カテゴリー「ダンゴムシの病気、寄生虫、捕食者」の12件の記事

2021年7月22日 (木)

ダンゴムシの病気:寄生する線虫、ヤドリバエ

新潟県でワラジムシヤドリバエが見つかったというニュースを見た。

珍しいハエ見つかる 新潟県では初 欧州などに生息 謎多き生態(投稿しようとして忘れていたらリンク切れになってた)

twitterのリンク↓

[新潟日報モア] 珍しいハエ見つかる 新潟県では初 欧州などに生息 謎多き生態

写真を見ても普通のハエにしか見えない。


ワラジムシヤドリバエはダンゴムシの体内に寄生するらしい。

いつかダンゴムシに寄生しているところを見たい。

twitterを検索したらワラジムシヤドリバエを見たという投稿があって気になる。





日本のヒメフナムシには線虫のシヘンチュウ(メルミス)が寄生する。

Yoshino, H., & Waki, T. (2021). First report on Mermithidae (Mermithida) infection in Ligidium sp.(Isopoda, Ligiidae). Parasitology International, 82, 102304.

シヘンチュウはダンゴムシやワラジムシにも寄生するらしい。

ダンゴムシの病気:シヘンチュウ:だんだんダンゴムシ


こっちもtwitterを検索したら、ワラジムシに寄生するシヘンチュウを見たという投稿があった.



ダンゴムシの生態に影響しているのだろうか?

オカダンゴムシだけを殺す殺虫剤になりそうと思ったが、実際はなかなか難しいらしい。

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2018年10月 4日 (木)

ヒナカマキリがヒメフナムシを食べた

千葉県君津市のスギ林でヒメフナムシを捕まえた。

ヒナカマキリも見つけた。
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千葉県の準絶滅危惧種

ヒメフナムシのケースに入れたら、ヒメフナムシに襲いかかった。

ヒナカマキリはヒメフナムシの天敵だった。



ヒメフナムシ
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ヒメフナムシの抜け殻
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ヒメフナムシはダンゴムシより頻繁に脱皮をする。





関係ない話

google でwoodlouse parental careと検索すると、親ワラジムシが子ワラジムシを背中に乗せた画像が出て来る。

https://www.flickr.com/photos/davegball/15221549181/in/photostream/

こんなワラジムシを初めて知った。

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2018年7月14日 (土)

また青いダンゴムシを見つけた

ダンゴムシがかかる病原体の一つにイリドウイルスがある。

青いダンゴムシ: だんだんダンゴムシ

これに感染すると、体が青く変色する。


千葉県香取市で青いダンゴムシを見た。
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微妙に左のオカダンゴムシが青い。右は健康。


何日か飼育したら、さらに青くなった。
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数百匹ぐらい見たが、これ1匹だけだった。


青いダンゴムシは全国で見られるが、

珍しい病気で、なかなか見つけられない。

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2018年7月 6日 (金)

ダンゴムシのオスの好みは、交尾済みメス<未交尾メス化オス<未交尾メス

ダンゴムシはボルバキア Wolbachia という細菌に感染することがある。

この細菌は感染先のダンゴムシがオスの場合、メス化させることがある。

メス化したオスは、遺伝的にオスだが生理的にはメスとなり、子どもを産むこともできる。



「オス」

「オスのはずがボルバキア感染で性転換したメス」

「真のメス」

の3種類が存在することになる。



ボルバキア感染者は好かれない

Moreau, J., Bertin, A., Caubet, Y., & Rigaud, T. (2001). Sexual selection in an isopod with Wolbachia‐induced sex reversal: males prefer real females. Journal of Evolutionary Biology, 14(3), 388-394.


オカダンゴムシ Armadillidium vulgare のオスが、ボルバキア感染メスや非感染メスと交尾するかの実験。

結果、交尾率は非感染メスは8割、感染メスは5割。

感染メスは注入された精子の数も少ない。



メス化されているとはいえ、遺伝的にはオスのため、本物のメスとは匂いが違って抑制的になるのかもしれないと書いてある。

ボルバキア感染で嫌われているわけではなく、メスになり切れていないからかも?



ボルバキア感染メスの場合、産む子供が全てボルバキアに感染してメスとなる。

フィッシャーの原理からも、ボルバキアの感染率が高い場合、感染メスを避けるのは合理的。

ボルバキア感染メスとの交尾率が低いのは、ボルバキアへの反撃とみなせるかもしれない。




では、交尾済みメスとボルバキア感染の未交尾メスではどっちが良いのか?



