移動する距離が長すぎる

日本にはモリワラジムシと呼ばれるワラジムシがいる。
Photo
モリワラジムシの仲間



トゲモリワラジムシ属の研究

日本で見られる以下のトゲモリワラジムシが、実は Burmoniscus kathmandius (※)という種であった。

アオキモリワラジムシ Burmoniscus aokiiオガサワラモリワラジムシ Burmoniscus boninensis、ダイトウモリワラジムシ Burmoniscus daitoensis、ハチジョウモリワラジムシ Burmoniscus hachijoensis、ヤマトモリワラジムシ Burmoniscus japonicus、カゴシマモリワラジムシ Burmoniscus kagoshimaensis、ムロトモリワラジムシ Burmoniscus murotoensis、オキナワモリワラジムシ Burmoniscus okinawaensis、シバタモリワラジムシ Burmoniscus shibatai、タナベモリワラジムシ Burmoniscus tanabensis、ワタナベモリワラジムシ Burmoniscus watanabei

詳しくは土と生き物、もしくはZookeysの論文を読んでください。

文章にすると単純な内容になってしまうが、これを証明するのはとても大変だったと思う。



Burmoniscus kathmandius の和名が、このサイトではアジアモリワラジムシとなっている。




さらに、 Burmoniscus kathmandius は、日本全国でほとんど同じ遺伝子配列であることがわかった。

海洋島の八丈島ですら、本州と遺伝子が同じ。



ダンゴムシの歩ける距離が短すぎる。: だんだんダンゴムシ

ダンゴムシたちは移動能力が高くないはず。

しかし、本当に移動できないとしたら、遺伝子は突然変異が蓄積して、場所ごとに少しずつ違う配列になる。

同じということは、このワラジムシはごく最近に移動したことになる。

オカダンゴムシのように人間が移動させた?



人が持ち込んだ可能性もあるが、自然に起きるとしたら3つあるとされる。




ダンゴムシの長距離の移動手段


1.台風で飛ばされる

小さい子どもが一匹単位なら飛ぶかもしれないが、終着地にコロニーを築くのは厳しいかも。

運が良ければいける?



2.海面を漂う浮遊物に乗って分散

地面に落ちた木材に、ダンゴムシ達が隠れていることがある。

木材は長い間浮ける。

大洪水や津波などで流出した、ダンゴムシ付きの植物片が海を漂うのかもしれない。



実際、海面に流出した植物体からの発見例がある。

海を漂うコシビロダンゴムシの発見例: だんだんダンゴムシ




3.渡り鳥にくっつく

くっつき方には2つある。


1.endozoochory:消化管の中を利用する。ダンゴムシは無理

例えば、ハクチョウの糞には、水草 Azolla 属の胞子が高頻度で見られる。

Green, A. J., Jenkins, K.M., Bell, D., Morris, P. J., & Kingsford, R. T. (2008). The potential role of waterbirds in dispersing invertebrates and plants in arid Australia. Freshwater Biology, 53(2), 380-392.


2.ectozoochory:体表にくっついて移動。できそう

水生ヨコエビが、水鳥の羽毛に潜りこんで、数キロは分散している可能性を示す研究がある。

Rachalewski, M., Banha, F., Grabowski, M., & Anastácio, P. M. (2013). Ectozoochory as a possible vector enhancing the spread of an alien amphipod Crangonyx pseudogracilis. Hydrobiologia, 717(1), 109-117.

陸に生きるダンゴムシなら耐えられそう。

渡り鳥の羽に落ち葉が挟まっていることがあるの?





ところで、線虫のCaenorhabditis elegans がダンゴムシやワラジムシを分散に利用しているって本当?

