カテゴリー「在来種のワラジムシ」の15件の記事

2022年3月22日 (火)

ハヤシワラジムシ科3属の見分け方

以前書いた外来ワラジムシの見分け方が人気ページになっている。

ワラジムシ、ホソワラジ、クマワラジ、オビワラジの見分け方: だんだんダンゴムシ

なので今回は在来種のワラジムシで一番よく見るハヤシワラジムシ科の属の見分け方について書いてみた。


ハヤシワラジムシ科は3属が日本にいる。

ハヤシワラジムシ科 Agnaridae Schmidt, 2003
┣ヒナワラジムシ属 Agnara Budde-Lund, 1908
┣オオハヤシワラジムシ属 Lucasioides Kwon, 1993
┣ヒトザトワラジムシ属 Mongoloniscus Verhoeff, 1930



ハヤシワラジムシ科とハクタイワラジムシ科はよく似るが、腹肢の5対の白体の構造に違いがある。

ハヤシワラジムシ科とハクタイワラジムシ科の違い: だんだんダンゴムシ



ハヤシワラジムシ科3科の見分け方(注意:現在の分類に問題あり?)


ヒナワラジムシ属 Agnara

オオハヤシワラジムシ属より体が盛り上がる。胸節の側縁部にgland poreがある。頭部の前方中心は三角だが尖らず円く、側方の眼の前方は出っ張り強かったり弱かったりする。第1胸節の側縁は外側へ張り出さない。胸節のnoduli lateralesは全て側方に位置し、第1胸節から第7胸節にかけて一直線に並ぶ。オスの第1腹肢外肢の先端にへこみがない(浅いへこみがある場合あり)。
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清澄山
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軍荼利山

日本の種は他の属と比べ最大7mm程度と小さいが、外国では1cm程度の種もいる(Agnara taprobanicaなど)。



オオハヤシワラジムシ属 Lucasioides

Kwon 1993によると

他の属より体が平たく、背甲はゴツゴツ。胸節の側縁部にgland poreがない。頭部の前方中心は三角に出っ張り、側方でも眼の前方へ強く突出する出っ張りがある。第1胸節の側縁が外側へ張り出し、例外もあるが後方が曲がりくねる。胸節のnoduli lateralesは第2-4胸節ではより中心側に位置する。オスの第1腹肢外肢の先端に浅いへこみがある。
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愛媛県
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千葉県

1cm程度の大型種から5mm程度の小型種まで見られる。

様々な環境に分布する。



ヒトザトワラジムシ属 Mongoloniscus

オオハヤシワラジムシ属より体が盛り上がり、背甲はゴツゴツ。胸節の側縁部にgland poreがある。頭部の前方中心は三角に出っ張るがLucasioidesほどでなく,側方の眼の前方への出っ張りも弱い。第1胸節の側縁は外側へ張り出さず後方側縁部は円い。胸節のnoduli lateralesは全て側方に位置するが、一直線に並ぶ場合と並ばない場合がある。オスの第1腹肢外肢の先端に深いへこみがある。
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兵庫県
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千葉県





胸脚や第2腹肢内肢に違いがあると書いてある文献もある。

オスの第1腹肢外肢の先端のへこみ具合については難しい。

noduli lateralesの位置についても難しい。


Do Heon, K. (1995). Terrestrial Isopoda (Crustacea) from Cheju Island, Korea. Animal Systematics, Evolution and Diversity, 11(4), 509-538.

Kwon DH. 1993. Terrestrial Isopda (Crustacea), from Korea.  Animal Systematics, Evolution and Diversity, The Korean Society of Systematic Zoology 36, 133-158.

Yamaki A, Ito MT, Kikuchi T. 2009. Reassignment of Lucasioides nebulosus to Agnara (Crustacea: isopoda: oniscidea) and redescription of the species. Species Diversity, 14(3), 207-215.

ここにはMongoloniscus属全種の検索表が載っている↓

Yang, L., & An, J. (2021). A new species of the genus Mongoloniscus Verhoeff, 1930 (Crustacea: Isopoda: Agnaridae) from China. Zootaxa, 5060(2), 265-274.

