カテゴリー「コシビロダンゴムシ」の48件の記事

2021年3月 2日 (火)

オカダンゴムシとコシビロダンゴムシの見分け方

日本のオカダンゴムシ科とコシビロダンゴムシ科の見た目でわかる違いをまとめてみた。

オカダンゴムシは外来種なので人家の近くに、コシビロダンゴムシは在来種で湿った森林や草原に多い。一緒にいることも多い。

コシビロダンゴムシを見つけるにはコツがいるので、詳しい人と探す方がよい。


オカとコシビロは、丸まらない祖先ワラジムシから別々に丸まる性質を獲得したので、見た目が似ているのは収斂進化である。

そのためか、体の構造はよく見ると大きく違う。


注意
オカダンゴムシ科にもコシビロダンゴムシ科にもたくさんの種類があり、以下の項目が全てに必ず当てはまるわけではない。



体の大きさ


コシビロダンゴムシよりオカダンゴムシは体が大きくなる。

体長1cm以上はほぼオカダンゴムシ。

ただし小さいオカダンゴムシや、稀に1cm以上のコシビロダンゴムシもいて正確ではない。


1cm越えの珍しいコシビロダンゴムシ
Imgp1189



背板の模様


オカダンゴムシの背中の甲羅は色が派手なことが多い。
Imgp0777


コシビロダンゴムシは地味なことが多い。
Imgp0070


ただしどっちにも暗い色や明るい色が見られる。

オカダンゴムシのオスは黒い。

タテジマコシビロダンゴムシやネッタイコシビロダンゴムシなどは明るい色をしている。

模様が似ることもあり、慣れないと正確に見分けられないこともある。



腹尾節の形


オカとコシを最も正確かつ判別しやすい部分はおしりの形

オカダンゴムシの腹尾節は扇形、三角形
Imgp26122_2
扇形の腹尾節pltの隣に三角形の尾肢外肢U exが見える。

Ws000456


 
コシビロダンゴムシの腹尾節はひょうたん型、ビーカー型、まさかり型
Imgp26492_3
ひょうたん型の腹尾節pltの隣に四角形の尾肢原節U prが見える。
Ws000458

オカダンゴムシVSコシビロダンゴムシ: だんだんダンゴムシ
オカダンゴムシとコシビロダンゴムシのおしり。腹尾節: だんだんダンゴムシ
オカダンゴムシとコシビロダンゴムシのおしり。尾肢: だんだんダンゴムシ


外国のオカダンゴムシ科とコシビロダンゴムシ科もほとんどはこれで見分けられる。


ちなみにハマダンゴムシは長方形
Imgp5397_2



偽気管の数


腹部の白い偽気管の数が違う。この違いも正確。

オカダンゴムシは2対4個
Imgp2615


コシビロダンゴムシは5対10個
Imgp0888


オカダンゴムシとコシビロダンゴムシの腹肢の違い: だんだんダンゴムシ

死ぬとわかりにくくなる。



底板の縁取り


甲羅の縁が違う。

オカダンゴムシはギザギザしている。
Imgp1973  


コシビロダンゴムシは縁取りが円い。
Photo_20201120224901


ここまではわかりやすい。




丸くなったとき触角が見えるか


丸まったとき、オカダンゴムシは触角がちょっとだけ見える。コシビロダンゴムシは見えない。
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ダンゴムシのガチャを検証した(前編): だんだんダンゴムシ



頭の前後の長さの比率


頭部と第1胸節の前後方向の長さの比率を比較すると、オカダンゴムシは頭部が前後に長い。
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コシビロダンゴムシは頭部が若干扁平で、第1胸節が長い。
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ただし種による気もする


胸節の出っ張り


オカダンゴムシは胸節の間にconical processがある。
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コシビロダンゴムシはない。
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胸節の底節板のlobe


オカダンゴムシはの底節板は一枚である。
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コシビロダンゴムシ科の第1胸節と第2胸節の底節板の裏に出っ張りがある。
Imgp29022








メモ

コシビロダンゴムシ科の特徴

触角が見えずに丸くなる(二次的に丸くなれなくなった種もいる。)
頭部が縦方向に縮む
腹尾節後端が四角い
第2触角の鞭節が3節
オスの第5腹節に2裂のひだ
腹肢外肢に5対の偽気管
尾肢原節は平ら、中心の縁が凹む。その凹みに小さい外肢がめり込んでいる。


オカダンゴムシ科の特徴

第2触角の鞭節が3節
第1腹肢と第2腹肢の外肢に穴が1つ開くタイプの偽気管
丸くなる

Schmidt, C. (2003). Contribution to the phylogenetic system of the Crinocheta (Crustacea, Isopoda). Part 2.(Oniscoidea to Armadillidiidae). Zoosystematics and Evolution, 79(1), 3-179.