交尾済みメス<ボルバキア感染の未交尾メス

Fortin, M., Debenest, C., Souty‐Grosset, C., & Richard, F. J. (2018). Males prefer virgin females, even if parasitized, in the terrestrial isopod Armadillidium vulgare. Ecology and evolution, 8(6), 3341-3353.


結果、交尾済みのメスより、ボルバキアに感染していても未交尾のメスが好まれるらしい。

メスを檻に閉じ込めてオスに選ばせると、既交尾メスよりボルバキア感染未交尾メスのそばに1.5倍ほど長くとどまる結果に。

交尾もボルバキア感染の未交尾メスとしたがる傾向になっている。



この研究の実験結果では既交尾メスは交尾したがらない結果だけど、

私が見る分には、大きめのメスでも交尾しているのをよく見る。

意外な結果だ。


















関係ない話

最近、外国人に声をかけられた。


東アジア系の観光客に電車に乗りたいと言われて、駅名を聞いたら、

「ホエバー」

と言われた。


どこの駅だ?

と思ったら、wherever と言っているようだった。

どこでも良い、ということらしい。

(この場合、正しくは、anywhere かな?)



別のときは、東南アジア系?の通行人に

「チューブエスプッス」はどこ?

と言われた。


チューブ?地下鉄?

聞き返したら、つくばエクスプレスだった。

発音がなまり過ぎててわからない。近くを通ってないから余計にわからなかった。


英語で道案内できず、結局どちらも、駅まで連れてってしまった。

英語はできた方が良いと感じる。

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2018年1月20日 (土)

鳥・両生類の寄生虫(鉤頭虫)がダンゴムシやヒメフナムシを中間宿主にする

去年、北海道でワラジムシ目の新しい寄生虫が見つかったらしい。

ニホンヒメフナムシを中間宿主とし、両生類に寄生する鉤頭虫の話が67ページに載っている。



オカダンゴムシ、ワラジムシを中間宿主とする鉤頭虫

鉤頭虫 Plagiorhynchus cylindraceus は、陸上等脚類を中間宿主として、終宿主を鳥とする。

Schmidt, G. D., & Olsen, O. W. (1964). Life cycle and development of Prosthorhynchus formosus (Van Cleave, 1918) Travassos, 1926, an acanthocephalan parasite of birds. The Journal of parasitology, 721-730.

Bouchon, D., Zimmer, M., & Dittmer, J. (2016). The Terrestrial Isopod Microbiome: An All-in-One Toolbox for Animal–Microbe Interactions of Ecological Relevance. Frontiers in microbiology, 7.



この鉤頭虫は、オカダンゴムシ、ワラジムシ、ハクタイワラジムシから見つかっている。

アメリカやヨーロッパから見つかっている。

「日本から」、「ヒメフナムシから」、は初めて?




生活史

鳥の腸に寄生する親が、卵を鳥の糞に排出

この糞を食べたダンゴムシ、ワラジムシの腸で孵化、腸の表皮に侵入

休眠後、さらに体腔内に侵入

2ヶ月で感染性のシストに発育

ホストが鳥に食われると、鉤頭虫は鳥の腸壁に刺さり、性成熟



ワラジムシ目の感染率は極めて低い。

感染するには、幼虫がダンゴムシの腸の表皮を食い破る必要がある。

ダンゴムシの実験で、細胞性免疫の包囲化で、大人では感染が阻止されやすく、子どもは成功しやすいことがわかっている。

感染が成功すると、ダンゴムシのメスは繁殖力が落ちる。



イリドウイルス同様、感染個体は行動が変わり、土の外に出て来るようになる。

鳥に見つかりやすくなるためだと考えられる。

鉤頭虫プラギオリンクスの話はこの寄生虫の本にも書いてあるそうです。




鉤頭虫はヒトに感染することもあるので、ダンゴムシ、ワラジムシの生食は避けた方が良いだろう。

ダンゴムシのWikipediaに「毒などを持っていないダンゴムシは、災害時の非常食として利用できる。」とあるが、火は通すべきかもしれない。




イリドウイルスのページで、感染ダンゴムシが明るい所でも出て来ることと、鳥に食われやすくなることの関係に疑問を呈してしまった。

この事例を見ると関係があるようだ。

鳥はダンゴムシを食べるようです。

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2017年9月23日 (土)

ワラジムシを食べるクモ: イノシシグモ

ダンゴムシやワラジムシは硬い甲羅がある割に中身が少なく、ヒョウタンゴミムシのようにバリバリ食べる動物は少ない。

しかし、イノシシグモは器用に食べることが知られる。

イノシシグモ属Dysderaに属するクモは、ダンゴムシやワラジムシをよく食べる傾向があるらしい。
Dysdera crocata (male).jpg
By © Hans Hillewaert, CC BY-SA 4.0, Link

wikiの写真



イノシシグモは日本にいる?