 

 

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2016年11月28日 (月)

コツブムシの繁殖機構を乗っ取るヤドリムシ

ワラジムシ目(等脚類)のうち、約8割は自由生活で、

残りの2割は、他の動物に寄生して血液、体液を吸うことがある。

Imgp7783
スジエビに寄生するエビノコバン



ウオノエ亜目には寄生する種が多い。タイノエ、ウミクワガタ、ヤドリムシ…



ウオノエ亜目カクレヤドリムシ上科の Ancyroniscus bonnieri は、同じ等脚類のコツブムシ亜目の Dynamene bidentata に寄生することがわかっている。



コツブムシの Dynamene bidentata

Dynamene bidentata は地中海など大西洋北部にいる。

オスは背中に2本のとげを持つが、メスは持たない。



磯や浅い海の、岩の隙間や死んだフジツボの殻をすみかにしている。

Imgp2818
日本にも死んだフジツボを住処にするコツブムシがいる。




ワラジムシ目なので、メスは卵を胸節の育房で保護し、孵化するまで抱える性質を持つ。

カクレヤドリムシは、この卵を抱えているメスに寄生する。




カクレヤドリムシの Ancyroniscus bonnieri

Holdich, D. (1975). Ancyroniscus bonnieri (Isopoda, Epicaridea) infecting British populations of Dynamene bidentata (Isopoda, Sphaeromatidae). Crustaceana, 28(1), 145-151.

(最近はsci-hubやresearchgateでタダで論文が読めるのだが、これは読めないようだ。)



A. bonnieri
D. bidentata だけに寄生する。

寄生率は高く、1~3割ほど。

成体と寄生型幼生は、見た目がハエの幼虫のようで、目はなく、口器や胸脚などは退化している。

プランクトン幼生は発達した胸脚を持つ。



カクレヤドリムシの幼生は、コツブムシの体内に侵入し、内臓の組織に住み着く。

このときは、オスのコツブムシに寄生することもあり、一匹のコツブムシに最大4匹まで寄生する。



ただし、カクレヤドリムシのメスが卵をつくる場合は、コツブムシのメス一匹を独占する。

コツブムシの卵を食べ、代わりに自分の卵を産み付けてしまう。



寄生されたコツブムシは、カクレヤドリムシの卵を育てる。

ほとんどのダンゴムシが持つ、卵が孵るまでメスがお腹で保護する形質を逆手にとっている。





詳しい生活史

1.コツブムシが成熟し、卵が育房内にできると、カクレヤドリムシのメスは繁殖行動を開始する。


2.外骨格を破り、育房内に、頭と胸節の前半分を出す。

 

1
寄生されたコツブムシの断面図。論文の図を参考

寄生虫: 成熟前のカクレヤドリムシのメス。卵: 吸収されているコツブムシの卵


3.体組織に後ろ半分を固定したまま、コツブムシの卵を食い尽くす。

カクレヤドリムシのサイズが小さいと食べ残すことがある。

寄生しているのに口器や胸脚がわずかに残るのは、卵をエサにするため。


4.カクレヤドリムシのお腹は、卵を消化して得た脂質で膨れる。

成熟したメスは、この栄養を元に、自分の卵を作り出す。


5.作った卵は、コツブムシの育房と体組織内の両方に産む。

コツブムシよりも数が多い。

 

2
カクレヤドリムシに卵を産み付けられたコツブムシ。論文の図を参考


6.数ヶ月すると卵が孵り、カクレヤドリムシの幼虫が出てくる。

親のコツブムシ、カクレヤドリムシは共に死ぬ。


7.そして、出てきた幼虫は、プランクトンになり、一次寄生者のカイアシに寄生しながら生活する。

コツブムシが見つかるまで漂い続ける。




カイアシに寄生するヤドリムシの写真

Medeiros, G. F., Medeiros, L. S., Henriques, D. M., Carlos, M. T., Faustino, G. V. B. D. S., & Lopes, R. M. (2006). Current distribution of the exotic copepod Pseudodiaptomus trihamatus Wright, 1937 along the northeastern coast of Brazil. Brazilian Journal of Oceanography, 54(4), 241-245.