Schmidt, C. (2008). Phylogeny of the terrestrial Isopoda (Oniscidea): a review. Arthropod Systematics & Phylogeny, 66(2), 191-226.



オカダンゴムシ科はワラジムシ科と形態が似る。しかし遺伝的には遠いかも。

Dimitriou AC, Taiti S, Schmalfuss H, Sfenthourakis S. 2018. A molecular phylogeny of Porcellionidae (Isopoda, Oniscidea) reveals inconsistencies with present taxonomy. ZooKeys, (801), 163.

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2019年9月25日 (水)

ネッタイコシビロダンゴムシのdiagnosis

気になってネッタイコシビロダンゴムシの特徴を調べてみた。

幾つか論文を読んだが説明が長い。



ネッタイコシビロダンゴムシ属Cubarisのdiagnosis

GREEN AJA. 1961. A study of Tasmanian Oniscoidea (Crustacea: Isopoda). Aust. Zool. 9: 258-365.

Frontal line of cephalon forms only a low ridge, neither drawn out into protuberances nor longitudinally furrowed in mid-line. Second antennae slenderly built with their greater part projecting out from cephalon. Dorsal surface of animal smooth, rugose, or tuberculate, but lacking spines. Posterior borders of lstdth segments of pereion more or less deeply incurved on each side, that of 7th segment straight or shallowly incurved on each side. Posterior angle of 1st epimeron entire, not cleft. If a small lobe is present on under surface of 1st epimeron it is not visible from outer side, and does not form a continuation of epimeral border. If a small lobe is present on under surface of 2nd epimeron it does not project beyond epimeral border. Pronotum occupies from one-fifth to one-quarter length of entire tergite. Terminal segment either constricted in the middle or not constricted; its dorsal surface not keeled; its posterior border bluntly rounded, straight or shallowly incurved, but not deeply incised in mid-line. Pleopods occupy considerably more than one-third breadth of pleon. Exopodites of all pleopods possess pseudotracheae. Breadth of protopodite of uropod, if greater than length of protopodite, is not more than 1.25 times the latter. Length of basal surface of protopodite not more than one-third length of entire protopodite. Inner border of protopodite incurved, but not angularly indented near insertion of exopodite. Outer side of protopodite not produced outwards to form a triangular lobe. Exopodite of uropod varies in length, but if very short (less than half breadth of lobe of protopodite), then free lobe of protopodite, measured on its inner border up as far as lateral indentation of terminal segment, is longer than it is broad across the middle. Exopodite inserted on dorsal surface of protopodite and distinctly removed from inner border of latter. Surface of protopodite not raised posterior to exopodite.

意味がわからない単語が多い…



ついでにコシビロダンゴムシ科も調べてみた。

コシビロダンゴムシ科Armadillidaeの標徴

Schmalfuss, H., & Ferrara, F. (1983). Terrestrial Isopods from West Africa: Part 3: Family Armadillidae Verhoeff, 1917. Monitore Zoologico Italiano. Supplemento, 18(1), 111-157.

Flagellum of antenna 2-jointed; normally with five pairs of pseudotracheae (four pairs in Buddelundia), sometimes with Oniscustype respiratory areas or even without respiratory structures (secondary reduction); able to conglobate (except for Australiodillo Verhoeff, 1926); uropod protopodite flattened and situated between sides of telson and epimera of pleon segment 5; uropod exopodite normally not situated terminally on protopodite, very often reduced, in most species not surpassing protopodite, sometimes obsolete; always with two penicils in the inner ramus of maxilla 1; epimera of pereon segment 1 always without sulcus arcuatus; telson often hour-glass-shaped.

The family Armadillidae is well-defined, except perhaps for its separation from the Eubelidae which in some cases is somewhat delicate and not yet satisfactory. Considering the sulcus arcuatus and/or more than two penicils in the maxilla 1 as derived (apomorphic) characters for the Eubelidae s. str. (see FERRARA & ScHMALFUSS, 1976), and the reduced state of the uropod-exopodite as a derived character for the Armadillidae, then the two families can be considered as monophyletic units and thus as « good » systematic categories in a phylogenetic sense. Accepting this argument the only alteration to be made in considering former authors is to move the genus Synarmadillo and allied genera from the Eubelidae to the Armadillidae. As pointed out previously there is really no reason for maintaining this genus in the family Eubelidae.