英語版Wikipediaによると日本にいる。

日本産クモ類(東海大学出版会)を読むと、初記録以来採集例がないとある。

日本の侵略的外来種の検討対象種リストに入っているが未定着となっている。


日本産土壌動物(東海大学出版部)によると、人為的に持ち込まれたクモらしい。
Imgp1235_2
Imgp1236
日本産土壌動物 第2版 838-839ページ


過去に侵入して定着できなかったのかな?

定着に成功されたら、免疫のない日本産ダンゴムシは危ないかもしれない。

原産地の地中海周辺では人家周辺に普通に出没するらしい。クモの形をよく覚えておこう。



獲物の捕獲


Pollard, S. D. (1986). Prey capture in Dysdera crocata  (Araneae: Dysderidae), a long fanged spider. New Zealand journal of zoology, 13(1), 149-150.

網を張らず、夜に獲物を探し回る。

イノシシグモは1対の大きな鋏角を持っている。

鋏角が大きいほどダンゴムシを食べ、短いとあまり食べない。

英語版Wikipediaには、つかむと噛まれることがあり、かゆみが生じることがあると書いてある。


ダンゴムシの柔らかい腹側から片側の鋏角を刺し、もう一方の鋏角で背中側から抑えつける。

刺した鋏角から毒液を注入して捕食する。


捕食実験をすると、他の小昆虫と比べてオカダンゴムシやワラジムシを好んで食べるわけではないとする研究もある。

Pollard, S. D., Jackson, R. R., Van Olphen, A., & Robertson, M. W. (1995). Does Dysdera crocata (Araneae Dysderidae) prefer woodlice as prey?. Ethology ecology & evolution, 7(3), 271-275.


しかし、栄養学的な実験で、ダンゴムシ食に特化しているという研究もある。

ŘEZÁČ, M., & PekAR, S. (2007). Evidence for woodlice‐specialization in Dysdera spiders: behavioural versus developmental approaches. Physiological Entomology, 32(4), 367-371.

オカダンゴムシ+ホンワラジムシとキイロショウジョウバエをエサにして飼うと、ハエを多く食べた。

しかし、エサがハエだけよりダンゴムシとワラジムシをやったグループの方が成長が良い、と書いてある。



ワラジムシの交替性転向反応の変化


Carbines, G. D., Dennis, R. M., & Jackson, R. R. (1992). Increased turn alternation by woodlice (Porcellio scaber) in response to a predatory spider, Dysdera crocata.. International journal of comparative psychology.

イノシシグモに出会うと、ワラジムシ Porcellio scaber の交替性転向反応はどうなるか?

交替性転向反応とは、壁にぶつかるたびに右、左と曲がる方向を変える行動のことで、天敵回避に使うと言われる。


T字を繋げた迷路をつくる。

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イノシシグモを二酸化炭素で麻酔して、スタート地点(S)に置いたワラジムシ目掛けて落とす。

ワラジムシがちゃんと右左に進んだか、を計測。


結果、クモに触れるとGに行く(きちんと右→左→…を繰り返す)ワラジムシが多くなった。

ハエや綿を使った場合は、きちんと繰り返さない個体が多い。

オカダンゴムシやワラジムシにとって、イノシシグモは恐ろしい天敵と本能的に知っているのだろう。

日本に来たオカダンゴムシは天敵がいなくて鈍ってそう。


日本のクモは偶発的に食べることはあっても、積極的に食べるクモはいないようだ。
Photo
網にかかったワラジムシを食べるクモ

青森県のオオヒメグモのエサは15%がワラジムシという研究はあった。

TANAKA, K. (1989). Seasonal food supply for the house spider, Achaearanea tepidariorum (Araneae, Theridiidae) in northern Japan. 昆蟲, 57(4), 843-852.









