カテゴリー「海のダンゴムシ:ミズムシ」の8件の記事

2016年12月24日 (土)

ダンゴムシの触角は2本ではなく4本。第一触角・第二触角

第2触角

ダンゴムシの頭には2本の触角がみえる。

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オカダンゴムシ



この2本の触角は第2触角と呼ばれている。
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第1触角

よく見ると、第2触角の他に小さい触角がある。これが第1触角である。

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頭の拡大


第2触角の根本を見ると…
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第1触角がある



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第1触角の拡大

(気泡がついてしまった…)



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第1触角のスケッチ

ダンゴムシの第1触角は3節で、一番先端の節からは aesthetasc と呼ばれる特殊な毛がたくさん生えている。

第1触角が3節(鞭節1節+柄節2節)なのは、ダンゴムシ、ワラジムシ、フナムシに共通する。

この3つが1つの種から進化した証拠の一つだとされている。

(第1触角の他に27ヶ所ほど共通点がある。)



Taiti, S., & Rossano,C. (2015). Terrestrial isopods from the Oued Laou basin, north-eastern Morocco (Crustacea: Oniscidea), with descriptions of two new genera and seven new species. Journal of Natural History, 49(33-34), 2067-2138.

ここにEluma praticola の第1触角のスケッチがある。

エルマ属はオカダンゴムシ科のダンゴムシ。



http://lanwebs.lander.edu/faculty/rsfox/invertebrates/armadillidium.html

ここにもオカダンゴムシの体の構造について詳しく書いてある。



ダンゴムシジャパンさんも書いているが、

第1触角は、周囲の化学物質を感知して仲間や天敵の有無を調べる嗅覚、

第2触角は、物理的な接触を感知する触覚を司ると言われる。



ダンゴムシでは、第2触角が第1触角の役割も担っているのかもしれない。

でも毛が生えているから機能は残っているのかも。




ミズムシ、コツブムシの触角

他のワラジムシ目(等脚類)も触角は4本。


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ミズムシ


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コツブムシ



オオグソクムシ

オオグソクムシの付属肢(前編)



淡水や海水にいる種類は触角が4本とも目立つ

陸にいるダンゴムシやワラジムシだけ第1触角が退化している。




触角当てクイズ

下の図は、いろんなワラジムシ目の第1触角のスケッチです。

A~V、どれが何という種類でしょう?

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Brusca, R. C., & Wilson, G. D. (1991). A phylogenetic analysis of the Isopoda with some classificatory recommendations. Memoirs of the Queensland Museum, 31, 143-204.



答えは次のページ

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2016年9月10日 (土)

千葉中央博の深海生物展でダイオウグソクムシの標本を見た

千葉中央博物館で「驚異の深海生物」をやっている。もうすぐ終わる。



オオグソクムシ属(Bathynomus

展示室の入口にオオグソクムシ属3種の標本が飾られている。

コウテイグソクムシB. sp. 、オオグソクムシB. doederleinii、ダイオウグソクムシB. giganteus

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オオグソクムシ属の化石種

絶滅したオオグソクムシ属の一種コミナトダイオウグソクムシ(Bathynomus kominatoensis)のポスターが張ってあった。

鴨川市(天津小湊)の800万年前の地層から発掘して、新種ということが判明したらしい。



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左:コミナトダイオウグソクムシのパラタイプ標本、右:ホロタイプ標本

どちらも後ろ半分の脱皮殻である。

後ろ半分の脱皮殻のみが出てくるらしい。



コミナトダイオウグソクムシは、すでに絶滅していると思われる。

日本近海でこのサイズのオオグソクムシ属は分布していない。




オナシグソクムシ属の一種 Anuropus sp.