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2020年9月30日 (水)

ハヤシワラジムシ科とハクタイワラジムシ科の違い

外来種のワラジムシの白体(偽気管)は腹肢に2対ある。

一方で、日本在来のワラジムシは5対ある、もしくは偽気管がない。
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5対ある在来ワラジはハヤシワラジムシ科とハクタイワラジムシ科に分けられる。

ハヤシワラジムシ科とハクタイワラジムシ科は肉眼では区別できない。

顕微鏡で偽気管の構造を見る必要がある。



ハヤシワラジムシ科Agnaridaeの偽気管


ハヤシワラジムシ科は、偽気管が腹肢に5対(AgnaraHemilepistusなど)または3対(Orthometoponなど)あり、枝分かれする偽気管が腹肢の外側の側面の縁で1つの管となって開口する、という特徴で定義づけられている。

Ferrara F, Argano R. 1989. Terrestrial isopods from Sri Lanka, V: trachelipidae and Porcellionidae (Crustacea). Rev Suisse Zool. 96:219–229.

ワラジムシ科Porcellionidaeはこのタイプの偽気管を腹肢に2対持つ科である。

ハヤシワラジムシ科は日本全体から知られている。


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千葉県のハヤシワラジムシ科。ヒナワラジムシ属 Agnara

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第1腹肢外肢

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細かい網目の外側に1つの穴がある。



ハクタイワラジムシ科Trachelipodidaeの偽気管


ハクタイワラジムシ科は、偽気管があまり覆われておらず、スポンジ状の部分が露出していることで区別される。これは原始的な形質と言われる。

日本では沖縄県と東京都の小笠原諸島から知られている。


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沖縄県国頭郡のハクタイワラジムシ科。ミナミハヤシワラジムシ属 Nagurus

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第3腹肢外肢

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スポンジのような網目があるだけ。



ハクタイワラジムシ科とハヤシワラジムシ科の腹肢の違いのイメージ
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わかりにくい









どうでもいい話

ウオノエの研究者が作ったと思われるサイトを見つけた。

ウオノエおるおるhttps://uonoe-oluolu.wixsite.com/index/blankという図鑑。

まだ種数が少ないが、今後増やしていくらしい。



ナラ枯れ

千葉県の鴨川に行ったら夏なのに山の木々が茶色くなっていた。

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緑は生きた木、茶色は今年枯れた木、灰色は去年以前に枯れた木。


ブナ科のナラ枯れで多くのマテバシイが枯死しているらしい。

2、3年前に行ったときはこうではなかった。

ここ数年、マテバシイの純林で大規模に発生しているらしい。


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生きた木は幹から樹液が浸み出ている。


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樹液が出る穴


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見渡す限り全てのマテバシイの根本がフラスと思しき木くずで覆われていて、健全木は発見できなかった。

マテバシイを皆伐して、ブナ科以外の木を植えるしかなさそう。



ナラ枯れの犯人はワラジムシ目でない、昆虫の方のキクイムシ。

これはワラジムシ目のキクイムシ。
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2018年8月 7日 (火)

神戸の街中のダンゴムシ2種、ワラジムシ5種

神戸で植え込みや崖でダンゴムシを探した。


ハナダカダンゴムシ Armadillidium nasatum
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ハナダカダンゴムシ(下)

オカダンゴムシ Armadillidium vulgare (上)


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鼻が高い


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腹尾節の形で、オカダンゴムシと区別できる。


街中だったので、コシビロダンゴムシは発見できず。



ワラジムシの外来種3種

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クマワラジムシ Porcellio laevis


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ナガワラジムシ Haplophthalmus danicus


ホソワラジムシ Porcellionides pruinosus もいた。



在来種2種

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ハヤシワラジムシ科ハクタイワラジムシ科


Mongoloniscus 属?Lucasioides
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上のワラジムシと同じ?違う



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モリワラジムシの一種

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2018年3月15日 (木)

日本産ハヤシワラジムシ科(トウヨウワラジムシ科)の形態

日本在来のワラジムシのうち、ハヤシワラジムシ科(昔のトウヨウワラジムシ科) Agnaridae (Trachelipidae) のワラジムシが一番よく見られる。

種類が多くて、分類も混乱している。

日本産土壌動物図鑑をもとに、チェックしておくべきポイントを書いた。

(このページを読んでも属、種名を特定できないです。日本のワラジムシ限定かもしれないです。)