関係ない話

久しぶりに展翅をした。

細いテープしかなくてこうなった。
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関東のアカボシゴマダラは要注意外来生物

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2017年8月 9日 (水)

ダンゴムシの病気:重金属汚染

ダンゴムシには消化器系の臓器の一つに肝膵臓 hepatopancreas (ヘパトパンクレアと読む?)がある。

消化酵素の分泌、消化されたものの吸収の役割がある。

さらに、生命活動に必須な金属元素を貯める、取り込んでしまった有害な金属を封じるなどの役割ももつ。

このミネラルの調節機構のおかげでダンゴムシは金属汚染に強い。


ダンゴムシのhepatopancreasの位置のイメ―ジ(斜め線の部分)
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等脚類は体の真ん中に消化管が走り、胃のあたりから細長い袋状のhepatopancreasがある。

ダンゴムシやワラジムシ、ハマダンゴムシ、ヒメフナムシは hepatopancreas が4本あり、フナムシは6本である。

B細胞とS細胞という役割が違う細胞からなる。



ダンゴムシの重金属汚染


Hopkin SP, Martin MH, 1984 Heavy metals in woodlice. In: Sutton, S.L., Holdich, D.M. (Eds.), The Biology of Terrestrial Isopods. The Zoological Society of London. Clarendon Press, Oxford, pp.143–166.

エサが重金属に汚染されている場合、体に高濃度で蓄積する。

ダンゴムシの体内汚染レベルは、だいたいエサのレベルに比例する。

体全体に金属が溜まるわけではなく、乾重比で5%ぐらいに過ぎないhepatopancreasに体内の8~9割の金属が集中する。

亜鉛、カドミウム、鉛、銅はhepatopancreasに特に溜まる。



hepatopancreasの亜鉛濃度が1.5%を超えると、もしくはカドミウム濃度が0.5%を超えると死に至る。

健康な個体のhepatopancreasは黄~茶色だが、高濃度の重金属で汚染されると白からグレーに変色し、形もおかしくなる。

排出はできない。(できると書いている本もある)



イギリスの鉱山跡地や精錬所周辺で汚染ダンゴムシが見られるらしい。

日本でも見られるのだろうか?



母体に蓄積した金属が子どもに移行することはない。

昆虫よりダンゴムシの方が金属が蓄積しやすく、

土壌の汚染レベルの調査やバイオレメディエーションに使えるかもしれないと書いてある。

(バイオレメディエーションとは汚染された土や水を生物の力で浄化すること。…地表にしかいないダンゴムシにできる?)



追記

日本のフナムシを調べて、フナムシの重金属やダイオキシンの含有量は海岸の汚染レベルを反映しているという研究があった。

Honda M, et al., 2021 Contamination of Heavy Metals, Polychlorinated Dibenzo-p-Dioxins/Furans and Dioxin-Like Polychlorinated Biphenyls in Wharf Roach Ligia spp. in Japanese Intertidal and Supratidal Zones. Applied Sciences, 11, 1856.

でもこれMDPIか…



金属の吸収効率


海水はミネラルが豊富。しかし、陸にいるとミネラルが不足しがち。

海にいる等脚類は海水から腹肢を通して金属を吸収するとされるが、陸にいるダンゴムシなどは食べ物から効率良く金属を吸収する。


例えば、ダンゴムシの血液は銅を含むが、陸上に銅は極めて少ない。

そのため、陸にいるダンゴムシやワラジムシの腸は銅の吸収効率が高いとされる。

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2017年8月 1日 (火)

ダンゴムシの病気:シヘンチュウ

ダンゴムシには線虫が寄生することがあるらしい。

カマキリに寄生するハリガネムシと同じで体内に寄生する。



メルミスの一種Thaumamermis cosgrovei


Poinar, G. O. (1981). Thaumamermis cosgrovei n. gen., n. sp.(Mermithidae: Nematoda) parasitizing terrestrial isopods (Isopoda: Oniscoidea). Systematic Parasitology, 2, 261-266.