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オナシグソクムシの説明は以下。

グソクムシ科、スナホリムシ科、スナホリムシダマシ科、ウオノエ科、ニセウオノエ科: だんだんダンゴムシ




ムンノプシス科の一種 Rectisura herculea

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>千島海溝~日本海溝の水深6945~7703mに生息する。餌をしかけたワナに誘引されることが報告されている。

Locomotory activity and feeding strategy of the hadal munnopsid isopod Rectisura cf. herculea (Crustacea: Asellota) in the Japan Trench



南極で見つかった同属の新種の論文

Rectisura menziesi sp. nov. -  a new deep-sea  isopod from the Weddell  Sea, Southern Ocean (Asellota: Munnopsididae:  Storthyngurinae)




ムンナ属 Munna の一種

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深海のグソクムシ、ミズムシは、生態がほとんど何もわかっていない。

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2014年7月 9日 (水)

クジラの死体にいる海のダンゴムシのなかま

ダイオウグソクムシは深海にいる。

いろんなダンゴムシが深海にすんでいる。

ダンゴムシの仲間は飢えに強く、貧栄養なところでもいる。



赤道の深海のマンガン団塊地帯で、493匹130種のダンゴムシの仲間をみつけたと聞いたことがある。

「深海は、赤道に近いほど生き物は減る」ときいたことがあるが、ダンゴムシはなんのその?




深海の生物の論文

Ramirez-Llodra, E. Z., Brandt, A., Danovaro, R., De Mol, B., Escobar, E., German, C. R., ... & Narayanaswamy, B. E. (2010). Deep, diverse and definitely different: unique attributes of the world's largest ecosystem. Biogeosciences, (9).

ダンゴムシの仲間は、南半球では大陸棚より深海に多い、ふつう深海にいくほど体が小さくなり繁殖に投資するがダンゴムシは例外的。



ムンナ科(Munnidae)のミズムシ
Ws000143(論文より)
オスは鎌をもっている




深海ではときどきクジラの死体が落ちてくる。

その死体を核にできる生き物の群れを「鯨骨生物群集」という。



クジラの死体を食べるダンゴムシの新種

Natural History Museum (London)のホームページに、深海のクジラの死体からみつけた生き物のページがあった。

ワラジムシ目の新種をみつけたとある。
http://www.nhm.ac.uk/about-us/news/2013/march/first-whale-bone-habitat-spotted-on-antarctic-seabed118667.html



真っ白なワラジムシにみえる。おそらくミズムシ亜目(Asellota)。
Ws000134サイトより



クジラの生息数などを考えて、鯨骨はアメリカ沿岸で、5~15kmに1つほどあるとされる。

エサをもとめてそんなに移動できるのかな




鯨骨特異的なミズムシについての論文

Shallow-Water Northern Hemisphere Jaera (Crustacea, Isopoda, Janiridae) Found on Whale Bones in the Southern Ocean Deep Sea: Ecology and Description of Jaera tyleri sp. nov

クジラの死体にいるダンゴムシの仲間であるミズムシの新種である。



海底にクジラがしずむと、いくつかのステージにしたがって遷移していき、生物群集も変わる。

1.mobile-scavenger stage
2.enrichment opportunist stage
3.sulphophilic (“or sulphur-loving”) stage

(くわしくはwikipedia「鯨骨生物群集」をみてください。)

深海1400mに水中ロボット(ROV)をおくり、骨を回収している。



骨にくっついていたミズムシの一種(Jaera tyleri)を発見。
Ws000144論文より
目がない。

飼育も試したようだ。



北九州市立いのちのたび博物館でも深海のダンゴムシを調べているらしい。

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キクイムシに共生するミズムシ、木に穴を掘るダンゴムシのなかま

「ウオノエ」とよばれる寄生虫は、ダンゴムシの仲間である。

魚の体に口を刺し、体液を吸っている。

寄生でなく片利共生するダンゴムシの仲間もいる。




キクイムシ
(ダンゴムシの仲間)

