カテゴリー「海のダンゴムシ:ヘラムシ」の15件の記事

2022年6月 9日 (木)

ヘラムシは体の色を周りと合わせるらしい

ハマダンゴムシはいろんな色があっておもしろいと常々思っている。

土と生き物というブログに、黒い砂浜に黒いハマダンゴムシがいたというページがあった。

周囲の色で自分の色を変えるのかな?



似たような話は等脚類の保護色の研究はヘラムシで見た。

ヘラムシは赤の色素カンタキサンチンと緑の色素結合タンパク質を持っていて、それぞれの色素の割合によってヘラムシの体の色が赤~茶色~緑になる。

海藻や海草にくっついて、βカロチンなどから色素を合成することで体色を変化させ周囲の海藻に合わせるらしい。

実験でも保護色により食べられにくくなることがわかっている。



そういえばNosilのナナフシの色と生態の話がとてもおもしろかった。





フナムシの腸に寄生するカビ、フナムシヤドリ

海岸にいるフナムシの腸内に寄生するカビの話を読んだ。

陶山 舞, 高木 望, 出川 洋介, 佐藤 大樹, 折原 貴道, 神奈川県におけるフナムシ腸内寄生菌フナムシヤドリ(新称)Asellaria ligiae の生息状況, 神奈川自然誌資料, 2021, 2021 巻, 42 号, p. 53-56

神奈川県のフナムシの後腸から新種の腸内寄生菌フナムシヤドリを見つけている。

Asellaria属は等脚類の腸内から採集される菌らしい。


ハマダンゴムシのHelleria属の腸内に寄生するカビもいるらしい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2020年7月28日 (火)

銚子でヘラムシを捕まえた

銚子の海に行ってきた。

カラフルなヘラムシがいた。
Imgp2731
名前なんだっけ


Imgp2720
スナホリムシ

飼っていたら子供(右上)が生まれた。


Imgp2723
尾肢


Imgp2741
同じ親から生まれた子供なのに色が違う。


シオフキ?
Imgp2708


クーマ?
Imgp2745

Imgp2758
等脚以外はさっぱりわからないがクーマ目だろうか?



wikipediaのクーマ目のページを見たら、等脚目に近いとある。

ちなみにwikipediaのダンゴムシのページは内容が貧弱で体系的でなくミスもある。

クーマ目の方がきちんとしてるってどういうことなの。

興味がない人が最初に見るであろうサイトなので、誰か加筆して欲しい。



ヨコエビのページは充実している。

ただ、書いた人がたぶん堅気じゃないから逆に読みにくい。

専門用語や小難しい単語が多くて、これはこれでどうかと思う。

| | コメント (0)

2019年1月 7日 (月)

エサによって消化酵素を調節するヘラムシ

ヘラムシは海にいるワラジムシ目。

Imgp8137
海草にいたオホーツクヘラムシ?

海藻を食べる種類と動物を食べる種類がある。



海藻を食べるバルチックヘラムシ Idotea balthica


大西洋には、バルチックヘラムシという海藻を食べるヘラムシがいる。

このヘラムシの消化管の酵素をトランスクリプトーム解析した研究があった。

De Wit, P., Yamada, K., Panova, M., André, C., & Johannesson, K. (2018). Diet-dependent gene expression highlights the importance of Cytochrome P450 in detoxification of algal secondary metabolites in a marine isopod. Scientific Reports, 8(1), 16824.



褐藻にはフロロタンニン、アオサにはジメチルスルホニオプロピオナートやアクリン酸などの毒がある。

解毒酵素として知られるチトクロームP450ファミリー2の配列と量を見たら、

ヒバマタよりアオサを食べさせたときで、分泌するチトクロームP450の量が多かったらしい。



木材を食べるキクイムシが持つリグノセルロース分解酵素は全く検出されなかったと書いてある。

陸上のダンゴムシも解毒酵素を持っているのかな?

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年7月23日 (月)

最終氷期の後、海のワラジムシ目の数が急増している

日本の海岸にいる等脚類の遺伝子を調べている研究でヘラムシとキクイムシを調査して、

個体数の変動で似たような結果を出していた。



北海道のヘラムシ


Hiruta, S. F., Ikoma, M., Katoh, T., Kajihara, H., & Dick, M. H. (2017). A matter of persistence: differential Late Pleistocene survival of two rocky-shore idoteid isopod species in northern Japan. Hydrobiologia, 799(1), 151-179.

オホーツクヘラムシ Idotea ochotensis と、イソヘラムシ Cleantiella isopus

北海道と東北の岩場の磯でそれぞれ200匹ぐらい採集している。
Imgp8139
海草に擬態するオホーツクヘラムシ?

Photo
イソヘラムシ?