ヤドリムシに寄生されているカイアシは珍しいと書いてある。

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2016年10月31日 (月)

ダンゴムシの巣?

ダンゴムシの巣みたいなもの
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オカダンゴムシがプランターの下で部屋を作っていた。



日本在来のコシビロダンゴムシでも、実は同じような現象が見られる。
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落ち葉がいっぱい


慎重に落ち葉をひっくり返していく
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いた
2
何匹もいて、糞が溜まり、数cmの穴が掘られている。

周りと比べて湿っているわけでも落ち葉が豊富なわけでもないが、ダンゴムシは集中している。



巣とは、「動物がその生活の必要のために自分の体外に作る特別な構造」とwikiに書いてある。

これは巣?

巣とは言いにくい気がする。



巣にいるダンゴムシの数はまちまちで、ワラジムシも一緒にいることがある。

協調しているとは思えないので、集合フェロモンで一緒にいるだけかもしれない。




ダンゴムシの仲間のオオグソクムシは海底にわかりやすい巣を作ることが知られている。

オオグソクムシの巣穴や飼育法: だんだんダンゴムシ



砂漠にいるワラジムシ、ハクタイワラジムシ科の一種 Hemilepistus reaumuri もはっきりとした巣を作る。

家族で住むらしい。


Hemilepistus reaumuri が巣穴を掘る動画



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2016年8月 7日 (日)

ダンゴムシの交尾、フナムシの交尾

以前のページで、ダンゴムシの生殖器について書いた。



ダンゴムシのオスの生殖器は1本のペニスである。

しかし交尾には、2本の第1腹肢内肢を代わりに使う。

先端をメスの生殖孔に挿入するので、先端は膨らんでいたり、小さい棘がついていたりすることが多い。



メスの交尾器はこちら。

ダンゴムシの生殖脱皮、生理周期、求愛: だんだんダンゴムシ

ダンゴムシのメスの交尾器: だんだんダンゴムシ(電子顕微鏡写真のリンクあり)



※私もきちんとわかっているわけではなく、どうも以下の話には間違っている部分があるようなので、後でちゃんと調べます。

話半分で読んで下さい。




オカダンゴムシの交尾

以下のURLを参考に書いた。
http://animaldiversity.org/accounts/Armadillidium_vulgare/


前のページのとおり、メスの生殖脱皮のときに排卵が起きるため、生殖脱皮のときに交尾する。

この脱皮(排卵)頻度は、年1~3回である。

その交尾期間が来る数日前のメスに、オスは抱きつく。(メスの匂いが変わるらしい)

メスの脱皮が来るまで?、オスはメスを抱き続ける。

2
メス(下)に抱きつくオス(上)。これは交尾でも求愛でもない。


交尾の時間は短く、数秒で終わる。?
Imgp1107
ちょうど交尾の本番の写真

動画はこちら

終わると、メスは反応しなくなり、次の生殖脱皮まで交尾しない。

一方、オスは常に交尾でき、死ぬまでに複数のメスと交尾することができる。

メスは貯精嚢があり、オスの精子を保存できるが、交尾期間のたびに交尾することもできる。この場合、複数のオスの精子が貯精嚢の中に溜められる。




コシビロダンゴムシの交尾

コシビロダンゴムシの一種 Venezillo evergladensis の交尾行動を簡単に紹介する。

(Johnson, Clifford. "Mating behavior of the terrestrial isopod, Venezillo evergladensis (Oniscoidea, Armadillidae)." American Midland Naturalist (1985): 216-224.)