こっちは短い。

EubelidaeとArmadillidaeの違いは難しいみたい。

>狭義のEubelidaeにはsulcus arcuatusがあり、maxilla 1のpenicilが2つより多いという固有派生形質があり、コシビロダンゴムシ科には尾肢外肢のstateが小さいという固有派生形質があると考えると、2つの科はそれぞれ単系統で、系統学者目線で言えばgoodな系統カテゴリと見なせるかもしれない。この議論を元にすると、先ほどの著者らによって生じた唯一の変更はSynarmadillo属とその近縁属をEubelidaeからコシビロダンゴムシ科へ移すことである。



Schmidt, C. (2008). Phylogeny of the terrestrial Isopoda (Oniscidea): a review. Arthropod Systematics & Phylogeny, 66(2), 191-226.

こっちのレビューは非常に詳しい。

216ページにもsulcus arcuatusと尾肢で見分けると書いてある。

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2019年1月24日 (木)

フチゾリネッタイコシビロダンゴムシ

ダンゴムシのガチャの第3弾の予約が始まっている。

オカダンゴムシとフチゾリネッタイコシビロダンゴムシが出るらしい。



ネッタイコシビロダンゴムシ属

A study of Tasmanian Oniscoidea (Crustacea: Isopoda).によると、

ネッタイコシビロダンゴムシ属の標徴の一つは

>Posterior borders of 1st-6th segments of pereion more or less deeply incurved on each side, that of 7th segment straight or shallowly incurved on each side.

だと書いてある。

ネッタイコシビロダンゴムシ属は甲羅の縁が反ることが特徴らしい。

フチゾリはここからついた名前かな?



日本産土壌動物第2版によると、ネッタイコシビロダンゴムシ属の中で日本の正式な記録ではネッタイコシビロダンゴムシ Cubaris murina だけのようだ。

世界中の熱帯、亜熱帯にいる。日本は沖縄本島、石垣島、西表島にいる。

唐沢重考. (2017). 沖縄島からのネッタイコシビロダンゴムシ (軟甲綱: ワラジムシ目: コシビロダンゴムシ科) の初報告. Fauna Ryukyuana, 37, 3-5.



3つの島にいるネッタイコシビロダンゴムシはDNA配列はほぼ同じで同種だろう。

この論文では、このネッタイコシビロダンゴムシが外来種である可能性を唱えている。

人の近くにいて、3島でDNA配列が同じなのであり得そう。

在来のコシビロダンゴムシを脅かすかもしれない。




イリオモテコシビロダンゴムシの名前の変更

Imgp2257日本産土壌動物第1版

ネッタイコシビロダンゴムシは昔はイリオモテコシビロダンゴムシと言われたらしい。

西表島から新種として報告されたイリオモテコシビロダンゴムシが、実はすでに知られるネッタイコシビロダンゴムシであったと以下に書いてある。

唐沢重考. (2012). Cubaris iriomotensis は, 汎熱帯種 Cubaris murina (Crustacea: Isopoda: Oniscidea) の新参異名. Edaphologia, (91), 21-30.

異名とは、同じ動物につけられてしまった違う学名のこと。



写真を見ると、論文のCubaris murinaと「ダンゴムシの本」のフチゾリネッタイコシビロダンゴムシは色が違う。

「ダンゴムシの本」では日本にはネッタイコシビロダンゴムシが何種かいると書いてある。

ガチャになったフチゾリネッタイコシビロダンゴムシは日本未報告種?




ガチャでネッタイコシビロダンゴムシがどこまで再現できているか。

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2018年9月 3日 (月)

小さいコシビロダンゴムシが卵を持っていた

ダンゴムシのガチャが発売された。売り切れていて買えなかった。

9月中に再出荷されるらしい。



コシビロダンゴムシを捕まえた。

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親の体の幅ぐらいの赤ちゃんが丸まって入っている。

このコシビロダンゴムシはまだ小さい。
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5匹ぐらい抱えていた。





セスジスズメの幼虫
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地面を歩いて、草を食べ回っていた。



スズメガの幼虫の力は強い。

イモムシ・ケムシの護身術

ここによると、襲ってきたオサムシに怪我を負わせるほどらしい。



毛虫の毛、ミノムシの蓑も身を守るためで、このサイトを読み、証明済みであることを知った。

ダンゴムシも毛がある種類がいて、これも護身用かもしれない。

甲羅にとげがあるダンゴムシ: だんだんダンゴムシ

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2017年12月 8日 (金)

夏に産まれたコシビロダンゴムシの子ども達

飼っているコシビロダンゴムシの子どもが少し大きくなった。


石川のコシビロダンゴムシ
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今年の夏に産まれた

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親子?