海にいくと、穴だらけの木材がある。

フナクイムシという貝の喰い跡である。

キクイムシも、いるときがある。

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キクイムシ




キクイムシと共生するミズムシ

キクイムシが食べた木に、ミズムシのCaecijaeraが住むことがある。

このミズムシはキクイムシが掘った穴のかべにつく、子嚢菌や担子菌を食べているらしい。

この菌類は海水中の木材をたべている。

キクイムシがつくことで、菌の増殖が促進されるといわれる。



キクイムシは、木材にさまざまな菌を繁殖させているようだ。

Thiel, Martin. "Reproductive biology of Limnoria chilensis: another boring peracarid species with extended parental care." Journal of Natural History 37.14 (2003): 1713-1726.




木に穴を掘る海のダンゴムシ

キクイムシ亜目とコツブムシ亜目は木に穴を掘る。


キクイムシは、熱帯から北極ちかくまでいる。海水から汽水域にいる。木材を食べる。
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とても小さい



コツブムシは、熱帯から温帯までいる。海水から淡水域にいる。木にできた穴にすみ、海水中のプランクトンをこして食べるフィルターフィーダーである。

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木材に穴を開けているコツブムシ

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引っ張りだして撮影した写真






宮城県石巻市北上町橋浦の北上川汽水域の北上大橋付近での調査の記録にコツブムシがいた。

http://www.shiokaze.biodic.go.jp/PDF/h24report/h24_report_06.pdf(リンク切れ)

↑ここのサイトにコツブムシの写真がある。

59ページに「Limnoria属の一種と思われる」と紹介されている写真がある。

これはコツブムシの一種(おそらく Sphaeroma 属)。



Limnoria属(和名キクイムシ属)はキクイムシ亜目の一属である。

勘違いしていると思う。

 

 

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2014年4月30日 (水)

千葉市泉自然公園のミズムシ

千葉市の泉自然公園に行った人からミズムシをもらった。

川の中に何匹もいたらしい


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一般的な淡水性のミズムシ

体長約3cm

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2014年2月 7日 (金)

竹富島のミズムシ、西表島のカミキリモドキ

石垣島から船で竹富島に行った。

港のそばの岩場の潮だまりに握りこぶし大の石があり、石灰藻がいっぱいついていた。

ワラジムシ目のミズムシのようなものがかすかに見えたので、ケースに海水を入れて、この石を中で洗った。

ミズムシが10匹ぐらい出てきた。
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最大2mm。目を凝らさないと発見は難しい。



ミズムシは、淡水域から沿岸や深海まで住む小さいダンゴムシの仲間

例外的に、南硫黄島に陸棲のミズムシがいるとされている。

この写真の種は丸くなれないが、なれる種もある。

種の数はかなり多く、解剖が難しいので、研究は大変そう。



卵を持っているから、これでも大人のようだ。
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左が頭


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ミズムシの尾肢拡大。とげとげ



顕微鏡で見ていると、腹肢をさかんに動かして呼吸していることがよくわかった。

体後ろの半分の正中線上で激しく鼓動している管(心臓)があった。




コツブムシはマングローブの根に潜っているのだろうと思い、

石垣島や西表島では、枯れたマングローブを割りまくった。

しかし、カミキリムシの幼虫ばかり。
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西表島で、立ったまま枯れたマングローブの根を割ったらどれも中にカミキリムシの幼虫がいた。

しょっぱくないのかな?

コツブムシは見つからず。



カミキリムシは枯れたマングローブにいる。

しかし、森の枯れた木を割るとほとんどシロアリがいる。

海水に長時間つけた木材は、塩分により抗蟻性があるので、シロアリが付かないらしい。



一匹だけカミキリムシの幼虫を捕まえて、飼育してみた。

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蛹になり

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約一か月で成虫になった。

マングローブにいたのは、カミキリムシではなく、カミキリモドキであった。

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2013年9月11日 (水)