ハヤシワラジムシ科と他のワラジムシの見分け方は以下

ハヤシワラジムシ科とハクタイワラジムシ科の違い: だんだんダンゴムシ


ハヤシワラジムシ科の属への落とし方

ハヤシワラジムシ科3属の見分け方: だんだんダンゴムシ


まず、5対の白体(偽気管)があることを確認。

腹節に白い部分があることがある。ハヤシワラジムシ科は全ての種が左右5対ある。

5対(矢印)
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ハヤシワラジムシ科

ハクタイワラジムシ科も5対だが、顕微鏡で見ると偽気管が覆われない。

他のワラジムシは、0対か2対。


0対
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ナガワラジムシ


2対(矢印)
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外来ワラジムシ



noduli lateralesの位置

ダンゴムシ、ワラジムシ類は甲羅表面に、際立って太い毛 noduli laterales が生えている。

これの位置が重要。属、種によって位置が違うことがある。


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このワラジムシの毛は、全胸節で縁近くに生えていて、第5胸節以降は後ろよりになっている。


例外があるが、第2~4胸節の毛が全て縁近くに生えるとヒトザトワラジムシ属かヒナワラジムシ属、縁から離れるとオオハヤシワラジムシ属



第2触角

第2触角の先端に2つの節の長さの差が、種によって違うことがある。

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長さにあまり差がない。

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先端の節が、根元の節の2.5倍以上の長さ。



ただし、成長によって変化することがあるワラジムシもいる。

田中隆太郎, & 唐沢重考. (2016). 成長にともなう Mongoloniscus koreanus の分類表徴となる形質の変異, ならびに, 分類学的知見. Edaphologia, 98, 11-19.



腹尾節の形

一番後ろの節の形。

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ほぼ三角形。後端が尖る。


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後端が円い?



頭の形

一番前の節の前縁、目の前方の突出具合

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前縁が角張る。目の前方の突出が弱い

前縁が円い種、目の前方の突出が強い種もある。




オスの腹肢

オスの腹肢は分類上、非常に重要。

オスの第1腹肢の先端のへこみ具合や第2腹肢内肢の形状をみる。


このほかに、甲羅の色、胸節の縁の形などを見る。

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2017年3月 8日 (水)

荒川周辺のワラジムシ、ヒメフナムシ

フナムシの仲間のヒメフナムシは森林にいる。

東京23区は住宅地が広がりヒメフナムシは大体いない。


ただ、インターネットに荒川周辺にいると書いてあった。

東京23区内の虫 2 ニホンヒメフナムシ

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探してみたらヒメフナムシがいた。


在来のワラジムシMongoloniscus
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一緒にいた。ヒメフナムシより乾燥や捕食者に強いからか広くいる。

不思議とオカダンゴムシがいない。

23区には在来種のワラジムシが見られるが、この種類はあんまり見ない気がする。



カメノコハムシ
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ジンガサハムシを見つけた。

この河原はいろんな昆虫がいた。

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2017年1月 6日 (金)

浜名湖のダンゴムシ、フナムシ

静岡県の浜名湖に行った。
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看板が立っていた。

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ナウマンゾウ発掘の地



オカダンゴムシ
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コシビロダンゴムシ
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フナムシ
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浜名湖は塩分が少ないのにいる。

昔は淡水湖だったから、最近に来たのかもしれない。



ヒメフナムシ
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モリワラジムシと一緒にいた。



モリワラジムシ
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溝付きレール

常滑で見た窯に、溝付きレールが再利用されていた。

溝があるこの特殊なレールは、路面電車の特に人が通る場所で使われる。

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「PHOENIX R 1910」

ドイツのPhoenix Rheinrohr社製で、1910年に製造したもの。



この時代の日本は、まだ技術的に鉄製品が作れなかったのかもしれない。

八幡製鐵所が操業を始めたばかりの頃。

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2016年12月 3日 (土)

ダンゴムシの移動する距離が長すぎる

日本にはモリワラジムシと呼ばれるワラジムシがいる。
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モリワラジムシの仲間



トゲモリワラジムシ属の研究


日本で見られる以下のトゲモリワラジムシが、実は Burmoniscus kathmandius (※)という種であった。

アオキモリワラジムシ Burmoniscus aokiiオガサワラモリワラジムシ Burmoniscus boninensis、ダイトウモリワラジムシ Burmoniscus daitoensis、ハチジョウモリワラジムシ Burmoniscus hachijoensis、ヤマトモリワラジムシ Burmoniscus japonicus、カゴシマモリワラジムシ Burmoniscus kagoshimaensis、ムロトモリワラジムシ Burmoniscus murotoensis、オキナワモリワラジムシ Burmoniscus okinawaensis、シバタモリワラジムシ Burmoniscus shibatai、タナベモリワラジムシ Burmoniscus tanabensis、ワタナベモリワラジムシ Burmoniscus watanabei