シヘンチュウ科Mermithidaeの Thaumamermis cosgrovei は、オカダンゴムシやワラジムシに寄生するセンチュウである。

Thaumamermis属はニュージーランドのヨコエビからも見つかる。


体内の血液中に住み着く。

色は真っ白で硬くて細長く、ダンゴムシの中に納まるために何回も折れ曲がっている。

線虫に寄生されたワラジムシPorcellio scaber
Fig. 1. A specimen of Porcellio scaber parasitized by Thaumamermis cosgrovei n. gen., n. sp. ( 7,5).
image
ハリガネムシのようだが、ハリガネムシではなく線虫の仲間。


アメリカのサンディエゴ動物園だけから知られている。

感染率は24%。イリドウイルスの媒介もするかもと書いてある。



シヘンチュウの生活史


おそらくシヘンチュウの卵がついた落ち葉を食べて、もしくは孵化した幼虫が通りかかったダンゴムシの外骨格を食い破って、感染する。

ダンゴムシの体内で血液を食べながらダンゴムシを殺さないように幼虫時代を過ごす。

大きくなると中から出て、ダンゴムシは死ぬ。

土の中に潜って成虫となる。土の下3-15cmにいる。

土中で交尾をしてメスは産卵のために外に出てくる。


(他のダンゴムシの寄生虫の話はダンゴムシの病気リケッチエラ: だんだんダンゴムシに書いた。)









私に寄生した線虫

上と全然関係ない話。

昔、私もギョウチュウに寄生された。両親に最近言われた。

たくさん薬を飲まされたらしい。家族みんな飲む羽目になったと今でも愚痴られる。

Wikipediaには、蟯虫は「直接にヒトからヒトに伝播することが可能であるため、現在においても広く寄生が見られる。カイチュウ等は一旦土壌に出てから感染が行なわれるため、糞尿が野外に出る事がない現在においては感染経路が保持できず、感染率が激減しているのとは対照的である。」と書いてある。

GHQが日本産野菜がカイチュウだらけで驚いたという逸話を聞いたことがある。今でもアフリカ等にはカイチュウが多くいるらしい。

アフリカといえば、南スーダンの紛争は自衛隊が撤退してからぱったり報道されなくなってしまった。

なんだかなー日本人はスーダン人の命よりも稲田の話題の方が大事のようだ

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2017年7月18日 (火)

ダンゴムシの病気:リケッチエラ

ダンゴムシやワラジムシと共生(寄生)する生物は数多く知られる。

Bouchon, D., Zimmer, M., & Dittmer, J. (2016). The Terrestrial Isopod Microbiome: An All-in-One Toolbox for Animal–Microbe Interactions of Ecological Relevance. Frontiers in microbiology, 7.

病気を引き起こすものもいれば、消化を助ける良いやつもいる。



このブログで紹介したのは、

ヤドリバエ Rhinophoridae(節足動物)*
ボルバキア Wolbachia pipientis(真正細菌)
イリドウイルス Iridovirus(ウイルス)*
鉤頭虫(扁形動物)
シヘンチュウ Thaumamermis cosgrovei (線虫)*
・リケッチエラ*(真正細菌)

である。



他に、Rhabdochlamydia porcellionisヘパトプラズマ Hepatoplasma crinochetorum (真正細菌や原生動物が知られる。

(細菌類についてはワラジムシ目の体内に生息する共生微生物の多様性と機能で読めます。)

*:致死性の病原体



日本ではボルバキアとイリドウイルス以外は見つかっていないはず。

目に見える外来種だけじゃなく、それにくっつく寄生虫が在来種を駆逐することも有り得る。

寄生虫から解放された外来種が、急速な拡大を起こすこともある。

外来ダンゴムシが輸入されているので、在来ダンゴムシを守るために、寄生虫が日本にいるかいないかぐらいはわかっておきたいところだが、ほとんど情報がない。




リケッチエラ Rickettsiella


リケッチエラ属は、レジオネラやQ熱を起こすコクシエラに近い細菌。

発疹チフス、ツツガムシ病の病原菌リケッチアではない。



感染が確認された種は、オカダンゴムシ、ハナダカダンゴムシ、ワラジムシ、クマワラジムシ、モリワラジムシ、水生のミズムシなど。

アメリカ、ヨーロッパで見られる。

全ての種がホストになる可能性があり、世界中に分布している可能性があるが、詳しいことは不明。



細菌が付着した落ち葉を食べることで感染すると考えられている。

様々な種に伝染し、土の中でも生き残れる可能性があるが、詳しいことは不明。

感染すると死亡することがある。

感染率の如何によっては、宿主の死亡率に影響を及ぼす可能性があるが、詳しいことは不明。



感染の見分け方

感染末期になると体内がミルク色になるので、肉眼、光学顕微鏡で見わけがつくようになる。

甲羅の色素が薄い腹側から見るとミルキーなものが見える。

リケッチエラが体腔内に溜まり、不透明の白色の塊が外骨格から透けて見えるのである。

この状態になると死期が近い。



ダンゴムシは、脱皮直前になると体が白くなるので、リケッチエラが見逃される原因となっているのかもしれない。

体がミルク色に変色……見たことあるような、ないような

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2017年1月16日 (月)