どっちも海藻をとると付いていることがある。



北海道では、オホーツクヘラムシは13万年ぐらい前から増えていて、イソヘラムシは最終氷期(約2万年)後に数が増えていると推測している。

オホーツクヘラムシは寒い所が好きで、氷河期を乗り越えて増え続け、

イソヘラムシは寒い所が苦手なので、氷河期が終わってから数が増えた、

ということらしい。



太平洋のキクイムシ


Yoshino, H., Yamaji, F., & Ohsawa, T. A. (2018). Genetic structure and dispersal patterns in Limnoria nagatai (Limnoriidae, Isopoda) dwelling in non-buoyant kelps, Eisenia bicyclis and E. arborea, in Japan. PloS one, 13(6), e0198451.

太平洋と日本海のナガタキクイムシ Limnoria nagatai について調べている。

ナガタキクイムシは海藻のアラメにいて100匹ぐらい集めている。
P1010119
キクイムシ

最終氷期の後、太平洋のナガタキクイムシは数が増えていると推測している。




太平洋のイワホリコツブムシ


イワホリコツブムシも似たような結果のようだ。

Kitaura, J., Yoshida, R., & Nunomura, N. (2018). Genetic population structure of Sphaeroma wadai Nunomura, 1994 (Isopoda: Sphaeromatidae) along the Japanese coast. Crustacean Research, 47, 111-123.



浅い海にいると亜目が違っても似た結果になるのはおもしろい。

陸にいる昆虫とかも氷河期が終わってから増えた例はあるらしい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年7月24日 (月)

ヘラムシの亜鋏状の脚

陸のダンゴムシの話が続いたけれど、今回は海の話。
Imgp8114
ヘラムシは海藻によく付いているダンゴムシの仲間。

稀に水族館に展示されている。


ヘラムシ亜目の種を決めるとき、胸脚が亜鋏状かどうかが重要になるらしい。

ウミナナフシの分類でも使う。



subchelate


「亜鋏状」は英語で、subchelate という。

分類で見るよく分からない単語は、Crustacea Glossaryを見るとわかることがある。


Kensley, B., & Schotte, M. (1989). Guide to the marine isopod crustaceans of the Caribbean.

の中には、

SUBCHELATE. Having a subchela, forming a pincerlike structure, especially by the dactylus folding back on the propodus.

ペンチのような構造、指節によって前節の上が折り畳み式になっている。(?。うまい日本語訳がわからない。)

指節と前節の間の関節が動いて、指節が折りたたまれることで、前節を土台にして、物が挟める構造になっていることを指すようだ。



chelate


鋏状 chelate の脚は、同様に、発達した前節と可動性の指節で、折り畳める構造になっている。


subchelate と chelate の違い

鋏状とは、
the propodus and dactylus forming a pincerlike structure wherein the
latter articulates submedially on the former to produce a "moveable and
fixed finger" arrangement. …[Wetzer et al. 1997]
と書いてある。

指節は、前節の内側の関節によってくっつき、”可動指と固定指”の構造をつくる。

カニのはさみのことらしい。



亜鋏状は、
Unlike the case in a true chela, a fixed finger is not developed and the
dactylus bites either against an enlarged edge of the propodus or
against projecting spines … [Warner, 1977]
と書いてある。

fixed fingerがなく、指節は前節の縁と噛み合う。

カマキリの鎌のこと。

Wikipediaのはさみ(動物)に図が載ってた。

ワラジムシ目では、ほとんどが亜鋏状の胸脚であり、鋏状のものはほとんどないそうです。



ヘラムシ亜目の科ごとの胸脚


ヘラムシ科 Idoteidae、ホソヘラムシ科 Holognathidae :第1胸脚のみ亜鋏状

トガリヘラムシ科 Chaetiliidae :第1胸脚または、第1~3、第1~5、第1~6胸脚が亜鋏状

オニナナフシ科 Arcturidae :第1胸脚 gnathopod、第2-4胸脚 elongated、第5-7胸脚 歩行用 (第2-4胸脚は稀にないことがある)

アフリカヘラムシ科 Holidoteidae、カンカイオニナナフシ科 Antarcturidae、ゴウシュウオニナナフシ科 Austrarcturellidae、ツマリオニナナフシ科 Rectarcturidae  :第1胸脚 gnathopod、第2-4胸脚 elongated、第5-7胸脚 歩行用

カワリオニナナフシ科 Xenarcturidae :第1胸脚 gnathopod、第2, 3胸脚 elongated、第4-7胸脚 歩行用

オニナナフシモドキ科 Arcturididae第1胸脚 gnathopod、第2-7胸脚 歩行用

ニセヘラムシ科 Pseudidotheidae :第1胸脚 gnathopod、第4-7胸脚 歩行用


gnathopodの意味がわからない…

他にヘラムシの科レベルの分類で重要なのは、頭部と第1胸節が融合しているかどうかと、第1腹肢の形態の2つらしいです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年5月 8日 (日)