詳しくは土と生き物、もしくはZookeysの論文を読んでください。

Burmoniscus kathmandius の和名が、このサイトではアジアモリワラジムシとなっている。


さらに、 Burmoniscus kathmandius は日本全国でほとんど同じ遺伝子配列であることことも報告している。

海洋島の八丈島、小笠原ですら本州と遺伝子が同じ。


文章にすると単純な内容になってしまうが、これを証明するのはとても大変だったと思う。




ダンゴムシの歩ける距離が短すぎる。: だんだんダンゴムシ

ダンゴムシたちは移動能力が高くないはず。

しかし、本当に移動できないとしたら、遺伝子は突然変異が蓄積して、場所ごとに少しずつ違う配列になる。

同じということは、このワラジムシはごく最近に移動したことになる。

オカダンゴムシのように人間が移動させた?


人が持ち込んだ可能性もあるが、自然に起きるとしたら3つあるとされる。




長距離の移動手段


1.台風で飛ばされる

小さい子どもが一匹単位なら飛ぶかもしれないが、終着地にコロニーを築くのは厳しいかも。

運が良ければいける?



2.海面を漂う浮遊物に乗って分散

地面に落ちた木材に、ダンゴムシ達が隠れていることがある。

木材は長い間浮けるし、木材に潜る虫は海洋島にも多いとされる。

大洪水や津波などで流出した、ダンゴムシ付きの植物片が海を漂うのかもしれない。


実際、海面に流出した植物体からの発見例がある。

海を漂うコシビロダンゴムシの発見例: だんだんダンゴムシ



3.渡り鳥にくっつく

くっつき方には2つある。


1.endozoochory:消化管の中を利用する。ダンゴムシは無理

例えば、ハクチョウの糞には、水草 Azolla 属の胞子が高頻度で見られる。

Green, A. J., Jenkins, K.M., Bell, D., Morris, P. J., & Kingsford, R. T. (2008). The potential role of waterbirds in dispersing invertebrates and plants in arid Australia. Freshwater Biology, 53(2), 380-392.


2.ectozoochory:体表にくっついて移動。できそう

水生ヨコエビが、水鳥の羽毛に潜りこんで、数キロは分散している可能性を示す研究がある。

Rachalewski, M., Banha, F., Grabowski, M., & Anastácio, P. M. (2013). Ectozoochory as a possible vector enhancing the spread of an alien amphipod Crangonyx pseudogracilis. Hydrobiologia, 717(1), 109-117.

陸に生きるダンゴムシなら耐えられそう。

渡り鳥の羽に落ち葉が挟まっていることがあるの?





ところで、線虫のCaenorhabditis elegans がダンゴムシやワラジムシを分散に利用しているって本当?

 

 

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2016年10月27日 (木)

ダイオウグソクムシの化石を探した。見つからなかった。

千葉県鴨川市で、コミナトダイオウグソクムシの化石を探した。

発掘場所らしき場所で転がる岩を砕いてみた。

全然見つからない。


二枚貝や巻貝の化石は見つかった。
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房総半島はあちこちで化石がとれる。

貝の化石なら他の場所でも見たことがある。



近くの森でヒメフナムシとモリワラジムシを見つけた。

川沿いでヤマビルがいた。


ヒメフナムシ
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モリワラジムシ
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ナガワラジムシ
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2016年8月10日 (水)

ダンゴムシとワラジムシの違い。「丸くなるか」は関係ない。

Wikipediaの「ダンゴムシ」のページには、いくつかミスがある。

例えば、「ダンゴムシとは、ワラジムシ目(等脚目)の動物のうち、陸生で刺激を受けると丸くなる習性を持つものを指す。」

だいたいは正しいのだが厳密に言えば間違い。


丸くなる性質は、ワラジムシ(別名:ゾウリムシ)の一部にも見られる。

丸くなれるワラジムシを「ダンゴムシ」とは言わない。

日本にいる丸まれるワラジムシ→丸くなるワラジムシ: だんだんダンゴムシ




ダンゴムシとワラジムシの形の見分け方

陸生のワラジムシ目は、日本語ではダンゴムシ、ワラジムシ、フナムシの3つに分けて呼ぶ。

日本産の場合おしりで分けるのが簡単


ダンゴムシのおしり
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おしりから尾肢が飛び出ていない

体の縁がきれいな曲線を描いている

(外国のダンゴムシには尾肢が飛び出るような種類があるようだ。)