翻訳のミスがあるかも。



通常のダンゴムシは生殖脱皮のときに交尾する。

しかし、このダンゴムシは例外的に、関係なく交尾する。



1. オスは触角でメスの匂いを嗅ぐと、激しく動き回る。メスを見つけると触角でメスの頭をつつき始める。メスは動きを止める。丸くなることもある。

2. オスは数十秒も頭をつつき続ける。

3. つつき終わると、メスの上に乗っかる。このとき、メスと90°体がずれる。約1分続く。

4. オスはその後、メスの横側に移動し、上半身を脚でつかむ。

5. メスが前進し、オスの腹肢の上に生殖孔を持っていく。

32
白:オス、灰色:メス

左から、3→4→5である。


6. オスは第1腹肢、第2腹肢を挿入する。左右の順番は特にない。

Ws000401
上:メス、下:オス、赤:オスの第1腹肢内肢

寝かせてある2本の第1腹肢内肢を立てると思われる。

左右両方の腹肢を合わせて挿入する。

挿入時間は、約45秒である。


8. 再び、2から始める。

9  オスは移動して、反対側のメスの生殖孔に第1腹肢内肢を挿入する。

10. 交尾直後のメスは、オスの交尾行動を誘発させないが、少し経つとオスの交尾行動を引き起こし、交尾するようになる。



処女メスは9割以上の確率でオスに交尾行動を誘発させるが、交尾済みメスは4割以下となる。

交尾済みメスも6割方、オスのアプローチを拒否する。




フナムシの交尾

フナムシのメスも、交尾期(生殖脱皮)が周期的にやってくる。

以下、インドのアンダマン・ニコバル諸島に生息する、フナムシの仲間  Ligia dentipes を紹介する。

Santhanakumar, J., et al. "Mate guarding behaviour in the supralittoral isopod, Ligia dentipes (Oniscidea) from the Andaman and Nicobar Islands." Invertebrate Reproduction & Development 58.2 (2014): 128-137.



Ligia dentipes では、生殖脱皮の後ろ半分と前半分を行う間の30分間のみ交尾が可能となる。

生殖脱皮の周期は、約40日である。



交尾前

1. オスは、成熟している非妊娠メスを待ち伏せし、見つけると上に乗っかり、第1胸脚をメスの甲羅に引っ掛け、 mate guarding を始める。

2. しばらくメスは抵抗する。オスのサイズや体力を確かめるためである。つまりメスより軟弱なオスは交尾できない。

3. 半日~数日に及ぶ配偶者防衛(mate guarding)をして、メスの脱皮を待つ。

この間、他のオスからメスを守る。ときには、力の強い別のオスに奪われることがある。

Photo
キタフナムシの配偶者防衛?

オスの第1胸脚が、メスの頭部と第1胸節の間に引っ掛っている。



交尾

4. メスが後ろ半分の生殖脱皮(reproductive molting)をする。

これにより、左右それぞれの第5胸脚のつけ根にある(体の腹側の左端と右端に位置する)メスの生殖孔が開き、交尾が開始される。

5. オスは第1~第4胸脚でメスの頭を掴みつつ、第5~第7胸脚でメスの体を持ち上げる。

6. オスはメスの体を斜めに配置し、自分の体の後ろ半分を曲げ、メスの腹側に交尾器(第2腹肢内肢)を持っていき、メスの生殖孔に挿入する。

左が終わったら、メスの体を移動させ、右の生殖孔に挿入する。

Pho2
上の論文をもとに作成。

白抜き:オス、灰色:メス

左から、配偶者防衛行動中、メスの左の生殖孔にオスの交尾器を挿入、右側に挿入。



交尾行動はリズミカルに行われる。

交尾時間は7~12分である。



交尾後

7. 交尾が終了すると、オスはすぐにメスから離れる。

8. フナムシは乱交型であるため、オスは直ちに新たなメスを探し始める。実験では、1ヶ月最大7匹のメスと交尾した。

メスも、別のオスのアプローチを受け入れ続ける。実験では、最大6匹のオスと再交尾した。(ただし、自然界での複数回交尾の観察例はない。)

しばらくすると、メスはオスを受け入れなくなる。後ろ半分の生殖脱皮の後、6~12時間で、前半分の生殖脱皮が起き、抱卵する。

抱卵から2~3週間後、子どもが孵り、育房から出てくる。

9. 孵化後、前のページで書いたように、メスは特殊な脱皮、単相性脱皮を一回行う。




海産ワラジムシ目コツブムシ亜目のツノオウミセミ Paracerceis sculpta の交尾

Shuster, Stephen M. "Female sexual receptivity associated with molting and differences in copulatory behavior among the three male morphs in Paracerceis sculpta (Crustacea: Isopoda)." The Biological Bulletin 177.3 (1989): 331-337.