大分県国東半島のワラジムシ

大分県の国東に行ってきた。


Photo
名前のわからないヘラムシ

海藻についていた。頭が赤い。大きい。



Imgp9357
自然が残る海岸林によくいる小型で少し紅が差すワラジムシ

ヒイロワラジムシ(Littorophiloscia nipponensis)だと思う。

千葉県や日本海側にもいる。

調べたら、土壌動物図鑑には茨城県から熊本県までいると書いてあった。






居酒屋「米とサーカス」でオオグソクムシが食べられる

高田馬場の居酒屋「米とサーカス」で、オオグソクムシを食べられるイベントを、5月15日までやっている。

http://news.mynavi.jp/articles/2016/04/21/oogusokumushi/

オオグソクムシの和風チリソースが2000円である。

杞憂だろうけど、こんなに捕って数が減ったりしないかと心配になる。

どのくらいの数がいるのか?など、生活史の調査をしてみたい。



しかも、「駿河湾で捕獲できるオオグソクムシは、主にサクラエビという小型のエビを食している」と書いてある。

これも調べてみたい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年2月13日 (土)

肉食者のエサ取り

川崎ピースケ氏から、ワラジヘラムシ属 Synidotea は肉食で、ヨコエビなどを食べると聞いた。


Imgp8095
ワラジヘラムシの標本


Imgp1410
海藻によくくっついている。

この種は肉食だったのか。



Imgp91102
スナホリムシの一種。ニセスナホリムシだと思ったけど違うような気もする。(やっぱり違うみたいです。)

肉食。

よく泳ぎ回る。

2匹いれたら、共食いして、1匹に。

エサを食べるときの反応がかわいいと、みんな(2人。私を含む。)が絶賛している。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2015年9月25日 (金)

福岡のヘラムシ

福岡県に行ってきた。

宗像市に行って、オカダンゴムシ、フナムシ、ホソワラジムシ、タマワラジムシを見た。



打ちあがった海藻を拾ってヘラムシを採集した。
Imgp8624
ワラジヘラムシ?

ホンダワラについていた。打ちあがったときに逃げ遅れたと思われる。



紅藻と一緒に小さい容器に入れて、飼育中。

ヘラムシはエアー入れなくても、30mLの海水でも、数日経ったが生きている。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2015年7月 5日 (日)

八景島シーパラダイスのミクロモンスター展

神奈川県の八景島シーパラダイスで7月12日までミクロモンスター展をやっている。

ウミクワガタ、ヘラムシなどのワラジムシ目(等脚類、Isopoda)とクーマ目(Cumacea)、ヨコエビ目(Amphipoda)が展示されている。

マニアックすぎる。ダンゴムシ好きとしては行くしかない。




オオグソクムシ(Bathynomus doederleini

コーナーの目立つところにいたのは、オオグソクムシ。全然ミクロじゃない…

Imgp8426
周りにいた人たちの感想

「キモッ」

「あれだろ?でっかいフナムシ」(←違います)

「ダイオウグソクムシだ!」(←違います)



オオグソクムシの学名は
Imgp8428
(誤)Batynomus doederleini

(正)Bathynomus doederleini



Imgp84562
別の場所で赤ちゃんも展示中




ヒラタヤリボヘラムシ
 Symmius planus
Imgp8441
実は見たことなかった。初めて見た。

ヤリボヘラムシはトガリヘラムシ科(Chaetiliidae)に属する。

脚は第1胸脚から、場合によっては第6胸脚まで亜鎌状である。



Imgp8446
周りにいた人たちの感想

子ども「ポケモンかっ」




ウミクワガタ
(Gnatiidae科)
Imgp8444
ウミクワガタ

これも初めて見た。

この仲間は、胸脚が5対である。(ほとんどのダンゴムシの仲間は7対)



Imgp8445
「うわっ、魚に寄生して血を吸うだって。」




Imgp8429

小さい甲殻類のパネルがいっぱい壁に貼ってあった。

…(シーン)

誰も見てない。スナホリムシモドキかわいいのに。





この展示を見て、とても興奮した。大満足。

でもこの展示は一般受けしないと思う。



とりあえず、学芸員が必死になって一般向けな展示にしようとしているのがわかった。

この手のマイナーな生き物は展示が難しいとはいえ(実際おもしろくないが)、やはり広く知ってもらわないといけない。

そうしないと、文学部の二の舞か、「2位じゃダメなんですか?」と言われ、研究が進まなくなるかもしれない。



この論文を思い出した。

Small, E. (2011). The new Noah's Ark: beautiful and useful species only. Part 1. Biodiversity conservation issues and priorities. Biodiversity, 12(4), 232-247.

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2015年4月18日 (土)

銚子の海のダンゴムシ

スナメリを見つけた日に海藻も集めた。

ワカメ、紅藻、海草がいっぱい生えていて、等脚類がくっついていた。


Imgp8100
茶色のヘラムシ


Imgp8098
スナホリムシ

海草の根っこにくっついていた。

砂浜で見られるヒメスナホリムシではないようだ。


Imgp8138

オホーツクヘラムシ

色が緑色で、完全に葉っぱに擬態していた。


Photo
ピンクのコツブムシ

目立つ色で、薄い個体から濃い個体まで多種多彩。

ピンクで、女性ウケとか狙ってるのかな?意味ないぞ( ̄▽ ̄)

| | コメント (0) | トラックバック (0)