三重のコシビロダンゴムシ
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今年産まれた

カビの生えた葉っぱを入れたら、すぐ食べた。

コシビロダンゴムシはキノコ好き?



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鹿児島のコシビロダンゴムシは掃除をサボったので、ケースが糞だらけになった。

こっちも子どもが産まれていた。



石川と三重の子どもは飼育下の1世代目、鹿児島の子どもは2世代目。

今年の子どもの数は、石川と三重は10数匹以上、鹿児島は4匹。

もしかしたら鹿児島のダンゴムシは近交弱勢が起きているのかもしれない。






最近、家の近くのコシビロダンゴムシの生息地が住宅地になってしまった。ショック。






最近、ヴィレヴァンがダイオウグソクムシリュックを売り始めた。

高い。買えない…

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2017年10月 2日 (月)

日本在来のダンゴムシは山奥にいる?愛媛のコシビロダンゴムシ

愛媛県のダンゴムシ

愛媛県の山奥の集落のそばのスギ林でコシビロダンゴムシを捕まえた。
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コシビロダンゴムシの一種

コシビロダンゴムシがスギ林にいるのは珍しい。





「コシビロダンゴムシは山奥にいる」という噂

最近ヒアリが話題。

NHKを見てたら、日本に侵入した外来昆虫の話をやってた。

オカダンゴムシは有名な外来生物だと、取り上げられた。



記者が、

「在来種のダンゴムシは山奥にいて、外来種のダンゴムシのほうが身近です。」

と言っていた。



日本在来のダンゴムシとは、おそらくコシビロダンゴムシのこと。

ハマダンゴムシも在来だが海岸にいる。

「コシビロダンゴムシは山奥にいる」は違和感がある。



実際に探せばわかる。山奥にはあまりいない。特に本州。

いたとしても少しだけで、ワラジムシの方が数で圧倒している。

コシビロが数多くいるのは、いわゆる里山あたり。

都市部でもよく探せばいる。



コシビロダンゴムシが山奥にいない理由は、おそらく低温と開発とかだと思う。

コシビロは低温に弱く、スギ林や竹林にも少ない。

ワラジムシは低温やスギ林に強いから、山奥でもいっぱいいる。

日本中の山はスギが植林されているから、コシビロには厳しそう。




「ダンゴムシが一番陸に適応」という噂

もう一つ気になる噂は、

海に住む祖先→フナムシ→ワラジムシ→ダンゴムシと進化したから、ダンゴムシが一番陸に適応しているという話。



出現の順番はたぶん合ってる。

フナムシとハマダンゴムシは海産の種類と形が似ていて、系統関係を調べるとワラジムシがダンゴムシより基部に来るから。

(ただし、陸に上がったときフナムシの形をしていたか、ダンゴムシはワラジムシの形態をしていた種から進化したか?は化石がないのでわからない。)



陸に適応の意味が、乾燥に強いだとすると、変である。

なぜなら、ダンゴムシもワラジムシもフナムシも、種類によって乾燥耐性が違うから。

日本在来種では、コシビロダンゴムシより、ハヤシワラジムシ類の方が乾燥に強い。



世界で一番乾燥に強いのは、砂漠にいるハクタイワラジムシ科の Hemilepistus reaumuri だと思う。

砂漠にもワラジムシがいる: だんだんダンゴムシ



分布の広さも種類によって違う。

どれが一般的な種類かは答えられない。

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2017年5月 2日 (火)

鹿児島のコシビロダンゴムシの赤ちゃんが生まれた

2年前に鹿児島大学の郡元キャンパスでコシビロダンゴムシを捕まえた。

飼い続けている。
Photo
この春も子どもが産まれた。

3匹いた。おそらく1匹のメスから産まれている。


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親と思われる個体。一歳。

鹿児島で捕まえたコシビロダンゴムシがまだ生きてる: だんだんダンゴムシ



鹿児島で捕まえた個体は全て死んでしまっている。
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祖父母のダンゴムシ

鹿児島のダンゴムシ: だんだんダンゴムシ

灰色だが、同じ灰色のトウキョウコシビロダンゴムシとは少し違う模様。










どうでもいい話

フランス人の知り合いがいるが、フランスの大学の授業料はすごく安く、年数万円らしい。

その代わり、研究費もなく、外部からとってくる必要がある。

教育は無料という意識がある?