深海のワラジムシ目。上野科学博物館の深海展、紀伊國屋の新宿本店

上野の科博で深海展を見た。


シンカイウミクワガタ
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シンカイウミクワガタのポストカード買ってしまった。


タイヘイヨウオナシグソクムシ、ウミコロギス、オニナナフシ、ヘラムシ科の一種
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深海から採集された等脚類の標本や写真が並んでいた。

生きた個体や生活史などの説明はなく、物足りない。



(追記)

タイヘイヨウオナシグソクムシ Anuropus pacificus :ウオノエ亜目。ワラジムシ目にしては大きい。採集数は極めて少なく、生態不明。

初記録はカモメのゲロから。



ウミコロギス Vanhoeffenura (=Vanhoeffenella) chelata :ミズムシ亜目ムンノプシス科。太平洋の深海6000mで採集される大型ミズムシ。

最初はVanhoeffenellaとしたが、有孔虫に使われている属名だとわかり、Vanhoeffenuraに変更された。

Malyutina, M. V. (2003). Revision of Storthyngura Vanhöffen, 1914 (Crustacea: Isopoda: Munnopsididae) with descriptions of three new genera and four new species from the deep South Atlantic. Organisms Diversity & Evolution, 3(4), 245-252.



オニナナフシ  Arcturus crassispinis :胸節と腹節全てに棘がある、4cm越えのヘラムシ亜目。写真は学名にスペルミスあり。



ヘラムシ科の一種 Synidotea sp. :ワラジヘラムシ属。





パネル展示

ミズムシ亜目 Asellota ウミミズムシ上科 Janiroidea ムンナ科 Munnidae Munna属
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このウミグモみたいな生物もダンゴムシの仲間。

深海に沈んだ鯨骨のバイオマットを食べ、鎌状の脚はメスを捕まえるために発達していると本にあった。

鯨骨生物群集を構成しているダンゴムシの仲間は他にもいて、鯨骨特異的なJaera tyleri というミズムシも最近見つかっている。




深海にいるワラジムシ目は、浅い海より巨大な種類とそうでない種類がいるようだ。




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ダイオウグソクムシのストラップ

買おうかと思ったけどおしゃれすぎてやめた。




新宿の紀伊國屋書店でダンゴムシのグッズを買った。
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ダンゴムシ手ぬぐい

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2013年1月25日 (金)

ワラジムシ目の亜目の特徴

「海洋と生物」という雑誌にワラジムシ目の特徴と検索表が載っていた。

下村通誉 & 布村昇. 2010. 日本産等脚目甲殻類の分類 (1). 海洋と生物, 32(1), 78-82.

日本にいる7つだけ簡単に書く。



Oniscidea ワラジムシ亜目

ダンゴムシのようにほとんどが陸棲。触角が2本にみえる。

(他の亜目は全て水棲。)



Valvifera    ヘラムシ亜目

尾肢が腹肢を覆う。
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ヘラムシの腹部



Asellota     ミズムシ亜目

針状の尾肢が腹尾節の一番後から出る。第2触角に鱗節状小節がある。

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後端に尾肢があるのがわかる。



Microcerberidea  スナナナフシ

針状の尾肢が体の一番後から出る。ミズムシと違い鱗節状小節がない。体が細長い?



Limnoriidea    キクイムシ亜目

板状の尾肢が腹部の横から出る。尾肢が腹尾節に内側で接する。大顎に臼歯状突起を欠く。腹部の節は癒合していない。
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キクイムシの腹面。尾肢が腹尾節の横から出て、内側にある。




上のグループに当てはまらないものがコツブムシ亜目とウオノエ亜目。

どちらも体形がダンゴムシに似ているものが多い。



Sphaeromatidea    コツブムシ亜目

腹節が癒合することがある。腹尾節に鰓室隆起がある。

イワホリコツブムシ
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鰓室隆起あり



Cymothoida    ウオノエ亜目

鰓室隆起がない。

オオグソクムシ
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隆起なし

 

 

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