オカダンゴムシとコシビロダンゴムシの見分け方
日本のオカダンゴムシ科とコシビロダンゴムシ科の見た目でわかる違いをまとめてみた。
オカダンゴムシは外来種なので人家の近くに、コシビロダンゴムシは在来種で湿った森林や草原に多い。一緒にいることも多い。
コシビロダンゴムシを見つけるにはコツがいるので、詳しい人と探す方がよい。
オカとコシビロは、丸まらない祖先ワラジムシから別々に丸まる性質を獲得したので、見た目が似ているのは収斂進化である。
そのためか、体の構造はよく見ると大きく違う。
注意
オカダンゴムシ科にもコシビロダンゴムシ科にもたくさんの種類があり、以下の項目が全てに必ず当てはまるわけではない。
体の大きさ
コシビロダンゴムシよりオカダンゴムシは体が大きくなる。
体長1cm以上はほぼオカダンゴムシ。
ただし小さいオカダンゴムシや、稀に1cm以上のコシビロダンゴムシもいて正確ではない。
1cm越えの珍しいコシビロダンゴムシ
背板の模様
オカダンゴムシの背中の甲羅は色が派手なことが多い。
コシビロダンゴムシは地味なことが多い。
ただしどっちにも暗い色や明るい色が見られる。
オカダンゴムシのオスは黒い。
タテジマコシビロダンゴムシやネッタイコシビロダンゴムシなどは明るい色をしている。
模様が似ることもあり、慣れないと正確に見分けられないこともある。
腹尾節の形
オカとコシを最も正確かつ判別しやすい部分はおしりの形
オカダンゴムシの腹尾節は扇形、三角形
扇形の腹尾節pltの隣に三角形の尾肢外肢U exが見える。
コシビロダンゴムシの腹尾節はひょうたん型、ビーカー型、まさかり型
ひょうたん型の腹尾節pltの隣に四角形の尾肢原節U prが見える。
オカダンゴムシVSコシビロダンゴムシ: だんだんダンゴムシ
オカダンゴムシとコシビロダンゴムシのおしり。腹尾節: だんだんダンゴムシ
オカダンゴムシとコシビロダンゴムシのおしり。尾肢: だんだんダンゴムシ
外国のオカダンゴムシ科とコシビロダンゴムシ科もほとんどはこれで見分けられる。
ちなみにハマダンゴムシは長方形
偽気管の数
腹部の白い偽気管の数が違う。この違いも正確。
オカダンゴムシは2対4個
コシビロダンゴムシは5対10個
オカダンゴムシとコシビロダンゴムシの腹肢の違い: だんだんダンゴムシ
死ぬとわかりにくくなる。
底板の縁取り
甲羅の縁が違う。
オカダンゴムシはギザギザしている。
コシビロダンゴムシは縁取りが円い。
ここまではわかりやすい。
丸くなったとき触角が見えるか
丸まったとき、オカダンゴムシは触角がちょっとだけ見える。コシビロダンゴムシは見えない。
ダンゴムシのガチャを検証した(前編): だんだんダンゴムシ
頭の前後の長さの比率
頭部と第1胸節の前後方向の長さの比率を比較すると、オカダンゴムシは頭部が前後に長い。
コシビロダンゴムシは頭部が若干扁平で、第1胸節が長い。
ただし種による気もする
胸節の出っ張り
オカダンゴムシは胸節の間にconical processがある。
コシビロダンゴムシはない。
胸節の底節板のlobe
オカダンゴムシはの底節板は一枚である。
コシビロダンゴムシ科の第1胸節と第2胸節の底節板の裏に出っ張りがある。
メモ
コシビロダンゴムシ科の特徴
触角が見えずに丸くなる(二次的に丸くなれなくなった種もいる。)
頭部が縦方向に縮む
腹尾節後端が四角い
第2触角の鞭節が3節
オスの第5腹節に2裂のひだ
腹肢外肢に5対の偽気管
尾肢原節は平ら、中心の縁が凹む。その凹みに小さい外肢がめり込んでいる。
オカダンゴムシ科の特徴
第2触角の鞭節が3節
第1腹肢と第2腹肢の外肢に穴が1つ開くタイプの偽気管
丸くなる
Schmidt, C. (2003). Contribution to the phylogenetic system of the Crinocheta (Crustacea, Isopoda). Part 2.(Oniscoidea to Armadillidiidae). Zoosystematics and Evolution, 79(1), 3-179.
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オカダンゴムシ科はワラジムシ科と形態が似る。しかし遺伝的には遠いかも。
Dimitriou AC, Taiti S, Schmalfuss H, Sfenthourakis S. 2018. A molecular phylogeny of Porcellionidae (Isopoda, Oniscidea) reveals inconsistencies with present taxonomy. ZooKeys, (801), 163.