ワラジムシのおしり
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尾肢が飛び出ている(オレンジ色の4本)

縁がギザギザ

「キルギス産ダンゴムシ」で検索すると出てくるのはワラジムシ。どうやらScleropactidaeのようで和名がないようである。


フナムシのおしり
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おしりから尾肢が2本飛び出ており、Y字に見える


フナムシは海にいてダンゴムシとワラジムシは山にいる、という違いもあるが、

フナムシにも山にいる種類がある。



ダンゴムシ、ワラジムシ、フナムシの科

・ダンゴムシ

コシビロダンゴムシ科 Armadillidae
Eubelidae
オカダンゴムシ科 Armadillididae
ハマダンゴムシ科 Tylidae


・ワラジムシ

ホンワラジムシ科 Oniscidae
ワラジムシ科 Porcellionidae
クキワラジムシ科 Styloniscidae
ヒメワラジムシ科 Philosciidae
タマワラジムシ科 Alloniscidae

など多数


・フナムシ

フナムシ科 Ligiidae


ダンゴムシと呼ばれるのは4科。

4科とも丸くなれるが遺伝的に近縁でない。

(Eubelidaeとコシビロダンゴムシ科は近い。Eubelidaeの和名はないが丸くなれるので、将来ダンゴムシと呼ばれるようになると予想してダンゴムシに入れた。)


1
つまりこうではない↑

実際はこう↓
2
ダンゴムシはワラジムシの一部

偶然、同じようにダンゴになるという進化をした種類を「~ダンゴムシ」と呼んでいるだけにすぎず、親戚ではない。


和名のないScleropactidaeは何とも言えない形なので入れていない。

Cylisticidaeも丸まれるが和名がない。Cylisticus convexus が丸くなっている画像→https://www.bmig.org.uk/species/cylisticus-convexus

これらはダンゴムシとワラジムシの間のような種類なので、将来ダンゴムシと呼ばれるかワラジムシとなるかわからない。


ハマダンゴムシの学名

日本のハマダンゴムシの間違った学名が出回っていると書いた。

ハマダンゴムシとハマワラジムシ

wikipediaのハマダンゴムシの学名は間違っており、「T. Granulatus」ではなく、T. granuliferus である。

昔はgranulatusだったらしい。



コシビロダンゴムシの属名

wikipediaのコシビロダンゴムシ属 Sphaerilloも昔の話。

日本のコシビロダンゴムシの属名は、

Armadillo

Sphaerillo

Venezillo(カガホソコシビロダンゴムシ属)

と変遷し、現在は Spherillo 属(タマコシビロダンゴムシ属)になっている。




検索していたら、ブリタニカ国際大百科事典を元にしたkotobankというサイトを見つけた。

ダンゴムシ: kotobank

ダンゴムシのページはミスが多い。

まずArmadillidium vulgareの和名はオカダンゴムシである。

気管ではなく偽気管。ハマダンゴムシの学名が違う。

>7胸節,6腹節は硬い外骨格に覆われているが,関節間の膜状構造により球状に丸まることができる。

頭部1節も硬い、膜状構造によって丸まるわけではない。

>前後(第3胸節,第4胸節間)2回に分けて脱皮

第4胸節と第5胸節の間である。

>ユーラシア大陸原産

地中海周辺のヨーロッパだから間違いではないが…

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2015年9月24日 (木)

オカメワラジムシが住宅地にいた

自分の家は住宅地にある。

数十年前は畑と田んぼが広がっていたが、今は一面コンクリートとアスファルトが広がる。



いつものように庭にいるオカダンゴムシを見ていた。
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なんとなく捨てていたコンクリート片をどけてみた。
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下にアリの巣があった。
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オカメワラジムシがいた。
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こんな住宅地の真ん中にもいるのか。

自分ちで初めて見た。



オカメワラジムシ Exalloniscus cortii は珍しいワラジムシではないが、好蟻性動物で見つけにくい。

まさか、自分の家にいるとは思わなかった。

アリの巣の中によくいるオカメワラジムシ: だんだんダンゴムシ



家の建設前からいて、攪乱環境に耐えてきたのか?

家が建ち、アリが入ってきた後、どこからか来たのか?

家の周りはアスファルトなのに、どうやって来たの?

アリは空を飛べるけど、ワラジムシは歩くしかないから難しそう。



オカダンゴムシと同じで、どこかの園芸用品にくっついていたのかもしれない。

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