この種も生殖脱皮を後ろ半分した段階で交尾する。



αタイプの交尾の姿勢
Ws000400論文から
白:オス、黒:メス

交尾時間は3~10分、そのうち挿入時間は30秒~数分程度である。



詳しい交尾の流れについてはオスに3種類の形態があるツノオウミセミ: だんだんダンゴムシを参照してください。

 

 

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ダンゴムシの生殖脱皮、生理周期、求愛

交尾と脱皮

ダンゴムシの仲間(海にいる種類も含めて)は、メスが脱皮するときに交尾する。

このときの脱皮は、生殖脱皮(parturial molt)と呼ばれ、メスの体を子育てモードに切り替える役割がある。

※体を大きくするための脱皮は、成長脱皮(growth molt)と呼ばれる。

つまり、成体のメスは常に交尾ができるわけではない。



脱皮は、一ヶ月~数ヶ月おきに周期的にしか起こらない。(ダンゴムシの種類や栄養状態によって周期は異なる。)

冬など栄養状態が悪い時期は止まる。

よって、オスは脱皮直前のメスを探すために必死になる。




脱皮と排卵

生殖脱皮と同調して、卵巣からの排卵が起きる。

つまり、ダンゴムシは排卵も周期的である。

生殖脱皮の直前に交尾するのは、このためである。



オスは、メスに脱皮が起きそうかどうかを匂いで知ることができる。

メスは脱皮の数日前から、体臭(おそらく甲羅の表面に分泌されているの炭化水素の成分構成)が変化し、オスはそれを触角で感知して、メスを捕まえていると、昔から考えられている。

メスが交尾できる間(後述)は短いので、オスは事前にメスを捕まえ、脱皮をじっと待つのである。



個人的に、オカダンゴムシを観察して、匂い成分の炭化水素は不揮発性で、触角で甲羅に触らないと感知できないのだと思った。

しかし、コシビロダンゴムシの論文(次のページ)では、揮発した匂いにオスが反応するみたいに書いてあった。



1
メスの体のイメージ

黄色:卵巣(体内)、オレンジ:生殖孔(腹側に開く)、直線:胸節の境、点線:育房(腹側)



第5胸節(※)の腹側にある左右の生殖孔から精子が中に入り、卵と受精したり、貯精嚢(受精嚢?)に移動したりする。

生殖孔は、脱皮によって生じ、しばらくすると閉じる。この生じてから閉じる時間(数時間?)は交尾が可能となる。

閉じてから、再び脱皮が起きるまで数ヶ月あるので、オスは大変である。

※甲殻類はふつう第6胸節にある。ダンゴムシやヨコエビは本来の第1胸節が頭部と融合しているため、第5胸節にあるように見えている。



メスの生殖孔の写真はこちら

ダンゴムシのメスの交尾器: だんだんダンゴムシ



未受精卵は、左右の卵巣から出て受精し、腹側にある育房と呼ばれる袋の中に移動する。

生殖孔と育房も、脱皮によって形成される。

つまり脱皮によって、交尾と妊娠が可能な体に一時的に変化するのである。

育房内で卵は成長し、孵化すると幼生が一斉に外に出てくる。



排卵しても受精しなかった場合、未受精卵は再吸収される。



(図については、

Suzuki, Sachiko. "Reconstruction of the female genitalia at molting in the isopod crustacean, Armadillidium vulgare (Latreille, 1804)." Crustacean research 31 (2002): 18-27. と Appel, Carina, Aline F. Quadros, and Paula B. Araujo. "Marsupial extension in terrestrial isopods (Crustacea, Isopoda, Oniscidea)." Nauplius 19.2 (2011): 123-128.