デンマークの博物館も無料だった。

デンマークの博物館: だんだんダンゴムシ

おもしろくなかった。博物館に関しては、有料でも日本の博物館の方が行く価値がある。

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2017年4月 6日 (木)

オカダンゴムシとコシビロダンゴムシのおしり。尾肢

前のページの続き

オカダンゴムシ、コシビロダンゴムシ、ハマダンゴムシは腹尾節だけでなく、尾肢の形も違う。


尾肢 uropod の構造


尾肢は、尾肢原節 protopod 、尾肢外肢 exopod 、尾肢内肢 endopod に分けられる。

フナムシがわかりやすい。
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体から原節が生え、原節から外肢と内肢が生える。



ハマダンゴムシ科の尾肢


ハマダンゴムシは尾肢が背中から見えず、腹肢を覆う。
3
ハマダンゴムシの腹部と尾肢。

左:背中から見た第3腹節~第5腹節、腹尾節

中:腹側から見た第1腹節~第5腹節、腹尾節、尾肢

右:左の尾肢



オカダンゴムシ科とコシビロダンゴムシ科の尾肢の違い(見えるのは尾肢原節か尾肢外肢か?)


オカダンゴムシとコシビロダンゴムシは尾肢の一部が背中側から見える。

前のページで書いたように腹節と腹尾節の間から見える。

しかし尾肢の見えている節が違う。



オカダンゴムシの尾肢

オカダンゴムシは、第5腹節と腹尾節のすき間から、尾肢外肢が見えている。
Ws000456
数字:腹節、plt:腹尾節、U ex:尾肢外肢

尾肢原節と尾肢内肢は腹節と腹尾節に隠れて見えない。



Ws000465
オカダンゴムシの尾肢を裏から見た構造。U pr:尾肢原節、U en:尾肢内肢

構造的にはフナムシと同じだが、形は全く違う。


詳しくは、

http://lanwebs.lander.edu/faculty/rsfox/invertebrates/armadillidium.html

を見て下さい。オカダンゴムシの外骨格について詳しく書いてある。



コシビロダンゴムシの尾肢

コシビロダンゴムシで見えるのは、原節であり、外肢がその中にある。
Ws000458
内肢は隠れて見えない。


Lillemets, B. I. R. G. I.T. T. A., & Wilson, G. D. (2002). Armadillidae (Crustacea: Isopoda)from Lord Howe Island: new taxa and biogeography. RECORDS-AUSTRALIAN MUSEUM, 54(1), 71-98.

この論文の写真がわかりやすい。Stigmops 属の見た目がヤバい。ヨツコブツノゼミと戦えるレベル。


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コシビロダンゴムシの尾肢の全体

下に向かって毛が生えた節のうち、右が内肢、左が外肢、それ以外が原節。

影の部分は腹尾節で隠れている部分。



コシビロダンゴムシでは、尾肢原節の中に尾肢外肢が埋め込まれているのが大きな特徴となっている。

つまり、第5腹節と腹尾節のすき間を埋めているのが、オカダンゴムシ科は外肢、コシビロダンゴムシ科は原節である。



コシビロダンゴムシをよく見ると、
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原節の中に、とても小さい外肢が埋め込まれている。