ダンゴムシやワラジムシに寄生するワラジムシヤドリバエ

アゲハチョウの幼虫にブランコヤドリバエが寄生するように、

ダンゴムシやワラジムシの体内に寄生するワラジムシヤドリバエという寄生ハエがいる。

ワラジムシヤドリバエについて調べてみた。


(他のダンゴムシの寄生虫の話はダンゴムシの病気リケッチエラ: だんだんダンゴムシに書いた。)



ワラジムシヤドリバエ科 Rhinophoridae


数ミリから1cmの灰色のハエ。

多くは、幼虫がワラジムシ亜目の体内に寄生する。

ハエ目のうちダンゴムシに寄生するのはワラジムシヤドリバエ科だけとされる。

ワラジムシヤドリバエの一種 Rhinomorinia sarcophagina の成虫

http://www.commanster.eu/commanster/Insects/Flies/SuFlies/Rhinomorinia.sarcophagina.html


写真もあり詳しい↓
The world woodlouse flies (Diptera, Rhinophoridae)

日本語のサイト
日本の双翅目/ワラジムシヤドリバエ科


地中海やアフリカはワラジムシヤドリバエ科の種数が多い。

日本でダンゴムシから出てきたという話は聞いたことがない。

(追記。2019年、2020年の雑誌「はなあぶ」によるとワラジムシヤドリバエの成虫は日本で採集されている。)

「ダンゴムシ飼っていたらウジ虫が出てきた」という方はコメント↓下さい。



ワラジムシヤドリバエに寄生される種類


ワラジムシ Porcellio scaber
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原産地の地中海ではワラジムシヤドリバエに寄生されることがある。

日本のワラジムシは外来種として侵入しているが、日本での寄生例はない。


オカダンゴムシ Armadillidium vulgare
Imgp9083
オカダンゴムシ属も寄生される。


他に、ホンワラジムシ Oniscus asellus 、ホソワラジムシ Porcellionides pruinosus も寄生される。

しかし、クマワラジムシ Porcellio laevis 、フナムシの一種 Ligia oceanica 、ヒメワラジムシの一種 Philoscia muscorum からは見つからない。


寄生率は5%を下回り、発生は年一回だけで、寄生によってワラジムシの見た目が変わることはない。

1匹のワラジムシで普通1匹のハエの幼虫が育つ。



生活史


Pape, T. (1998). 3.53. Family Rhinophoridae. In ‘Contribution to a Manual of Palaearctic Diptera (with special reference to flies of economic importance). Vol. 3. Higher Brachycera’.(Eds L. Papp and B. Darvas.) pp. 679–689. Science Herald,

Budapest.Thompson, W. R. (1934). The tachinid parasites of woodlice. Parasitology, 26(03), 378-448. 以下の図は全てここを参考。

Burgis, H., 1992: Parasitische Hautflugler aus Puparien der in Asseln schmarotzenden Asselfliegen. Teil 3: Detektivische Ermittlungen.


1.卵を持つ母バエは、ワラジムシの匂いがついた落ち葉に卵を産み付ける。(人工下ではワラジムシに関係なく産卵したとも書いてある。)

2.孵化した幼虫は、通りがかるワラジムシを待つ。

3.ワラジムシがやってきたら、抱き付き、外骨格を破って侵入する。

4.幼虫はずっと体内で育つ。ただし、呼吸のための体制をとる。(←?訳ができない)
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ワラジムシヤドリバエの一種 Plesina maculata の幼虫

5.特殊な殻を作り、免疫細胞を避ける。

6.ワラジムシは脱皮の回数が減り、成長が悪くなる。

7.内部を食べ切ったら(ワラジムシは死ぬ)、宿主の体内で蛹化(pupariation、囲蛹殻を形成)する。
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ワラジムシヤドリバエの一種 Styloneuria discrepans の囲蛹殻

8.その後、成虫が出てくる。
1
食われて殻だけになったワラジムシ。 Plesina maculata の出た後が残る。


ワラジムシヤドリバエには、超寄生するヒメバチの一種 Phygadeuon 属がいる。

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