を参考にした)




(この内容に関する論文はいろいろ出ていますが、どれもとても難しい内容でした。このページと次のページの内容が絶対に正しいことを保証できないです。また、実際はもっと研究が進んでいます。)




オカダンゴムシの求愛…じゃなくて

ダンゴムシが以下の行動をしているシーンをよく見かける。

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下:メス、上:オス

これは交尾ではない。

交尾ができる時期のメスに、オスが抱きついているところである。



求愛と書いたが、正確には、脱皮待ちと、他のオスからの防衛をする配偶者防衛である

(どうもそうではないかもしれない)

メスの争奪戦は激しいので事前に準備している。



次のページで、交尾の流れを紹介する。

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2016年8月 4日 (木)

フナムシ、エビヤドリムシの特殊な脱皮(単相性脱皮)

ダンゴムシの仲間(ワラジムシ目)は、二相性脱皮(biphasic molting)を行う。

後ろ半分を脱皮し、その後、前半分を脱皮して、全身の脱皮を終了させる。

(多くの脱皮動物は一度に全身の殻を脱ぐ)



甲殻類の中で、二相性脱皮を行うのはワラジムシ目のみである。

近縁なヨコエビやタナイスはしない。

この脱皮方法は、ダンゴムシたちの代表的な特徴であると言える。



ただし、ワラジムシ目の中でも二相性脱皮をしない仲間がいる。

南極地域にいるトガリヘラムシの一種Glyptonotus acutus は、一度に全部の殻を脱ぐ、単相性脱皮(monophasic molting)をする。

と書いた。

ダンゴムシの仲間は2回に分けて脱皮する。

他にもいた。



フナムシの脱皮

フナムシも普通、二相性の脱皮をする。

フナムシの一種 Ligia dentipes も、通常は二相性脱皮をする。

(Santhanakumar, J., et al."Mate guarding behaviour in the supralittoral isopod, Ligia dentipes (Oniscidea) from the Andaman and Nicobar Islands." Invertebrate Reproduction & Development 58.2 (2014): 128-137.)



このフナムシのメスの、子どもを育房から孵して数日後に行う脱皮は、単相性脱皮であることが確認された。

脱皮殻は以下のリンクから見られます。

https://www.researchgate.net/figure/a-Dorsal-view-of-female-complete-moult-and-b-Ventral-view-of-female-complete-moult_fig4_263602938

腹側から脱出している。




エビヤドリムシ科の一種の脱皮

エビヤドリムシの Probopyrus pandalicola の幼生時期は、単相性脱皮を行うことがわかっている。

(Anderson, Gary, and William E. Dale. "Probopyrus pandalicola (Packard)(Isopoda, Epicaridea):morphology and development of larvae in culture." Crustaceana 41.2 (1981): 143-161.)



このエビヤドリムシは、幼生期にカイアシ亜綱を中間宿主として利用し、成体はグラスシュリンプと呼ばれるエビに寄生する。

幼生期は、複数のステージがあり、単相性脱皮をする。






二相性脱皮はワラジムシ目だけの形質であり、祖先は単相性脱皮。

ワラジムシ目の単相性脱皮がもっと見つかれば、進化の理由の予想が立てられるかもしれない。

エビヤドリムシ科の論文では、幼生は宿主体内に寄生して動かなくて済むから、運動性が極端に落ちる欠点がある単相性脱皮を幼生のみ行っていると書いていた。

トガリヘラムシは、南極という特殊な環境が単相性脱皮を生じさせたと書いている。

フナムシの論文は、特に記述がない。

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