日本のコシビロダンゴムシの外肢は目立たないが、海外では飛び出る種類もいる。

外肢の場所も中央部の場合が多いが、正中線より、後端より、外肢が退化して消失しているなどもある。





最近まで私も知らなかった。先生のおかげです。

このブログはもっと易しくするつもりだったが、だんだん専門的になっている。

ある人から「よくわからんけど見てるよ」と言われた。私もよくわかっていないけどね・・・

ダンゴムシの体の構造は複雑すぎて、かなり端折っている。









どうでもいい話

このブログのアクセス数を見ると、自分がおもしろいと思うページが見られてるわけではないことがわかってきた。

丸くなるワラジムシ: だんだんダンゴムシ

ダンゴムシの移動できる距離が長すぎる: だんだんダンゴムシ

おもしろいと思ったが、一か月のアクセス数は5回以下


ダンゴムシやワラジムシがブラックリストに載るかも: だんだんダンゴムシ

つまらないが30以上ある。

Googleで上位になるのが原因らしい。

このページはおもしろいと思って書いた。上位に表示されるといいな。


Googleと関係なく、ときどきアクセス数が跳ね上がることがある。

原因を突き止めるのは至難の業だけど、稀に2チャンネルのまとめサイトのせいらしいことがわかる。

大艦巨砲主義(自分の知ってる雑学を自由に書いていくスレ : 大艦巨砲主義!)や哲学ニュース(ちょっと驚く雑学挙げてけ:哲学ニュースnwk)の作成の直後で、ダンゴムシが外来種だと書いたページのアクセスが増えた。

まとめサイトって影響力すごいみたい。

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2017年4月 5日 (水)

オカダンゴムシとコシビロダンゴムシのおしり。腹尾節

Imgp6980
コシビロダンゴムシの後ろ

ダンゴムシのおしりはきれいな曲線を描いていて、ワラジムシより美しい。



ダンゴムシのおしり


日本のダンゴムシは、オカダンゴムシ科 Armadillidiidae 、コシビロダンゴムシ科 Armadillidae 、ハマダンゴムシ科 Tylidae に分けられる。

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オカダンゴムシ

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コシビロダンゴムシ

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ハマダンゴムシ



ダンゴムシの腹節、腹尾節


ダンゴムシが属するワラジムシ亜目のおしりの節は、第1腹節~第5腹節と腹尾節である。

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黄色:第1腹節~第5腹節
オレンジ:腹尾節
緑:尾肢


一番うしろの節は、腹尾節 pleotelson と呼ばれる。

(ふくびせつ、プレオテルソンと読むのだろうか?)

腹尾節の左右に尾肢がついている。



日本のオカダンゴムシ、コシビロダンゴムシ、ハマダンゴムシのおしりの構造の違い


ダンゴムシの違いとして「腹尾節の形」は有名。

※ほとんどのダンゴムシはこれで区別できる。ただ外国のダンゴムシには当てはまらない種もいるらしい。


オカダンゴムシは、扇型

コシビロダンゴムシは、逆ひょうたん型

ハマダンゴムシは、長方形


Imgp26122_2
オカダンゴムシ

Imgp26492_3
コシビロダンゴムシ

Imgp5397_2
ハマダンゴムシ



他のインターネットサイトは「腹尾節の形が違う」だけで話を終わらせている。

しかし、重要なのは腹尾節だけではない!

ダンゴムシの研究者にとっては「尾肢が違う」も重要なポイントである。



嫌われ者?にも書いてある。

ダンゴムシのプロなので、ここより信頼できる。


そっちに説明を投げてもいいが、

次のページにも簡単に書く。

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2017年3月23日 (木)

ダンゴムシの鰓

ダンゴムシには、昔に海にいた名残と思われる性質が少し見られる。

腹肢に偽気管(白体)と呼ばれる、スポンジ状の板のような呼吸器官がある。

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黒線の白い部分。

体のおしりの方の腹側にある。



陸にいるとき、腹肢をほとんど動かさない。

しかし、水の中ではエビのように動かす。

 


水の中では、パタパタさせた方が呼吸の効率が良いのかもしれない。

と言っても、あまり長い時間は生きられない。



魚の鰓呼吸みたいだったから鰓としたけど、正確には鰓じゃないです…

ダンゴムシに鰓はないです。





フナムシの腹肢

ヒメフナムシも陸上では腹肢を動かさないが、

水に沈めると盛んに動かす。

動かさないときは、ほんの少し温めるとよい。



腹肢を動かす筋肉は、普段使わないはず。

維持しているのはなぜ?

よく水につかるから?









ダンゴムシの祖先は海の中で生きていた。

ワラジムシ目(Isopoda)はデボン紀に、さらにワラジムシ亜目(Oniscidea)は石炭紀に海で誕生したらしい。

甲殻類
┣ヨコエビ目
┣十脚目
┣ワラジムシ目
… ┣ワラジムシ亜目(陸棲)
   ┣コツブムシ亜目(水棲)
   ┣ミズムシ亜目 (水棲)
   …


ほとんどのワラジムシ目は海産であり、最初のワラジムシ亜目も海産だったと考えられている。

ワラジムシ亜目の一部は陸にあがってダンゴムシ、ワラジムシ、フナムシに進化し、

海に残ったワラジムシ亜目は絶滅したと思われる。

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